決めること

bach_klemperer.jpg人生はすべてが選択の連続。「決める」ことが大事。
先週末の2日間、福岡でのセミナーを開催したが、少人数ながらご参加いただいた方々に喜んでいただけたようで本当によかった。ほんの一瞬延期するかどうか迷ったものの、本来の目的に還り、ひとりでも多くの方に変化のきっかけと気づきを与えられるならと、腹を据えてやってみてよかったと心底思える。
物事を実行する時には、様々な障害や問題が行く手を阻む時がある。あるいは自己利益を最優先するあまり目的・初心を忘れることもある。何のためにやるのかを都度顧みてひとつひとつ大事に行動することにしよう。

今回のセミナーには、M君という学生が参加した(彼は4月から新社会人だ)。彼の口癖は「どっちでもいいです」。セミナーの第一日目が終了したあと、3人で食事に行くことになり、「一緒に行くか?」と聞いたら「どっちでもいいです。」と答える。「じゃあ、帰れ」と言ったら、「行きます」と言ってついてきた(笑)。
行きたいなら最初から行きたいって言えばいいのに、自分の意思を明確にすることを敢えてしないのか、年上を前に緊張して遠慮しているのか、それとも本当に「決められない」のか、曖昧な返答はもどかしい。責任を回避しているかのような答だからだ。おそらく、今までの人生でそういうパターンを繰り返してきたんだろうから、そのあたりを責め立ててもいけないのだが、何だか、遠慮と意思を明確にしないことを混同しているようなので、「どっちでもいいです」という言い方はこの際やめるようアドバイスしておいた。

自分の意思を明確にすること。「やる!」でも「やめる!」でもよい。ともかく「決める」こと。「決める」ことが「ぶれない」秘訣。自分の直感で決め、決めたことは責任を持って遂行する。それでいいのだ。霧のような小雨降る中、午後福岡から帰京。久しぶりに訪れた福岡の街は何だかとても良かった。近いうちに仕事でまた行けるようがんばろう。

J.S.バッハ:管弦楽組曲全集
ガレス・モリス(フルート)
オットー・クレンペラー指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

最晩年のクレンペラーの巨大な足どり。およそバッハらしくない鈍重さがかえって心に染み入る。特に有名な組曲第3番のアリア。これほど切なく、哀しく、涙を誘う表現がほかにあろうか・・・。それは、自身の内面に沈潜し、過去を振り返り、そしてその全てを受け容れ、許さんとする「愛」に満たされた、心の叫びであり、囁きでもある。

その日一日の言動を独り振り返るときにぴったりのBGMかな・・・。

5 COMMENTS

雅之

こんばんは。
クレンペラーのバッハは 、天地創造的巨大スケールの演奏の『マタイ受難曲』も昔からの愛聴盤です。 
http://www.hmv.co.jp/product/detail/720905
それにしてもクレンペラーの伝記って、いつ読んでも面白いです。
・・・・・・ハンブルクの指揮者時代に、クレンペラーはある女性オペラ歌手と不倫関係となった。その歌手と共演し帰宅した際、待ち伏せしていた不倫に怒った相手の夫(指揮者)から棍棒で打たれた。次のステージに頭に包帯を巻いてピットに現れたところ、客席からはブーイングとヤジが飛び出した。クレンペラーは客席に向かって怒鳴った。「俺の音楽が聴きたくないやつは出ていけ!」・・・・・・『ウィキペディア』 より
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%A9%E3%83%BC
この自信!!クナッパーツブッシュもそうですが、やっぱ昔の巨匠は腰の据わりかたが半端じゃないですね!だからこそ、こんな凄い演奏が出来たのでしょうね。
いい仕事は、きれいごとだけじゃあ出来ないってことですね。私も含め、現代人は小粒になったものです。

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岡本 浩和

>雅之様
こんばんは。1日ブログを書くのが抜けると、とても久しぶりのような気がします(笑)。
クレンペラーの「マタイ」は聴いてないんですよね、僕。聴こう、聴こうと思って何年も経過してしまいました。
それと、おっしゃるとおりクレンペラーの伝記は最高です。ほとんどきちがいじゃないかと思うほどです。
同じく、僕も小粒です・・・。

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もっち

おつかれさまです。
あれからタブーは今のところ1度も言ってません。
お金がないので(笑)
長距離の移動は何もしなくても疲れるきがします。
ゆっくり休んでください。
また九州に来るようでしたら教えてください。

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岡本 浩和

>もっち
おはよう。
偉い!タブーに挑戦ね(笑)。
日本語で「言霊」っていうように、自分の発する言葉は大切だからね。ネガティブなことを言ったり、曖昧な返事をすることは自分で自分の首を絞めてるようなものなので気をつけよう。
また九州で会いましょう。

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アレグロ・コン・ブリオ~第5章 » Blog Archive » 水の如く

[…] J.S.バッハ:管弦楽組曲第3番ニ長調BWV1068(1948.10.22Live) ヘンデル: ・合奏協奏曲ニ長調作品6-5(1954.4.27Live) ・合奏協奏曲ニ短調作品6-10(1950.6.20Live) グルック:歌劇「アルチェステ」序曲(1951.9.5Live) ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 いかにもフルトヴェングラーらしいバッハ。クレンペラーのそれよりもっと粘っこく、一層情感がこもる。特に「エアー」は必聴。身も心も捧げてしまいそうな(笑)入魂のバッハ。 そして、亡くなる半年前のヘンデルの演奏の何と澄んでいることか!それに何と若々しさが感じ取れることか(ラルゴ楽章の慟哭の祈り!)。 グルックの、あまりに意味深い直接的な音も・・・。 […]

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