ピアソラ、伝説の五重奏団!

早いもので今年も1ヶ月余りで終わる。そういえば、2012年はアストル・ピアソラが生涯を閉じてちょうど20年という節目の年だけれど、思ったより世間が騒いでないのでは・・・、と少しばかり気になった(もちろんすべてのニュースを網羅して把握しているわけではないので僕が見落としている可能性の方が高い)。このブログでも何度か書いているが、かつてバブルの時代に「中南米フェスティバル」という外務省主催のイベントに関わった際、ラテン・クラシックからボサノヴァ、タンゴまであらゆるラテン音楽を享受できる機会を得たのに、残念ながら当時の僕にとっては「猫に小判(豚に真珠)」状態で、目の前で繰り広げられる今となっては垂涎モノの舞台をものすごく冷静に、他人事のように観ていた自分を思い出すと同時に、とても悔しい思いが蘇ってきた。
ピアソラは当時ほとんど引退状態で、彼のステージを観ることは叶わなかったのだけれど、あの時、タンゴのロベルト・ゴジェネチェやボサノヴァのクアルテート・エン・シーなど、錚々たるメンバーの生舞台が繰り広げられた・・・。

過去の後悔話は止そう。無意味だから。
それより、本日もワークショップをやりながら思った。やっぱり人間は自分が作り出した「思い込み」や「幻想」に踊らされている場合が多いなと。事実はひとつで、それに良いも悪いもないのだけれど、皆(僕も含めて)勝手に判断していると(自分の都合の良いように、あるいは自分を敢えて貶めるように)。
ともかく「ありのまま」を正面から見て、体験し、感じる以外に何もない。

ピアソラはすでにこの世にいない。彼の一世一代のステージを体験することはもはや叶わない。でも、今夜だけは(笑)残されたライブ音源に浸って感じることは許していただこう(良い一日だったから)。ピアソラ自身の英語、スペイン語、イタリア語によるMCの入った貴重なライブ盤。
伝説の五重奏団を従えての最後の公演・・・。

Astor Piazzolla:The Central Park Concert(1987.9.6Live)

Personnel
Astor Piazzolla (bandoneon)
Pablo Ziegler (piano)
Fernando Suarez Paz (violin)
Horacio Malvicino (electric guitar)
Hector Console (bass)

それにしても、この味のあるアンサンブルよ。
ライブならではの熱気と聴衆の静かな興奮までもが音盤に刻印される。
パブロ・シーグレルの愁いを帯びたピアノ前奏を伴い”Adios Nonino”がたった今装置から流れる。スアレス・パスのヴァイオリンが泣く。そして、ピアソラの中心線のぶれないバンドネオンの音・・・。
さらに、”Contra Bajissmo”・・・、最後が”Concierto Para Quinteto”!!この五重奏曲は5人の奏者の魂がひとつになる傑作。

今夜は18世紀古典音楽から少し離れてKeith Jarrettの”Köln Concert”でも聴こうと思っていたのだけれど、どういうわけかついついこうなった(笑)。久しぶりに聴くピアソラはやっぱり熱い。


コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

アレグロ・コン・ブリオをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む