マタチッチのクロアチア現代作曲家作品集を聴いて思ふ

papandopulo_kelemen_detoni_matacic音楽とはその字の如く音を楽しむことである。
僕はこれまで何十年もたくさんの音楽を聴いてきた。そして今も毎日必ず「何か」に触れる。とはいえ、主体となって音楽を創ったことが残念ながらない。楽しむ方法としては、本当は「音楽をする」のが一番なのだと思うのだが、これまで機会を逸している。その意味では中途半端なんだ・・・。

そういえば、ブログを書き始めて間もなく8年目に入る。何と「8年」である。ほぼ毎日欠かさず何かしらを採り上げ、書き続けている自分をほめてあげたい気もするが、それは止そう。義務でも仕事でもなく好きで書いていることだから。

ここのところ思う。僕は音楽を本当に楽しんでいるのだろうかと。今や思考が先に立ち、感性で享受できていないのではなかろうかと。確かに何かを記すために聴いているような・・・。そう、書くことが前提になってしまっていて・・・。それならば本末転倒だ。

下手によく知る音楽の場合は、自分の趣味嗜好や考えが邪魔をする。「感性」で聴くならなるべく知らない音楽だ。ということで、クロアチア(旧ユーゴスラヴィア)の現代作曲家の作品を採り上げたマタチッチの実況録音盤。これが本当に素晴らしいのである。

・ボリス・パパンドプロ:弦楽のためのシンフォニエッタ
・ミルコ・ケレメン:チェロとオーケストラのためのチェンジエント
・ドゥブラフコ・デトーニ:ピアノとオーケストラのためのエルキュブレーションズ
ジークフリート・パルム(チェロ)
ドゥブラフコ・デトーニ(ピアノ)
ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮ザグレブ・フィルハーモニー管弦楽団(1971.7.11Live)

マタチッチはその豪放磊落なイメージからどちらかというと大味で、スケールの大きい解釈を得意とするように思いがちだが、こういう現代音楽を振らせると実に繊細で絶品。

パパンドプロの「シンフォニエッタ」から第2楽章エレジーにおける漆黒の美!そして、楽曲のあらゆる瞬間に横溢する旋律美!
ケレメンの「チェンジエント」にみる、どこか雅楽に通じる崇高さ!
さらには、デトーニの「エルキュブレーションズ」での打楽器的に扱われるピアノと弦楽器の特殊奏法に表現される暴力的な響き!

それでいて決して難解さを感じさせないのは、楽曲そのものの作りもあるだろうが、マタチッチのオーケストラ・コントロールの腕に依るところが大きいのかも。
今宵は音楽を・・・楽しもう。

 


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