感謝の意を込めてショスタコーヴィチを

とにかく目まぐるしい。
状況の変化と新規のタスクと、ともかく一日の隙間なく埋められていくかのよう。
とはいえ、絶対的に守らなければならないのは「自分軸」。そして、ひとつひとつを「楽しむこと」。ワークショップZEROの理論講習をやりながら思うこと。
やっぱり人間というのは過去の様々な体験を通じて「今」に至っているということ。なにひとつとして無駄な経験はない。

ショスタコーヴィチの音楽のショスタコーヴィチらしさは、スターリンの独裁体制時代の、あるいは鉄のカーテンの時代のあの時であるがゆえのもの。一方、バッハの作品は宗教的対立が頻繁で、かつ王侯貴族が世界を牛耳っていたあの時代だったからこそ生まれ得たものだということ。歴史には常に「必然」があり、”Es muss sein.”、「そうであらねばならぬ」理由が存在する。

そして、時を隔てたそれらがつながる時にも、やっぱり人間と人間が時空を超えてつながるものなんだということが実証される。今日という一日も素敵な日だった。夜も更ける今頃に、感謝の意を込めてショスタコーヴィチを独り静かに聴く。

ボロディン・カルテットによる全集からの1枚。

ショスタコーヴィチ:
・弦楽四重奏曲第3番ヘ長調作品73
・弦楽四重奏曲第4番ニ長調作品83
ボロディン弦楽四重奏団

戦後すぐ1940年代後半に書かれたこの2曲は、不思議な明るさと厳格な暗さが同居する一元的傑作。ユーモラスなショスタコーヴィチは自身を嘲笑うのか、それともスターリン体制の当局を自己批判的に謳うのか。
それにしてもボロディン・カルテットの演奏は極め付け。作曲者の手となり足となり、創造物を確実に形にしてゆく様。第3番第1楽章の剽軽な希望と、第2楽章の壮絶な絶望が入り乱れ、最後はオプティミスティックに完結するという表現の多様性。

いかん、いかん、考え過ぎだ(笑)。
もっと自由に・・・、楽しもう。ドミトリー万歳!
※明日は朝稽古。起きれるのか?!(苦笑)


5 COMMENTS

雅之

おはようございます。

>絶対的に守らなければならないのは「自分軸」。

>なにひとつとして無駄な経験はない。

久々に問うてみたいです。
岡本さんは、ニーチェその人のこととは別に、
「永劫回帰」してもいいと思いますか?
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B8%E5%8A%AB%E5%9B%9E%E5%B8%B0

私自身は、ぜひそうあって欲しいと願っています。

返信する
岡本 浩和

>雅之様
こんにちは。

最近思うのですが、
カメラのアングルをぐーーーっと引いていくと、宇宙も人生もとるにたらないもので、結局は一つの点としてしか認識できないものなんだなと。それはネガティブな意味ではなく、そもそもそれが「超人」という観点で、であるならすでにどんなものも「永劫回帰」という状態にあるのではないかと思うのです
80年の人生が一瞬だとするならそういう見方も成り立つのではと考えます。
いかがでしょうか?

返信する
雅之

こんばんは。

そのお考えは極めて哲学的&先端物理学的な香りがして、とても共感できます。

何ヶ月か前に放送大学か教育テレビだったかを偶々見ていたら、
講師が、中島みゆきの「時代」
http://www.youtube.com/watch?v=NQrXd7r2tjY
はニーチェの「永劫回帰説」を理解するためにぴったりの歌だって解説していましてね、
なるほど!!と膝を打ったものです。

まわる まわるよ 時代はまわる
喜び悲しみ繰り返し
今日は別れた恋人たちも
生まれ変わって めぐりあうよ

http://www.dailymotion.com/video/xbfbc1_yyyyy-yy-yyyyyyyyyy_music

ショスタコも、本音では来世より現世を重んじた人じゃないかと感じ、その質感が私の大好きなところでもあります。

そして、この現世を寸分たがわず何度でも繰り返したいと願えるのは、この上なく幸せなことだと感じています。

返信する
岡本 浩和

>雅之様
こんばんは。

なるほど!「時代」ですか!確かにぴったりです。
しかし、どうせなら僕は薬師丸ひろ子バージョンを一押しにします(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=dEOQbW9reD4

>ショスタコも、本音では来世より現世を重んじた人じゃないかと感じ、その質感が私の大好きなところ
>この現世を寸分たがわず何度でも繰り返したいと願えるのは、この上なく幸せなこと

同感です。ショスタコはやっぱり神のいない「共産主義」から生まれ出た芸術家なんでしょうね。

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アレグロ・コン・ブリオ~第4章 » Blog Archive » ビートルズに関する空想と戯言

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