ヴィヴァルディ再発見!

アントニオ・ヴィヴァルディについては「四季」をはじめとする有名な作品のいくつかを知っているくらいで、その生涯を含めほとんど何も知らない(といって良い)。
それでも入門者向けの「早わかりクラシック音楽講座」の中で「四季」を採り上げないわけにはいかないと、今週末の講座ではこの超ポピュラー作をテーマに講義を進めることになっている。

日本にバロック音楽ブームを起こし、ヴィヴァルディの名を知らしめたのがフェリックス・アーヨのヴァイオリンとイ・ムジチ合奏団による「四季」の録音だったことはおそらく有名な話。確かにこの音楽(録音)は衝撃的だ。季節の移り変わりをソネットとともにこれほどまでに美しく、しかも的確、鮮明に描写されていること自体が驚きで(例えば、「四季折々」の風情と言うと、僕は清少納言の「枕草子」を思い出す。あの「春はあけぼの・・・、夏は夜・・・、秋は夕ぐれ・・・、冬はつとめて・・・」という有名な件に優るとも劣らない)、レコードで聴いても実演で聴いてもいつも相当な満足感が得られる。久しぶりに聴いてみてその想いを新たにした。

そんなこんなでヴィヴァルディのことを少し勉強してみようとネットで様々検索すると意外に情報はあるもの。例えば、生涯に相当な数のオペラを生み出していること。本人は94曲と記しているらしいが、スコアが残っているのが24曲。そのうち演奏可能なのが18曲ということだが、そのいずれも現代では上演機会に恵まれず、録音も含めてほとんど聴く機会を得られない(ここ数年でフランスのレーベル、Naïveが一連のオペラ作品を録音しているらしく、フリークの間では評判が高い。一度その魅力に開眼すると底なし沼にはまるかのように憑りつかれる人が続出するようなのでヴィヴァルディの魅力たるや相当なものである。できれば映像で観てみたいものだ)。

ヴィヴァルディ:オペラ序曲集
・「バヤゼット」シンフォニアヘ長調RV703(1735)
・「オリンピアーデ」シンフォニアハ長調RV725(1734)
・「試練の中の真実」シンフォニアト長調RV739(1720)
・ヴァイオリン協奏曲ハ短調「アマト・ベネ」RV761
・「離宮のオットーネ」シンフォニアハ長調RV729(1713)
・協奏曲ヘ長調RV571
・「嵐の中のドリッラ」シンフォニアハ長調RV709(1726)
・「ファルナーチェ」シンフォニアハ長調RV711(1726)
・シンフォニアト長調RV149
・協奏曲ニ短調RV128
・「ユスティニアヌス」シンフォニアハ長調RV717(1724)
フェデリーコ・グリエルモ(ヴァイオリン)
クリストファー・ホグウッド(音楽監督)
アルテ・デラルコ

ヴィヴァルディを聴く。以前購入したdhmの50枚ボックスセットにヴィヴァルディの稀少なオペラの序曲を収めたものがあったので繰り返し。クリストファー・ホグウッド音楽監督によるラルテ・デラルコによる華やかで煌びやかな演奏が心を躍らせる。
順番に聴くうちに吃驚した。「嵐の中のドリッラ」シンフォニアは3楽章構成で、最終章に「四季」から「春」の第1楽章が調性を変更してそのまま使われているのである。
どうやら多作家とはいえ、ヴィヴァルディは自身の作品をいろいろと流用しているらしい(発表時期はほぼ同じだが、どちらが先なのだろう?やっぱり「四季」かな?)。

そういえばまたひとつ思い出した。昔、ベジャールのあるビデオにジョルジュ・ドンと森下洋子のパ・ド・ドゥが収録されており(演目は「ライト」)、その音楽がヴィヴァルディの作品で、あまりに美しくどの作品だかしばらく探したものの結局わからず仕舞いで今に至っているということを。この人の場合、とにかく似たような音楽が多くて困る(笑)。
さて、この音楽は何なのだろう?


4 COMMENTS

木曽のあばら屋

こんにちは。
「オペラ・声楽曲を聴かずしてヴィヴァルディを語るべからず」
というのが、私選「バロック音楽十戒」のひとつであります(嘘)。
ほかには、
「アルビノーニのアダージョをバロック音楽と呼ぶべからず」
「グールドを聴いただけでバッハの鍵盤音楽を語るべからず」
「イ・ムジチを馬鹿にしてはいけない」
などがあります(大嘘)。

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岡本 浩和

>木曽のあばら屋様
こんばんは。
木曽のあばら屋様のブログはちょくちょく拝見させていただき勉強させていただいております。
ありがとうございます。

>私選「バロック音楽十戒」

なるほど!
これはどうしてもオペラや声楽曲を聴き込まねばなりませんね。
本日、講座を終え、あらためてヴィヴァルディの美しさに(あくまで「四季」や「調和の幻想」を通してですが)惚れ惚れしたところです。
それにしても、アルビノーニのアダージョはバロックじゃないですか?!
他の2つはまぁ理解できますが・・・。(笑)
ちなみに、残る6つは何でしょうか?気になります・・・(笑)

返信する
木曽のあばら屋

こんにちは。
「アルビノーニのアダージョ」は、
イタリアの音楽学者ジャゾットが、
「アルビノーニの未出版のソナタの断片に基づく」として
1958年に発表されましたが、原曲の存在は明らかにされず、
現在ではジャゾットの完全な創作だったとされています。
つまり1950年代に作曲された「疑似バロック」曲なのです。
確かにいい曲であり、私も好きですが、
「アルビノーニ」の名を冠したことで権威というかハクがついたことは否めません。
もっともこの曲のおかげでアルビノーニの名前はずいぶん広まったわけで、
これは一種のウィン・ウィンな関係といえるのでしょうか。

返信する
岡本 浩和

>木曽のあばら屋様

はぁー、そうでしたか!!
この辺りの事情はまったくスルーしておりまして、初耳でした。
「アルビノーニのアダージョ」、もはや滅多に聴きませんが、良い曲ですのに。

>これは一種のウィン・ウィンな関係といえるのでしょうか。

ということですかね。
勉強になりました。
ありがとうございます。

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