“Santana”を聴いて思ふ

santana音楽の根本、真髄はメロディなのかパルスなのか?もちろんその両方がなくてはそもそも音楽にはなり得ないのだけれど、ベースはどちらなんだと議論になった。
どちらを重視するか、最終的には個人の好みだろうか。ひょっとすると地域性もあるかも?西洋古典音楽の発祥であるイタリアはどちらかというと「歌」重視、そして18世紀以降のそのジャンルを席巻した独墺系のものは「パルス」重視という可能性もあるし・・・。ただこれは詳細に分析したわけでないので、酔狂の上での僕の戯言ということ。

とはいえ、僕の個人的見解で言うと、絶対「パルス」。
人間がおそらく最初に聴く音は母親の鼓動。そして、最も影響を受ける音もそれだろう。ならば、安寧や安心や、存在そのものを癒す根源は鼓動であり、パルスであり、それはリズムだ。人が音楽を聴く理由は存在の根底に根付いたそのもののように思う。

音楽をどのように受容するのか?果たして20世紀の十二音音楽をいかに理解するのか?あるいは、前衛といわれる音楽はどうだ?
これらはメロディで聴こうとするとお手上げになる。しかし、パルスを追うなら違う。よくわからないまま感応する、そういう可能性があるのだ。

ロック音楽、またはポピュラー音楽にそのことは顕著。例えば、サンタナ。1969年のウッドストックのパフォーマンスを聴くがよい。何という繊細さ。何という力強さ。そして、何というパッション!!

Santana

Personnel
Carlos Santana (guitar, vocals)
Gregg Rolie (organ, piano, vocals)
David Brown (bass)
Michael Shrieve (drums)
Michael Carabello (congas, percussion)
José “Chepito” Areas (timbales, congas, percussion, background vocals)

アルバム冒頭の、インストゥルメンタル・ナンバー”Waiting”のもつパルスに卒倒。ラテン・ロックの幕開けがまさにここにあるのだが、カルロスのギターのメロディもさることながら、重要なのはカラベロとシュリーヴが繰り出すリズムの妙味だ。
続く”Evil Ways”のポピュラリティ!!

初出のアルバム・ライナーを書いた福田一郎氏が、69年11月8日のフィルモア・イーストでのライブ評を引用されている。サンタナの音楽を実に見事に言い当てたもの。

彼らのミュージックは、6人のミュージシャンの演奏のようには聞こえない。巨大な、分離不能な一団からの、ことなった楽器と声が分枝しているようだ。6人の男が、同調する心臓で生きているようでもある。だれか一人が、音楽家として傑出しているというのではなく、協働は完全で、だれがソロをとってもグループのその他のメンバーのエネルギーは、その男の中に流れこんでゆく。その結果、だれかが音を出していないときでさえ、演奏しているように感じられる。

言うまでもなく、パルス・・・。
ポピュラー音楽に限ったことではない。クラシック音楽の根本もやっぱり「鼓動」。それはジャヌカンやラッソや、ジョスカン・デプレやバードや・・・、あらゆる中世&ルネサンス期の音楽にも通底する(と僕は確信する)。ただし、「歌」を否定していうのではない。パルスをベースに「歌」があってはじめて音楽は機能するものだから。

 


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