頌春

親兄弟が一同に揃う元旦の家族団欒。
当たり前の日常にあらためて感謝。
ふとした瞬間にひとりモーツァルトに浸る。
典雅で優しさに包まれた響きの中に、うら悲しさに満ちるヴァイオリンの音色が2012年の第一日目を飾る。ピンと張り詰めた冷たい空気に目を覚まし、内なる「暖」が眠りを誘う。
喜びも哀しみも・・・、第40番のソナタに夢現。
ウィーン時代最盛期のアマデウスの見事な筆致。宇宙と大地が鳴動し、陰と陽がひとつになる。嗚呼、幸せなり。

モーツァルト:
・ヴァイオリン・ソナタ第40番変ロ長調K.454
・フランスの歌「泉のほとりで」による6つの変奏曲ト短調K.360(374b)
・ヴァイオリン・ソナタ第28番ホ短調K.304(300c)
・ヴァイオリン・ソナタ第32番ヘ長調K.376(374d)
・ヴァイオリン・ソナタ第26番変ホ長調K.302(293b)
アルテュール・グリュミオー(ヴァイオリン)
ワルター・クリーン(ピアノ)

アマデウスの音の連なりは人々の心を平和にするというが、6つの変奏曲の可憐な「変装」が聴く者を眩惑する。あまりの美しさよ・・・。グリュミオーは「音楽」だけを感じさせる見事なパフォーマンスを披露するが、そこには地味ながら実直な伴奏でサポートするクリーンの存在あってこそ。持ちつ持たれつ、2人がひとつになり「世界」を形成する。
今年はどんな年になるのだろう。様々な憶測が飛び交う中、やっぱり「人類が共生すべくひとつになる」第一歩を踏み出す年になろう。そのために我々はただただ与えられた使命を全うすることか。

喜びも哀しみも・・・、繰り返し聴くたびにモーツァルトが微笑みかける。
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。


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