フレデリック・ディーリアスの魔法

フレデリック・ディーリアスの魔法。人生いろいろ、浮沈の連続。しかし恐れることはなし。どんなに否定されようと、一方で必ず支持者がいる。そして、頑なに自らの方法論にこだわり、とにかく発信し続けること。すべての人から愛されようなどと思うべからず。
ディーリアスの生涯を俯瞰し、ディーリアスの美しい音楽を聴いていると、彼の心に映ったものは「自然の壮大さ」と「人間の弱さ」の美であると僕には感じられる。
紆余曲折。晩年の梅毒による失明と四肢の麻痺。自身の奔放さから生まれ出た結果であるゆえ、本人に後悔はなかったろう(いや、あったのか・・・、そこはよくわからない)。少なくともその音楽を聴く限りにおいて、翳りは感じられど、邪心・邪気は一切ない。

英国王室のウィリアム王子とキャサリン妃に長男誕生。新しい生命の誕生はいつどんな時も喜ばしい(それが自分直接関係あろうがなかろうが)。
人生の酸いも甘いも体験した同国の作曲家といえば誰だ?様々あるにせよ、その抒情性で随一なのがディーリアスその人(ある意味彼の人生とは正反対の音楽が常に紡がれる)。僕の内側でゆっくりと、そして揺蕩うように無限の旋律が響き渡る。嗚呼、これこそ音楽の「揺りかご」。フレデリック・ディーリアスの魔法。

ディーリアス:
・幻想序曲「丘を越えて遥かに」(ビーチャム版)(1957.4.2録音)
・3つの小さな音詩第2番「冬の夜―そりすべり」(1956.11.5録音)
・イギリス狂詩曲「ブリッグの定期市」(1956.10.31&1957.4.2録音)
・組曲「フロリダ」(ビーチャム版)(1956.11.10-22&12.14録音)
・奇想行進曲(1956.10.31録音)
サー・トマス・ビーチャム指揮ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

ビーチャム卿の存在なくしてディーリアスなし。
余計なことは思考せず、ただひたすらその音楽に身と心を委ねよう。
例えば、「フロリダ組曲」。夜明けから夜にかけての一日を描写した音楽は、さながら「枕草子」のよう。

第1曲「夜明け―踊り」
第2曲「河畔にて」(フロリダのセントジョンズ川の風景を表す)
第3曲「夕暮れ―農場のそばで」
第4曲「夜に」

興味深いのは自然の曲想と人事の曲想が明確に異なる点。ディーリアスの目に映る大自然はゆったりと深い呼吸と静かで鷹揚な気配を示す。それに対して人間の行為のいかに性急なことよ(笑)。とはいえその2つが混然一体となる様が見事!やはり人生の醍醐味は宇宙・大自然との共生にあるんだ・・・。

 


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