庵野秀明脚本・編集・総監督「シン・ゴジラ」(2016)

shin_godzzilla神は決して罰を与えることはないという。
たとえそれが凶悪な犯罪者であったとしても愛をもって包み込むのだという。
もし罪の意識に苛まれるなら、その意識こそが自縛の本となるのだろう。だからこそ自省し、懺悔することが大切なのである。

ゴジラは神の使者だそうだ。人類の無謀さが神の怒りに触れて東京を、この世界を襲ったというのか?僕たち人間が霊長類最高の形だと、有史以来自惚れていることがそういう事態を招いているのだといいたいのか?それならば神の使者の息の根を一旦止めたところで、必ず息を吹き返すに違いない。対症療法というのは、まったくもって一時しのぎに過ぎぬゆえ。

神は僕たちの内に在る。
ならば、この物語は、スクリーンを通して観た出来事は、あきらかに僕たち一人一人の「中で」起こっていることを描いているのではないのか。狂暴化するのも沈静するのも対峙する人間、すなわち僕たちの心、あるいは魂次第。
戦いを挑むシーンに武者震いが起こった。止めどなく生れ出ずる恐怖は、僕たちの良心に照らして「戦うことを止めろ」と制しているように思えてならなかった。

物質的繁栄だけに現を抜かし、精神的成長をないがしろにしてきたツケは甚大だ。結局、人類は、ひとりひとりが真に覚醒しない限り本当の意味での変革はないように思う。

シン・ゴジラ(2016)
長谷川博己(矢口蘭堂・内閣官房副長官・政務担当)
竹野内豊(赤坂秀樹・内閣総理大臣補佐官・国家安全保障担当)
石原さとみ(カヨコ・アン・パタースン・米国大統領特使)、ほか
脚本・編集・総監督/庵野秀明
監督・特技監督/樋口真嗣
准監督・特技統括/尾上克郎

評判通り素晴らしい映画。
しかし、(庵野監督らしい)予想通りの展開、そして意図。
ここで「エヴァンゲリオン」を持ち出すのはいとも簡単なことだが、そう安易にはとらえたくないというのが本音。おそらくあるだろう続編に一層期待したいところ。
あえて沈黙だ。

 

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