“The Beach Boys Today!” (1965) & “Summer Days (And Summer Nights!!)” (1965)を聴いて思ふ

真夏のビーチ・ボーイズ。
1965年以降のバンドの音楽はブライアン・ウィルソンに託され、ビーチ・ボーイズの他の面々はある意味ブライアンの芸術を表現するための手足となったと言っても言い過ぎではないのでは?

1965年、ツアー中に精神異常をきたしたブライアンはツアーから完全に身を引くことを決意、スタジオにこもって自分が理想とする音楽を追求することになる(そのブライアンの代わりにブルース・ジョンストンが正式にビーチ・ボーイズのメンバーになる)。結果ビーチ・ボーイズのメンバーがレコーディングに参加する機会は激減し、とくにバック・トラック(伴奏)はブライアンが雇ったセッション・ミュージシャンが中心になって制作される。
中山康樹著「ビーチ・ボーイズのすべて」(枻文庫)P126

革新というのは正常な中では生まれないのかもしれぬ。
かつて山下達郎がリリースした”Big Wave”には、ビーチ・ボーイズのいくつかの楽曲がカヴァーされ収録されていた。初めてその音楽に触れたときがおそらく僕の初めてのビーチ・ボーイズ体験ではなかったか?

Now here we are together
This would’ve been worth waiting forever
I always knew it’s feel this way

And please forgive my shaking
Can’t you tell my heart is breaking
Can’t make myself say what I plan to say

Baby, please let me wonder
If I’ve been the one you’ve loved

ブライアンのヴォーカルが光る。“Please Let Me Wonder”は特にセンス溢れる名曲だ。

・The Beach Boys Today! (1965)

Personnel
Al Jardine (lead, harmony and backing vocals, electric rhythm guitar, bass guitar, handclaps)
Mike Love (lead, harmony and backing vocals, handclaps)
Brian Wilson (lead, harmony and backing vocals, four and six-string bass guitar, grand, upright and tack piano, Baldwin harpsichord, Hammond organ, handclaps)
Carl Wilson (harmony and backing vocals, lead, rhythm and twelve-string guitar, six-string bass guitar, handclaps)
Dennis Wilson (lead, harmony and backing vocals, drums, tambourine, handclaps)

ジャケット写真撮影時に体調を崩していたアル・ジャーディンの姿が消え、撮影されたにもかかわらずブルース・ジョンストンはジャケットから外された。ジャケットに写る4人のビーチ・ボーイズは、その後に訪れる波乱の幕開けを暗示するかのようだ。
~同上書P140

古今東西、ポップス史上最大の名作のひとつ”California Girls”の、マイク・ラブのリード・ヴォーカル、そしてメンバーのコーラスの美しさ。

ブライアンによれば、曲はできたがイントロが不可欠と思い、改めて書き足したという。ブライアンがいう「曲はできたが」の“曲”のイントロとは“タラララ、タラララ”とはじまるブギウギ調のパート。
~同上書P147

・The Beach Boys:Summer Days (And Summer Nights!!) (1965)

Personnel
Al Jardine (lead, harmony and backing vocals, electric rhythm guitar, hand claps)
Bruce Johnston (harmony and backing vocals, acoustic grand piano, Hammond organ, celeste, hand claps)
Mike Love (lead, harmony and backing vocals, hand claps)
Brian Wilson (lead, harmony and backing vocals, bass guitar, acoustic upright piano, Hammond organ, hand claps, timpani)
Carl Wilson (lead, harmony and backing vocals, lead, rhythm, acoustic and twelve-string guitar, hand claps)
Dennis Wilson (harmony and backing vocals, drums, tambourine, hand claps)

ブライアン・ウィルソンの天才がそこかしこに散りばめられた、”Pet Sounds”の前哨となる傑作。サーフィンも、車も、海も、水着の女の子も、歌を売るための表象に過ぎなかった。いまだに色褪せない各楽曲の魅力にあらためて感動。
当時、遠く離れた英国ではビートルズが”Rubber Soul”をリリースする直前で、間違いなくブライアンの影響を受けたのだと納得する。

 

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4 COMMENTS

岡本 浩和

>雅之様

その字の通り、化石ではあっても周囲とは確実に異なる特別な秀でた存在だと思います。
しかし、地質学におけるノジュール(団塊)という言葉は初耳でした。
勉強になります。
ありがとうございます。

返信する
雅之

>その字の通り、化石ではあっても周囲とは確実に異なる特別な秀でた存在だと思います。

・・・・・・ところで、団塊世代の名付け親である堺屋太一氏は、「団塊というのは、鉱物用語で『ノジュール』の訳語です。堆積岩中に周囲と成分の異なる物質が棒状または偏平状に固まっているところを指します。だから、『大きく固まっている存在』というだけではなくして、『密度が高くて周囲と異なる特質を持つ』という意味が含まれています」(『団塊の世代「黄金の十年」が始まる』(文藝春秋)より)と述べている。

団塊世代はそのボリュームの厚さだけがクローズアップされがちだが、実はそれに加えて前後の世代とは異質な考え方に基づいて行動するという特質を持つ。すなわち、これまでの「高齢者/シニア」というイメージだけでは捉えきれないことが、この世代の存在感をいっそう高め、世に幾多の団塊世代論が提出されることになる。・・・・・・・リクルート住まい研究所 サイトより

http://www.jresearch.net/house/jresearch/dankai/

だそうです。

返信する
岡本 浩和

>雅之様

団塊世代というのもここから来ているんですね・・・。
しかも堺屋太一さんの命名とは知りませんでした。
ありがとうございます。

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