目に見えない「つながり」

beatles_past_masters_2.jpgここのところ毎月のように教え子の結婚式に招ばれる。式から披露宴、そして二次会と続けざまに参加するとまる一日を要する大仕事になる。例えば今日のような場に招ばれる人たちの大半が、かつて僕が所属していた就職支援会社のセミナーを受講し、1年や2年という年月をかけて同じ釜の飯を食いながら、来る日も来る日も厳しいトレーニングをし、それこそ学生時分から「人間力」とは何哉を叩き込まれていた人たちだから、こういう言い方は正しくないのかもしれないが、はじめから意識のレベルが違うというか、他(それは友人であったり、先輩・後輩であったり、あるいは家族であったり)に向けてのエネルギーのレベルが違うというか、外部の人間が見たらいつも吃驚するような創造力と一体感が表出される。

例えば、フィリピンのある孤児院に向けてのチャリティ活動もいよいよ今年で10周年を迎えるということだが(僕は2006年までは参加していたが、前職を辞めてからはあえて一定のスタンスを置くようになった)、日頃第一線で活躍する30歳前後の若手社会人が、就業時間以外の時間を、それこそ寸暇を惜しんで活動に時間を当て、イベントを開催し、かの孤児院の子どもたちの大学進学のための資金を稼ぎ出すというのだからまったくもって恐れ入る。そういう人間たちが集まった結婚式の二次会の様子などは、本当に「チャリティ活動」を斜めに構えてみたり、目もくれない人々に見せてあげたいと思うくらい。日本の若者たちも捨てたものじゃないですよ、と。

前職ではいろいろとあったが、やっぱり学ばせていただいたことが多いと痛感、感謝する。と同時に、「人間力」、平たく言えば「他を思いやる力」を養成するようなセミナーや研修は絶やしてはいけないとやっぱり強く感じる。

ちなみに、「人間力」発見日記にも書いたが、人と人との「つながり」には目に見えるものと見えないものとがあると思う。どちらも大事だろうが、やっぱり、真に信頼関係に基づいた目に見えない「つながり」をいかにキープするかの方がより重要かも。日常的に頻繁に会う仲間たちでなくても、つながっているんだという感覚をきちんともてること。

まる一日外に出っぱなしだったものだから、妻が寂しい思いをしたらしく(笑)、まだ帰って来ないのかという電話が入った。二次会が始まって1時間半ほど経過した頃だったので、あと2時間くらいは無理だと言って電話を切った。で、パーティー終了後まっすぐ帰る旨連絡して数分後、何と知人から新宿二丁目に呼び出されたからこれから出かけるという妻からのメール。行ってきなさい、行ってきなさい、どんどん活動的に動きましょう。信頼関係に基づく目に見えない「つながり」の大切さ。これは決して「のろけ」じゃないですよ。昨今は、夫婦間でもそういう「つながり」を疎かにしているケースが矢鱈に多いから。日々本音で語り、時には喧嘩もし、人間らしいコミュニケーションをとることはとても大事。

深夜に聴くビートルズ。パスト・マスターズには僕が愛して止まない彼らの楽曲がいくつも収録されている。例えば”Rain”、あるいは”Lady Madonna”、そして”Hey Jude”に”Revolution”。どれもが当時としては画期的な音楽たち。そこには新しいチャレンジがあり、しかも大衆から圧倒的な支持を得たという、真のコミュニケーションが存在する。The Beatlesの音楽の普遍性は、彼らが目に見えない「つながり」を信じていたからではないのか、そんなことを考えながら聴いた。

The Beatles:Past Masters Vol.2


2 COMMENTS

雅之

おはようございます。
今回の岡本さんの話題での私の連想は、ピエタ慈善院
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A8%E3%82%BF%E9%99%A2
と、ヴィヴァルディのこと。
慈善院付属音楽院で育った、女性ヴィルトゥオーソや名歌手に想いを馳せ、バルトリの歌唱で、
ヴィヴァルディ・オペラ・アリア集
http://www.hmv.co.jp/product/detail/200352
を久しぶりに聴いてみたくなりました。
イタリア合奏団による『調和の霊感』の名盤などとともに・・・。
ヴィバルディも、彼の生きた背景にまで思いが及ぶと、また聴き方が変わりますね。
そして、ビートルズはやはり偉大ですね。『赤盤』『青盤』の最新リマスターCD、音が気になるので購入しようかなあ・・・、やっぱ止めた!、そんなお金があるなら、私も皆さんの爪の垢でも煎じて飲み、せめて、ささやかな寄付に回そっと。私が今出来ることはそのくらい・・・。

返信する
岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
>ヴィバルディも、彼の生きた背景にまで思いが及ぶと、また聴き方が変わりますね。
おっしゃるとおりですね。ピエタ慈善院のことはあまりよく知りませんが、少し背景等を勉強してみると面白そうですね。
ご紹介の音盤は未聴ですが、これは結構良さそうですね。意外に僕はヴィヴァルディの音楽が好きでして。
『赤盤』『青盤』の最新リマスターについては僕もなかなか買う気にはなれません。SACDならともかく。

返信する

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

アレグロ・コン・ブリオをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む