過剰反応

1949_wiesbaden_LP.jpg26日(火)は静岡のとある中学2年生に向け「キャリア教育」の講演を持つ予定だった。元同僚で、現在世田谷区議会議員であるK君とパートを分担し、体験ワークを交えながら楽しく過ごそうと考えていた。打ち合わせも終了し、念入りに準備をしていた矢先、学校の担当教諭より中止、否、延期の連絡が突然入った。何と例によって「豚インフルエンザ」絡みである。同校の3年生の京都大阪方面の修学旅行が中止になったのにあわせ、2年生の社会見学旅行を承認するのは不公平だという意見から急遽中止を決定したのだという。確かに東京や埼玉、川崎でも患者が出たが、それにしても騒ぎ過ぎだろう。メキシコやアメリカでは事は収束し始めているようだから、もう少し沈着冷静に考えても良さそうなものだと思うのだが、マスコミが連日煽り立てるせいか国民は冷静な判断力を失くしている。今日も行きつけの美容室(原宿のCleep、おススメです!)でオーナーの木村さんと、要はインフルエンザに罹った人がマスクをすればいいだけの話で、なる前から買い占める人が多発し、本当に必要としている人に行き渡らないというのはどうしたものかという話になった。確かにその通りだと思う。
ともかく過剰に反応するのはやめてクールに構えよう!

ハンス・プフィッツナー死して今日でちょうど60年。30年近く前、一時期協会の会員になった(会員番号は1325番)日本フルトヴェングラー協会の非売品である1949年ヴィースバーデン・コンサートのアナログ・レコードを意図せず久しぶりに取り出した。当日のプログラムは

・プフィッツナー:歌劇「パレストリーナ」第1、第2&第3幕への前奏曲
・モーツァルト:交響曲第40番ト短調K.550
・ブラームス:交響曲第4番ホ短調作品98

というもの。前衛的な志向を徹底して糾弾し、あくまで保守的な方向で創作を進めたプフィッツナーの音楽は極めてエモーショナルで美しい。とても20世紀前半に書かれた音楽とは思えないほどだ。この日フルトヴェングラーは20日前に逝った巨匠を追悼し、彼の作品を採り上げたようだが、それにしても一つ一つの音が意味深く、慟哭の叫びが木霊する。モーツァルトの第40番も有名なスタジオでの録音に比べ桁違いのパッションで、一層デモーニッシュなマエストロらしい超名演奏!やはりフルトヴェングラーはライブの人なのである。

furtwangler_wiesbaden_1949_cd.jpgフルトヴェングラー:ヴィースバーデン・コンサート
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1949.6.10Live)

日本フルトヴェングラー協会が当時復刻したLPの音の情報量は半端でない。それに重低音の響きが肺腑を抉る。アナログ・レコードに比べるとTahraがリリースしたCD(FURT1021-1022)の音質の何と貧しいことか・・・。

ところで、メインのブラームスの第4交響曲はフルトヴェングラーの演奏以外何ものでもない。第1楽章最初の一音から身体が震えるほどの感動を与えてくれるし、その後の楽章も有名な48年Liveより刺激的。特に第4楽章はフルトヴェングラーの真骨頂で、極端なアッチェレランドなど少々やり過ぎのきらいもなくはないが、この表現を聴くと他のどの演奏も物足りなくなるくらいだから不思議だ。嗚呼、本当にこういうコンサートを生で聴けたらどんなに幸せだったろうか・・・。


2 COMMENTS

雅之

こんばんは。
「豚インフルエンザ」の件は、本当に過剰反応しすぎですね。今からこんなじゃあ、冬になって強毒性が大流行にでもなったら、どんな騒ぎになるんでしょう。大量の使い捨てマスクも、資源のムダ使いの感もあります。
>ハンス・プフィッツナー死して今日でちょうど60年
>前衛的な志向を徹底して糾弾し、あくまで保守的な方向で創作を進めたプフィッツナーの音楽は極めてエモーショナルで美しい。とても20世紀前半に書かれた音楽とは思えないほどだ。
おっしゃるとおりです。
最近の岡本さんの話題、花巻、宮沢賢治、プフィッツナーといえば、宮沢賢治が『セロ弾きのゴーシュ』を書くにあたって聴いたと思われる、プフィッツナー指揮ベルリン国立歌劇場の『田園』ですね!温かい演奏です。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/960890
花巻の宮沢賢治記念館には、賢治が聴いたSPレコードが展示してあるそうですが、一度でいいからCDではなく、そのSPレコードの音を聴いてみたいものですね。
フルトヴェングラーの演奏は、やはりLPやSPで聴くべきなんでしょうね。岡本さんのお持ちのLPも、さぞ迫力のある音でしょうね!
でもやはり私もあの時代にタイム・マシンで行って実演を聴いてみたい・・・。
岡本君、雅之君:「ドラえも~ん!!」
ドラえもん:「しょうがないなあ!岡本くん、雅之くん。じゃあ、僕のタイム・マシンで1949年6月10日のコンサートに行くとするか!」
岡本君、雅之君:「やったあ!!万歳!!」
あっ!居眠りしてた。なんだ夢か。

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岡本 浩和

>雅之様
そうそう、宮沢賢治が愛聴した「田園」交響曲のSPはプフィッツナーのものだったそうですね。1年ちょっと前、「早わかりクラシック音楽講座」で「田園」をテーマにした時、そういえば宮沢賢治の話題と共にその話を参加の方にしたことを思い出しました(ただし、音盤を所有していないので、僕はこの演奏は聴いたことがないですが)。
>岡本さんのお持ちのLPも、さぞ迫力のある音でしょうね!
圧倒的にLPの勝ちですね。
ほんとにドラえもんがいてくれたら・・・(笑)。

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