誰と組むかってとっても大事・・・

beethoven_emperor_heidsieck.jpg昨日、第24回「早わかりクラシック音楽講座」が終わった後、最後は新宿のゴールデン街に何人かで繰り出したことは書いた。今日も朝から一仕事終えた後、近くのカレー屋で友人カップルと食事をし、そのまま築地の聖路加国際病院のギャラリーで開催されている「近藤恵三子日本画展」を観に行った。近藤さんはつい数ヶ月前に瑞浪市で知り合った女性で、先日も「ワークショップZERO」を受講していただいて、ますます制作力に磨きがかかったようである。何とか「日本画」で一本立ちできるよう頑張るのだと。意識を少し切り替えるだけで、人の進化・進歩は計りしれない。とにかく彼女は素直なところがよい。人間「素直、前向き」が一番。

人にモノを売るときには細心の注意が必要である。血眼になって「その物」を探している人が、実際に手に入れたときの期待やら感動やらは想像に難くないわけで、買う側の立場に立ってみると、自分の勝手な「ものさし」や思い込みで処理するのは極めて危険だと思うのである。コミュニケーションでもそう。僕は人間関係で何かトラブルが起こったときに、基本的に双方の意見を聞かないまま云々することはしないことをモットーにしている。その人の意見はあくまで主観的なもので、もう一方の話を別の視点でじっくり聞いてから客観的な判断をしないと間違った結果を導いてしまうからである。そういう僕でも「甘さ」はある。「まぁ、それくらい良いじゃないか」などとついついアバウトに流してしまうことも多い。悪く言えば「いい加減」、よく言えば「大らか」といったところか・・・。ともかく「他人に喜んでいただく」ことを軸に、仕事でもプライベートでも抜かりなくお努めしなけりゃとあらためて思った次第。

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調作品73「皇帝」
エリック・ハイドシェック(ピアノ)
ジャン・ジャック・レオナー指揮レオン・バージン管弦楽団

この音盤の惜しいところは、オーケストラの拙さ。テクニック抜群のプロ・オーケストラよりもアマチュア管弦楽団のほうが納得のゆく素晴らしい演奏をすることも多々あるのだから、このレオン・バージン管弦楽団というオーケストラが最悪だといっているのではない。ハイドシェックの発する波動と見事に「合っていない」のである。
特に、協奏曲の場合、指揮者とオーケストラはもちろん、指揮者とソリスト、そしてソリストとオーケストラ奏者との意思の統制、調和がとれていないと聴いていられないものになってしまう。いつだったかバックハウスがクナッパーツブッシュの指揮で録音した「皇帝」のライブ演奏を聴いたとき、びっくりしたことがある。よくもあれだけはずした滑稽な演奏が表に出てきたものだと笑ってしまった。いわゆるクナッパーツブッシュ・ファンはクナの演奏ならどんなものでも手に入れたいのだろうが、それにしてもあのズレ具合はいただけない。

それぞれが超一流であっても「波長」が合わなければ悲惨な結果になるのは目に見えている。何でもそうだが、誰と組むかっていうのはとても大事だ。


5 COMMENTS

雅之

おはようございます。
ご紹介のハイドシェックの「皇帝」も、バックハウス&クナッパーツブッシュの同曲も残念ながら未聴です。しかしお話を読んで、なるほどと思いました。特にクナッパーツブッシュについては、然もありなんです。
協奏曲でのこういう話をきく度に、バーンスタインがグールドとカーネギー・ホールで1962年に共演した(NYフィル)、ブラームスのピアノ協奏曲第1番でのスピーチを思い出します。
よくご存じのように、その時バーンスタインは演奏の前に、「グールドの提示した第1楽章のテンポは私の意にそわない。しかしグールドはまじめな芸術家であり、彼が真剣に考えたことは、こちらも真剣に受け取る必要がある。また、彼の構想は面白いものであり、皆さんにもぜひ聴いていただきたいので指揮をする」と言いましたよね。
ここでバーンスタインがとった態度が、指揮者として相応しいものであるかどうかは、難しいところですね。カラヤンのように、自分の個性を埋没させかねないソリスト(例えばアルゲリッチ、ポリーニなど)とは最初から共演しないという態度も嫌ですが、ソリストに対し物わかりが良すぎるのも、時と場合によるでしょうしね・・・。
協奏曲は、仕事での人間関係を考える上で、じつに興味深い曲種だと思います。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
バックハウス&クナッパーツブッシュの「皇帝」は機会があったらぜひ聴いてみてください。よほどのバックハウス・ファンあるいはクナッパーツブッシュ・ファンじゃない限り手元におく必要はないと思いますが・・・。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/908960
本当に笑っちゃいます。もしもバックハウスが生きてたら裁判沙汰になるでしょうね。
グールド&バーンスタインのブラームス、僕は好きですね。バーンスタインはテンポが納得できなかったといいますが、後年の音盤など聴いてみるとどう納得できなかったのかよくわかりません。まぁ、人間ですから歳をとると感性も考え方も変わりますから何とも言えませんが。
>協奏曲は、仕事での人間関係を考える上で、じつに興味深い曲種だと思います。
おっしゃるとおりですね。

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雅之

こんばんは。
おすすめの(?)バックハウス&クナッパーツブッシュの「皇帝」の迷盤、ぜひ聴いてみたいです(笑)。ご紹介ありがとうございます。
私、4番DVD(オケ、VPO)はTDKで発売された時のものを持っています。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2802941
この演奏も、バックハウスの発する波動と見事に「合っていない」です(笑)。というか、クナッパーツブッシュのほうが合わせる気がまるでないようですよね。やはり彼は宇野さんの言うように、「ワーグナー以外は遊びの対象」でしかなかったのでしょう。
最初のコメントで、協奏曲は、仕事での人間関係を考える上で、じつに興味深い曲種だと申しましたが、「波長」が合わない人と組んで仕事をしなければならないケース(サラリーマンでは日常茶飯事)の対処法のヒントも詰まっていて、興味が尽きません。例えばクナッパーツブッシュみたいな上司や同僚、顧客は多いですから(おっと問題発言・・・笑、私もそう思われてたりして・・・爆)。オケとの関係も含め、教訓になることは多いですね。
>バーンスタインはテンポが納得できなかったといいますが、後年の音盤など聴いてみるとどう納得できなかったのかよくわかりません。
おっしゃるとおりですね。速い話、グールドと共演した盤より、晩年のツィンマーマンとの盤の方がテンポが遅いくらいですものね。それとテンポ以外に、「波長」の相性の問題も大きかったのではないでしょうか?

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岡本 浩和

>雅之様
雅之さんにはぜひ聴いていただきたいですね。というのもカップリングの第8交響曲はクナらしい名演奏だからです。それと、ご紹介の4番のDVDは僕も所有しています。確かに見事に合わせてないですね、クナは(笑)。
>オケとの関係も含め、教訓になることは多いですね。
なるほど。何事も勉強です。
>それとテンポ以外に、「波長」の相性の問題も大きかったのではないでしょうか?
バーンスタインは単に自分が主導権を握りたかったんじゃないでしょうか?それなのに、どちらかというとグールドの方が主張したりしたものだから、それが気に入らなくて天邪鬼的な発言になったのかもしれません。

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