ジャネット・ベイカーのイタリア古典歌曲集

深まりゆく秋の気配を感じながら、ここのところの早朝と深夜の愛聴盤。
10年ほど前、ジャネット・ベイカーのフィリップスとデッカヘの録音が5枚組のボックス・セットとしてリリースされた。
1枚目は”Arie amorose”と題するイタリア古典歌曲集。
1曲目の、ジョルダーニの”Caro mio ben(愛しい私の恋人)”からもううっとり(笑)。次のカッチーニ作”Amarilli mia bella(うるわしのアマリッリ)”という流れはほとんど定番様で、朝だと頭がすっきりの清涼剤、夜だと深い眠りに就く前のお酒として機能する(矛盾してないか?・・・笑)。
音楽の発祥がイタリアで、それも宗教作品でない世俗音楽にこれほど美しいものがあろうとは、さすが「歌」の国。一聴、旋律に魅了される。こんなに癒され、心が洗われる音楽というのもそうそうは見当たらない。

イタリア古典歌曲集
・ジョルダーニ:カロ・ミオ・ベン(愛しい私の恋人)
・カッチーニ:うるわしのアマリッリ
・ストラデッラ:理は常にしめす
・サッリ:子羊は走り去った
・チェスティ:憧れの人のまわりに
・ロッティ:うるわしの唇よ、せめてもう一度
・アレッサンドロ・スカルラッティ:しばしば戯れに矢をはなつ
・カルダーラ:太陽の光のように
・アレッサンドロ・スカルラッティ:陽はすでにガンジス河から
・ボノンチーニ:ああ、もはや私から姿を隠さないで
・デュランテ:踊れや踊れ、やさしきおとめよ
・アレッサンドロ・スカルラッティ:わが心に思う真の悩み
・カルダーラ:君たとえつれなくとも
・カルダーラ:心地良い森、木の陰
・ペルゴレージ:最も残酷な罪
・マルティーニ:愛の喜び
・ピッチンニ:おお夜よ、神秘の女神よ
・パイジェッロ:わが心もはやうつろになりて
デイム・ジャネット・ベイカー(メゾ・ソプラノ)
セリア・ニックリン(オーボエ)
グラハム・シーン(バスーン)
ジェームス・タイラー(リュート)
ニコラス・クレーマー(ハープシコード)
ネヴィル・マリナー指揮アカデミー・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ(1978.1録音)
・カヴァッリ:情熱を燃やし、嘆き、涙して~歌劇「カリスト」
・カヴァッリ:歌劇「カリスト」から第2幕二重唱
デイム・ジャネット・ベイカー(メゾ・ソプラノ)
ジェームス・バウマン(カウンター・テナー)
レイモンド・レッパード指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(1971録音)

それにしてもこの5枚組をざっと俯瞰してみると、ジャネット・ベイカーというのは本当に幅が広い。それに、英国淑女らしい高貴さと、それでいてしっとりした歌声が僕は好き。

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