混沌と調和は常に歴史の中で繰り返されてきたこと。
それは現代も変わらない。すべては無常。
古代ギリシャに思いを馳せる。
塩野七生さんの「ギリシア人の物語Ⅰ」の結句は次の如し。
人間とは、偉大なことでもやれる一方で、どうしようもない愚かなこともやってしまう生き物なのである。このやっかいな生き物である人間を、理性に目覚めさせようとして生まれたのが「哲学」だ。
反対に、人間の賢さも愚かさもひっくるめて、そのすべてを書いていくのが「歴史」である。
この二つが、ギリシア人の創造になったのも、偶然ではないのであった。
~塩野七生著「ギリシア人の物語Ⅰ民主制のはじまり」(新潮社)P345
もし人間がただ利口なだけだったなら、今の文明はないのかも。破壊と創造が繰り返されることによる螺旋的発展。山あれば必ず谷あり。
「哲学」や「歴史」がギリシア人の創造ならば、西洋古典音楽の源泉である「音楽」もそう。強いて言うなら、音楽は理性を目覚めさせると同時に感性をも刺激した。
「古代ギリシャの音楽」:
・序奏
・「オレステース」のスタシモン
・コントラポリノポリスの器楽曲断片
・デルポイのアポロン讃歌第1
・テクメッサの嘆き
・パピルス・ウィーン29825
・太陽神への讃歌
・ムーサへの讃歌
・ネメシスへの讃歌
・パピルス・ミシガン
・アエナオイ・ネフェライ(不断に流れる雲)
・セイキロスの墓碑銘
・パイアン
・ベラーマンの無名氏
・ピュティア祝勝歌第1
・パピルス・オクシュリンコス
・オクシュリンコスのキリスト教讃美歌
・ホメロスの讃歌
・パピルス・ゼノン・カイロ断片
・テレンティウス「義母」第861行
・「道徳詩」第1歌第11~12行(ミーニュ版教父全集37,523f)
・デルポイのアポロン讃歌第2
・パピルス・オスロ1413A/B
・終奏
グレゴリオ・パニアグワ指揮アトリウム・ムジケー古楽合奏団(1978.6録音)
何十種にものぼる復元楽器による古代の祭典(空想の音楽会)。
ここにあるのは狂騒ではなく、静かで透明な祈り。
「序奏」冒頭から実に刺激的。
何という音楽の拡がり。そして魂にまで届く深み。
浮世離れした懐かしい旋律、不思議な音感。
難しいことを考えず、ひたすら音を追う、そしてその響きに浸る。
時空を超え、古代ギリシャに思いを馳せる。
女優って、とんでもなく大変な仕事だし、まともな神経を持った人間には馬鹿馬鹿しくって、とてもできることじゃないんだもの。そこまでの劣等感は私にはない。映画スターであることと、巨大なエゴを抱えて生きるのは同じことのように世間では思われているけど、実際にはエゴなんてひとかけらも持ちあわせてないことが、何より大事なことなの。リッチな有名人になりたくないってわけじゃないんだよ。私としてもいちおうそのへんを目指しているし、いつかそれにもとりかかるつもりでいる。でももしそうなっても、私はなおかつ自分のエゴをしっかり引き連れていたいわけ。いつの日か目覚めて、ティファニーで朝ごはんを食べるときにも、この自分のままでいたいの。
~トルーマン・カポーティ作/村上春樹訳「ティファニーで朝食を」(新潮文庫)P63
ユニークであれ。
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ご紹介の録音も、昔私が愛聴盤としてコメント欄に話題を持ち出したことがありましたが、じつは私はオーディオ評論家 故 長岡鉄男さんの影響を受けて、このLPを購入したものです。
「ぞっとするほどの生々しい優秀録音」
・・・・・・SN比がよく、残響がすごく長く豊かで美しく、しかも直接音は鮮明で力強い。音像の輪郭は自然、定位も自然で音場は3次元的に深く広い。はるか彼方に雀の声がきこえる。雀の声はアルバムを通して絶えず入っている。
Dレンジは圧倒的に広く、こんなに力感のある、厚みのある音はきいたことがない。ぞっとするほどの生々しさがある。こんな録音は通常の方法では不可能である。筆者の想像では、録音場所は人里離れた修道院の、天井の高い礼拝堂、時間は早朝、マイクは2本、2トラックデッキ直結、リミッター、ドルビー、ミキシング等いっさいなし、というのを基本にしていると思う。とにかくすばらしい録音である。・・・・・・(ステレオ誌 1980年11月号より)
長岡さんも、無数の人真似亜流ファンを作ったという意味で宇野さんとよく似た面があったと思います(もちろん私もそのひとり)。
現在私が所有しているのは良心的で丁寧なリマスターで知られるxrcd24のCD。
でも、こういうのは間違いなく最初聴いたLPが一番音は良いです。
>雅之様
長岡鉄男さんにも影響受けた人は多いですよね。
ちなみに僕は宇野さんほどの影響は受けませんでした。
雅之さんは長岡式の自作スピーカー(スワンとか)を作られたんでしたっけ?
ああいうのもやってみたいと思いつつ、はまりませんでしたが。
>でも、こういうのは間違いなく最初聴いたLPが一番音は良いです。
進歩と退歩は表裏ということですね。