調和とバランス

年度末というのはタスクが非常に多く、気がつくと意識が内に向いてしまっている。
やらねばならないこととやりたいことと。そしてやりたくないことと。
様々山積みではあるが、そういう時は一つ一つ着実にこなしてゆくと同時に、やっぱり「人に尽くすこと」。人が喜んでくれたり、感動してくれたり、たったそれだけの反応により人は元気になる。元気の素はまずは自分が一生懸命尽くすことなんだ。

春分の日。昼と夜がちょうど同じという日、すなわち陰陽のバランスが取れているというこの日に、午後は塩月美香子さんとのコラボで「メイクセラピーグループ体験講座」を、夜は吉沢昇司君と「システム思考ワークショップ~ビールゲーム体験会」を開催した。切り口は違えど、いずれもテーマは「バランスをとる」ということ。
楽しかった。嗚呼、愉快。

ということで、今夜は西洋クラシック音楽界においておそらく最もバランスのとれた天才の音楽を(バッハだろう、ベートーヴェンだろうと皆様それぞれに異論はあろうが)。

モーツァルト:
・交響曲第29番イ長調K.201(186a)
・交響曲第40番ト短調K.550
・交響曲第41番ハ長調K.551「ジュピター」(以上、1973.6.4-16Live)
・交響曲第34番ハ長調K.338
・交響曲第35番ニ長調K.385「ハフナー」
・メヌエットハ長調K.409(383f)(以上、1974.11.12-14Live)
カール・ベーム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

ベームは間違いなく実演の人だ。
モーツァルトのシンフォニーの録音も多数残されているが、ライブでこそ生命力に溢れたベームの真骨頂が堪能できる。この映像もそう。どこまで編集されたものなのか想像はつかないが、少なくともグラモフォンのスタジオ盤よりは明らかに燃えるベームその人がそこにいる。
1970年代の前半というとまさにカール・ベーム全盛期。このDVDセットは3枚組で1978年頃の映像も含まれるが、わずか4,5年の歳月の差が人間の風貌に翳りを与えるんだということもわかって非常に面白い。確かに僕の記憶の中の動くカール・ベームは、1980年の人見記念講堂での来日公演の映像だったり、同じ年の上野での「フィガロの結婚」を指揮するオーケストラ・ピットでの老いぼれた(?)姿(座って指揮していた)だから、その2年前はまだ立って指揮していたんだとこのDVDを初めて観た時には驚かされたことを思い出す。80歳前後の人間のエネルギーというのはがわずか1年ほどでこうも変化してしまうんだな・・・(驚)。

ところで肝腎の演奏。ト短調交響曲も「ジュピター」交響曲も他の指揮者のどんな演奏も霞んでしまうほど堂に入る。モーツァルトの最高のバランスの傑作たちを音のバランスの良いムジークフェラインで、完璧な調和でドライブする巨匠の棒にあらためて感動。
この聴き慣れた(聴き飽きた?)音楽たちが生まれ変わったような響きで眼前に現れる。
嗚呼、これこそカール・ベームなり。(この映像集は本当におすすめ!!)


2 COMMENTS

雅之

おはようございます。

ベーム指揮によるライヴのモーツァルトの素晴らしさについては、もう私がいちいち同意するまでもないでしょう。語り尽くしましたので・・・。ご紹介の映像も貴重ですよね。

>調和とバランス

私はアン・バランスでも全然かまいませんけれど。岡本さんと違って、恐れを知りませんからね(笑)。

この前岡本さんとお会いした時、ご存知でないとおっしゃってたベーム指揮によるアン・バランスなセッション録音のチャイコフスキー。

チャイコフスキー:3大交響曲集 カール・ベーム &ロンドンSO
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1414744

私はこういうアン・バランスな時のベームも大好きです。

もちろんライヴのほうはあらゆる意味で最高!!

チャイコフスキー:交響曲第4番 ベーム&チェコ・フィル(1971年ステレオ)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1952070

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岡本 浩和

>雅之様
こんにちは。

>岡本さんと違って、恐れを知りませんからね

恐れ入ります。(笑)

ベームのチャイコフスキーは未聴です。
スタジオ盤、実況盤とも興味深いです。
聴いてみます。
ありがとうございます。

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