先年、BISレーベルから”The Sibelius Edition”と題して、シベリウスの全作品、それも断片的なものやオリジナル版まで、とにかく譜面に残されているものはすべて音として残すというコンセプトのもとに制作された大全集がリリースされた。いかにシベリウス好きといえどもこのすべてをしっかり、きちんと聴く時間はおそらく一生持てないだろうと、全部を購入することは避けているのだが、その内のいくつかのボックス・セットを聴きかじってみて思うのは、よくもまぁこれほどの作品を緻密に、そして徹底的に揃えたものだということと、それでいて個々の演奏のレベルが非常に高いことに驚きを隠せないということ。
例えば、第9巻室内楽曲集第2集。ほとんど無名の作品が並ぶ中、実に傑作だと思える知られざる佳作がいくつも収録されており、たとえそれだけでも繰り返し聴くことで、ジャン・シベリウスの天才をあらためて思いしらされ、やっぱり北欧のこの巨匠の音楽はもっと世の中に具体的に紹介されるべきだと確信する。
今日のような、小さな雨が降り続き、寒さがぶり返すような日に独り彼の音楽を聴いていると、逆にとても温かな気持ちになる。風土が極寒であるがゆえに、生み出される音楽には灼熱の、というより内面から湧き出る人間味、温かさが閉じ込められているのか、それを聴くだけでその場も暖かくなるのである。そう、まさにシベリウスで暖をとる、そんな感じ・・・。
5枚組の5枚目だけを繰り返し・・・。チェロの深い響きが真にシベリウスの独壇場。「マリンコニア」の憂愁、「主題と変奏」の悲哀・・・。
北国の大地に地鳴りのような、そして人の声を思わせる音色はぴったりなのだろう、シベリウスの音楽にチェロは似合う。それはまるで「セロ弾きのゴーシュ」、宮澤賢治を想像をもさせる。
本日はまる一日オフ。いろいろ思考した。そして次なる準備もスタートした。
シベリウスが・・・、囁きかける。
こんばんは。
1981年ごろ、レコ芸の鼎談で、粟津則雄がシベリウスの音楽について、
「なんか、こう、肌の冷てえ情熱的な女」
とか評していたのを読んで、上手いこというなあと感心した憶えがあります。
>シベリウスで暖をとる
というのは、吉松先生がよく使われる表現ではありますよね。しかし全くもって同感です。
BISのシベリウスの大全集は壮観ですよね。私も買い揃えておりますが、演奏も録音も極上だと思います。
それだけに、個人的にはボックスセットの紙ジャケットが残念です。
皆さんCDの紙ジャケットに抵抗が無いのが不思議ですが、CDはLPではないんです。
読み取り面に紙やプラや不織布袋等がCDと接触するのが私は嫌なんです。紙とCDは擦れてキズが付きやすいでしょうし、紙が酸性紙の可能性だって考えられます。プラや不織布内袋がある場合は湿気を溜め込む可能性があります。
こういう一生座右に置き続けたいお宝セットは、かさばっても紙ジャケでないほうがいい。
紙ジャケ、CDの寿命に影響しないかなあ。
これ、25番目くらいの悩み。
>雅之様
おはようございます。
朝から雨で東京はまた相当寒いです。
それにしても雅之さんの記憶力には畏れ入ります。
>個人的にはボックスセットの紙ジャケットが残念です
意外に僕は気にしていなかったりします。
ロックの名盤などはどちらかというと紙ジャケが欲しくなりますし。
>紙とCDは擦れてキズが付きやすいでしょうし、紙が酸性紙の可能性だって考えられます。プラや不織布内袋がある場合は湿気を溜め込む可能性があります。
しかし、そういわれてみるとそういう可能性は十分にありますね。
>紙ジャケ、CDの寿命に影響しないかなあ。
まぁ、僕らが生きてるうちくらいは大丈夫じゃないですかね・・・(笑)
>まぁ、僕らが生きてるうちくらいは大丈夫じゃないですかね・・・(笑)
CDがそのくらいの代物なら無理に買わなくてもいいなと思っちゃうんですよね、最近は。
そのお金をライヴか何かにパッと使っちゃった方がまだましと。
来年は子供が大学と高校のダブル受験で、オヤジの浪費を抑えなきゃならないという、現実的な問題もあります・・・これ24番目の悩み(笑)。
シベリウスも後期作品を書くころにはひどかった浪費癖が治ったんでしたよね(笑)。
>雅之様
こんばんは。
>そのお金をライヴか何かにパッと使っちゃった方がまだましと。
おっしゃりたいことはよくわかります。
しかし、僕などはまだまだ煩悩だらけですね。いざとなると手放せないような気がします(苦笑)
>オヤジの浪費を抑えなきゃならないという、現実的な問題もあります・・・
ああ、確かに・・・。その点僕は勝手気ままな生活ですからね、返す言葉もございません。
>シベリウスも後期作品を書くころにはひどかった浪費癖が治った
達観するには人間は好き放題やる時期がないとだめなんでしょうね。音盤蒐集もやり尽くしたということですかね。