深まりゆく秋の気配を感じながら、ここのところの早朝と深夜の愛聴盤。
10年ほど前、ジャネット・ベイカーのフィリップスとデッカヘの録音が5枚組のボックス・セットとしてリリースされた。
1枚目は”Arie amorose”と題するイタリア古典歌曲集。
1曲目の、ジョルダーニの”Caro mio ben(愛しい私の恋人)”からもううっとり(笑)。次のカッチーニ作”Amarilli mia bella(うるわしのアマリッリ)”という流れはほとんど定番様で、朝だと頭がすっきりの清涼剤、夜だと深い眠りに就く前のお酒として機能する(矛盾してないか?・・・笑)。
音楽の発祥がイタリアで、それも宗教作品でない世俗音楽にこれほど美しいものがあろうとは、さすが「歌」の国。一聴、旋律に魅了される。こんなに癒され、心が洗われる音楽というのもそうそうは見当たらない。
それにしてもこの5枚組をざっと俯瞰してみると、ジャネット・ベイカーというのは本当に幅が広い。それに、英国淑女らしい高貴さと、それでいてしっとりした歌声が僕は好き。