アダージョ楽章の浄化作用について考へる

adagiettoもう20年以上前の話。
当時、「アダージョ・カラヤン」というコンピレーション・アルバムが流行った。当然僕は聴かなかった(いまだに聴いていない)。アンチ・カラヤンだったこともあるし、そういう編集モノが邪道だという認識があったから。でも、どこかで気になっていたのだと思う。あるいは天邪鬼だからカラヤンだけは避けようと、ドイツ・グラモフォンからリリースされた”IMAGO”というシリーズの”ADAGIETTO”というアルバムを渋谷のFriscoで見つけ、買った。それが実に良かった。

音楽が「癒し」であり、哀しい気分の時に楽曲の緩徐楽章、それも哀感に満ちた楽曲を聴くことで浄化されることを思い知った。

昨夜の激しい雨、そして今朝の何とも気持ち良い空気。
なるほど、壮絶な雷雨が余計なものを一掃するということだ。
秋の気配も感じた。

で、ふと思い出した。あれらの音楽を。しばらく耳にしていなかったのだけれど、繰り返し聴いて哀しいのだけれど、とても清々しい気持ちになった。これこそ音楽の効用(=高揚)。

・マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調~第4楽章アダージェット
ジュゼッペ・シノーポリ指揮フィルハーモニア管弦楽団
・ロドリーゴ:アランフエス協奏曲~第2楽章アダージョ
ナルシソ・イエペス(ギター)
ガルシア・ナヴァロ指揮フィルハーモニア管弦楽団
・ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
カルロ・マリア・ジュリーニ指揮フィルハーモニア管弦楽団
・バーバー:弦楽のためのアダージョ
レナード・バーンスタイン指揮ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団
・ヴォーン=ウィリアムズ:「グリーンスリーヴス」の主題による幻想曲
オルフェウス室内管弦楽団
・ラフマニノフ:ヴォカリーズ作品34-14
ロリン・マゼール指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
・シベリウス:カレリア組曲作品11~第2曲バラード
オッコ・カム指揮ヘルシンキ放送交響楽団
・グリーグ:抒情組曲作品54~第4曲ノクターン
ネーメ・ヤルヴィ指揮エーテボリ交響楽団
・ワーグナー:歌劇「ローエングリーン」~第1幕への前奏曲
ジュゼッペ・シノーポリ指揮ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団

シノーポリの理知的なアダージェットに始まり冷静な「ローエングリーン」前奏曲に終わる選曲の妙。クライマックスにバーンスタインのバーバー(この音楽の最頂点での高音の調べはあの世に直結するかのよう)!!
さらに、マゼールの「ヴォカリーズ」の涙なくして聴けぬ歌!!

音楽の良いとこどりのこのアルバムの存在価値は計り知れぬ。
20数年の年月を経て、あらためて感動する僕が在る。

 


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