“Schizoid Dimension – A Tribute to King Crimson”を聴いて思ふ

a_tribute_to_king_crimson11月にイエスが来日し、「こわれもの」と「危機」の完全再現を軸にコンサートを開催するらしい。1990年のNHKホールでのクリス・スクワイア抜きのイエス、すなわち「アンダーソン・ブラッフォード・ウェイクマン&ハウ」のライヴに触れ、欣喜雀躍した身とすれば、そして30余年前に初めて耳にした「こわれもの」と「危機」に打ちのめされ、プログレに開眼した身とすれば居ても立ってもいられないところだが、ジョン・アンダーソン不在で、ビル・ブラッフォードがいなくて、さらにリック・ウェイクマンの存在なくしてあれら不滅の作品が本当に再現できるのか疑わざるを得ず、二の足を踏んでしまう。
語弊のある言い方だが、「危機」はまだ良い。メンバー各々が書き下ろした作品が中心となっている「こわれもの」は問題だ。”We Have Heaven”はジョン・デイヴィソンが代わって演るのか?”Five Per Cent for Nothing”はアラン・ホワイトが??さらには”Cans and Brahms”はどうするのだ???まさかジェフリー・ダウンズが???

時は流れる。過去はすでに過去。
アーティストがどんな理由にせよ復活し、元気にかつての名曲を舞台で披露することに異論はない。ただし、あの頃の思い出はそっと心の片隅にしまっておいた方が良いのかも。必ずしも幻滅するとは限らないが、「初めて耳にした時の感動」はおそらく再現され得ないゆえ。

1997年リリースのキング・クリムゾン・トリビュート。
あの頃、僕を虜にした楽曲群がカヴァーされ、装い新たに眼前に現れたときはとても新鮮だった。あの至高のバンドがいかに多くの後発バンドに影響を与えているのかが手に取るようにわかった。

Schizoid Dimension – A Tribute to King Crimson
・Controlled Breeding:Talking Drum
・David Cross:Exiles (Edit)
・Brand X (West):Red
・Brand X (East):Neil and Jack and Me
・Chrome:Moonchild
・Melting Euphoria:Lark’s Tongues in Aspic Part1
・Alien Planetscapes:A Sailor’s Tale
・Architectural Metaphor:Cirkus
・Pressurehed:21st Century Schizoid Man
・Astralasia:I Talk to the Wind
・Xcranium:Cat Food
・Spirits Burning:Red
・Solid Space:In the Wake of Poseidon

ほとんど別の曲に生まれ変わったMelting Euphoriaの”Lark’s Tongues Part 1”が聴きもの。そして、Alien Planetscapesによる”A Sailor’s Tale”もテクニック申し分なし、音の精度はクリムゾン級、その上キング・クリムゾンの新曲に触れるような錯覚に陥る名演奏。さらに、Brand X (West)とSprits Burningの”Red”聴き比べ!!!
とっておきのトリがSolid Spaceの”In the Wake of Poseidon”。この哲学的歌詞をもつ哀愁に満ちたメロディに心震え、間奏のメロトロン(?)に涙する。

「こわれもの」や「危機」もこの際トリビュート的にカヴァーで再現されるなら絶対に行くのに。それなら面白い!!!
それにしても何という冗談のようなジャケット・・・。


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