ブルーノ・ワルターが・・・、吠える

一時期、MUSIC BIRDに加入し、かつてのエアチェックのような真似さながら、Digital Audio Tapeにお気に入りの番組を録音して楽しんでいた。ほとんど番組を聴く時間がとれなかったのと、10代の時と比べていちいちエアチェックをするのが面倒になったので2年余りでMUSIC BIRDそのものを解約したが、そういえばそれらの録音テープの中にブルーノ・ワルターがシンフォニー・オブ・ジ・エア相手にベートーヴェンの「エロイカ」を演奏した、有名な実況録音があったはずだと棚を探してみた。管理がいい加減なもので、DATテープについてはタイトルも書かずにしまっておいたものだから、どのテープに何が収録されているのかひとつひとつ取り出して確認しないとわからない。それほど数があるわけでもないので、すぐさまお目当てのテープが見つかり、聴いてみて懐かしくなった。

人は、同志や師匠や、身近な人の死に直面した時こそ、普段の力の何倍ものエネルギーを放出する。どこにそんな力があったのかと思うくらい・・・。
ワルターが演奏したのは1957年2月3日、その数週間前に亡くなった盟友あるトゥーロ・トスカニーニ追悼のコンサートにおいて。まったく性質を異にする二人の音楽家の魂が合一するかのような火傷しそうでありながら、時に微笑の瞬間を忘れない決死のベートーヴェン。モノラルだが、全く鑑賞には耐える録音により、55年を経た今日でも十分通用する。

ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」
ブルーノ・ワルター指揮シンフォニー・オブ・ジ・エア(1957.2.3Live)

嗚呼、一期一会の「エロイカ」シンフォニー。
この聴き慣れた名作が、初めて聴いたときの感動を髣髴とさせるかのように蘇る。僕が最初に聴いたワルター協会のアナログ・レコードの音質と比べ随分改善されているのではないか。熱い、とにかく熱い。

いやはや、本日も懐かしい面々と酒を酌み交わし、帰宅が今頃になった。明日も朝が早い。同時に日中は講座があるので、早々と床に入ろう。
ということで、この辺で・・・。


2 COMMENTS

雅之

おはようございます。

宇野さんも大絶賛だったこの演奏、私がいつも学ばせていただき感謝しているサイト
http://classic.music.coocan.jp/sym/beethoven/beethoven3-m.htm
によると、

・・・・・・2009年、新たに「M&A CD-1201」(写真右)という2枚組を入手した(リリースは07年)。これはトスカニーニ追悼コンサート全体を収録したもので、ワルターの「英雄」の他、ミュンシュ指揮の「海」、モントゥー指揮の「エニグマ変奏曲」が入っている。「英雄」と「海」が入った1枚目をbeginning、2枚目の「エニグマ」をconclusionと記載してあるので、演奏もこの順序だったようだ。こういうプログラムだったとは初めて知った。
このCDを聴くと、演奏後におこった大拍手はたしかにワルターによって押しとどめられていることがわかる。また「海」のあとの拍手も手拍子1回ですぐ抑えられている。「エニグマ」のあとには拍手無しのホールの様子がしばらく収録されている。・・・・・・

ということらしいですね。
私も最近までそういう事実は全く知りませんでした。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
なるほど、そういう事実があったんですね。
勉強になります。
ありがとうございます。
それにしても、ミュンシュの「海」にモントゥーの「エニグマ」とないうのはすごいプログラミングですね。
その場にいたら卒倒ものだったでしょう・・・。

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