人生の中で、そして今ある世界でひとりとして(ひとつとして)欠けるとそれは成立しない。ワン・ピース。僕たちはすべての中の一片なんだとあらためて思う。
ビートルズが最もビートルズであった日々、彼らはひとつであった。
その頃の作品には、粗削りさの中に新鮮な熱狂と温かい愛が刻印される。それは50余年を経た今でも変わることがない。
そんな彼らは決して聖人君子ではない。いかにも俗人らしい。
何という微笑ましさ。それは歌を聴けばわかる。
“A Hard Day’s Night”
日がないちにち働きづめだ
君にいろいろ買ってやるためさ
それも君の一言で報われる
“あなたのためならなんでもするわ”って
どんなに辛いことがあっても戻る場所があれば人は癒される。
日々、山あり谷あり。人は人を必要とする。
“If I Fell”
僕が君と恋におちたら
裏切らないと約束してくれる?
つい条件を付けてしまう人間の弱さ。でも、それで良し。
“And I Love Her”
彼女はやさしく僕に尽くしてくれる
愛に満ちたくちづけは僕だけのため
あの娘を愛してる
クラシカル・ギターによる不滅の前奏。ポールの初期の名作のひとつは、永遠の愛を歌っているけれど、神々しいものではない。あくまで日常だ。
“Can’t Buy Me Love”
君が喜ぶなら
なんだって買ってあげるよ
僕は金には執着しないんだ
いくら金を積んでも愛は買えないからね
その通り。それでも、やっぱり彼らの愛が無条件でないことが実に愛おしい。
The Beatles:Songs from the film A Hard Day’s Night (1964)
Personnel
John Lennon (vocals, acoustic and electric guitars, piano, harmonica, tambourine)
Paul McCartney (vocals, acoustic and bass guitars, piano, cowbell)
George Harrison (vocals, acoustic and electric guitars, claves)
Ringo Starr (drums and percussion)
George Martin (piano, record producer)
“I’ll Be Back”
僕の心を傷つけるなら出ていくよ
でも また戻ってきてしまうだろう
前にも一度さよならを告げたけど
やっぱり戻ってきた僕のことだ
勝手なものだけれど、深い愛情に溢れることが読める。
人間というものなかなか素直になれないもの。
それでも、こうやって直接的に伝えられれば関係は培える。
わずか30分ほどの人間ドラマ。愛だの恋だの訴えかけるけれど、根底にあるのは寂しさだ。
素直になろうではないか。
※太字歌詞対訳:内田久美子
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