ホルスト・シュタイン指揮バンベルク響のウェーバー「魔弾の射手ミサ」を聴いて思ふ

weber_freischutz_messe_stein244思わずうなるほど美しい。
教会のための音楽ではあるが、ベートーヴェンの「荘厳ミサ曲」然り、作曲家の頭の中ではどれだけそのことが意識せられていたことだろうか。
ちょうどかのドイツ国民オペラと同時期に書かれたことから「魔弾の射手ミサ」などという異名を持つそうだが、音楽的にはこのオペラとは何の関係もない(らしい)。
それにしても、作曲家が39歳という若さで亡くならなければ、音楽史は間違いなく変わっていたことだろう。

第1曲「キリエ」の柔らかな音色はモーツァルトを髣髴とさせる。少々くすみのある管弦楽の精妙な響きに対して、崇高な合唱と妙なる独唱の素晴らしさ。何より類い稀なる旋律美。
第2曲「グローリア」に見られる喜びに溢れる躍動とベートーヴェンさながらの堂々たる風格に感動。
そして、第3曲「クレド」の、峻厳で意味深い音楽と、静謐な歌にカール・マリア・フォン・ウェーバーの天才を思う。
短い第4曲「オッフェルトリウム(奉献唱)」を経て、第5曲「サンクトゥス」の、静かに始まる冒頭合唱がソプラノ独唱を伴って一気に解放される瞬間のカタルシス。さらには第6曲「ベネディクトゥス」の、呼吸の深い悠久の音楽は、シューベルトのそれをも凌ぐ。いよいよバスに導かれて深遠な世界に誘われる終曲「アニュス・デイ」の、4人の独唱者による絶妙なアンサンブルに心動き、合唱との見事な連携に舌を巻く。
これは名匠ホルスト・シュタインの最善最美の音楽のひとつであろう。

ウェーバー:
・聖なるミサ曲第1番変ホ長調作品75, J.224「魔弾の射手ミサ」
クリスティナ・ラキ(ソプラノ)
マルガ・シムル(アルト)
ヨーゼフ・プロチュカ(テノール)
ヤン=ヘンドリック・ローテリング(バス)
バンベルク交響合唱団
ホルスト・シュタイン指揮バンベルク交響楽団(1985.9.9-13録音)
・聖なるミサ曲第2番ト長調作品76, J.251「祝典ミサ」
エリーザベト・シュパイサー(ソプラノ)
ヘレン・ワッツ(コントラルト)
クルト・エクヴィルツ(テノール)
ジークムント・ニムスゲルン(バス)
シュトゥットガルト聖歌児童合唱団
ゲルハルト・ヴィルヘルム指揮ヴェルナー・ケルチュ器楽アンサンブル(1969.11.2-5録音)

一方の、続いて作曲された「祝典ミサ」。例えば、第3曲「クレド」における清澄なソプラノ独唱をサポートする管弦楽の、森羅万象の音化のような深い響きに感動。当時の作曲者の創造力の飛翔とザクセン宮廷楽長に任命されるなど、社会的地位を得ての飛ぶ鳥を落とす勢いが垣間見える。素晴らしい。

 

ブログ・ランキングに参加しています。下のバナーを1クリック応援よろしくお願いいたします。


音楽(全般) ブログランキングへ


コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください