世の中から戦いがなくなれば良いと心底思う。夢の夢だろうけれど・・・。
何事にも偏らないこと。
真の意味での中立は難しい。ひとつに固執せずあくまで自然体で在ることが望ましい。
世界の歴史は宗教戦争。英国清教徒革命の頃を舞台にした憂愁の詩人ヴィンチェンツォ・ベッリーニの傑作。権力闘争と男女の愛憎が絡み、途轍もなく人間っぽいドラマが展開する。
35歳で亡くなったとは思えぬ、否、35歳で逝ったがゆえに描けたであろうオペラ。
物語と連動し、音楽は時に哀しく、時に楽しく、そしてまたそういう感情を超えた優しさに包まれる。
・ベッリーニ:歌劇「清教徒」
マリア・カラス(エルヴィーラ、ソプラノ)
ジュゼッペ・ディ・ステファノ(アルトゥーロ、テノール)
ローランド・パネライ(リカルド、バリトン)
ニコラ・ロッシ=レメーニ(ジョルジオ、バス)
アンジェロ・メルクリアリ(ブルーノ、テノール)
カルロ・フォルティ(グァルティエーロ・ヴァルトン、バス)
アウロラ・カッテラーニ(エンリケッタ、ソプラノ)
トゥリオ・セラフィン指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団(1953.3.24-30録音)
全盛期のマリア・カラスの絶唱に痺れる。
それと、脇を固める男声陣の類い稀なる朗唱。イタリア歌劇の喜びと悲しみ錯綜する妙。セラフィン&スカラ座の真骨頂でもある。
この1952年はきわめて実り多く、忙しい年であり、マリアにとっては過去のこととなったブラジルでの不快な出来事を別として、仕事に関するかぎりはとても幸せな年だった。だが、別の観点からみれば、状況はかならずしも好ましくなかった。彼女の結婚生活そのものは非常に順調で、夫婦はおたがいへの深い愛情で強く結ばれていたが、メネギーニの弟たちはあいかわらず敵対的で、外国人のマリアを家族の一員として迎え入れることをかたくなに拒否していた。
~ステリオス・ガラトプーロス/高橋早苗訳「マリア・カラス―聖なる怪物」(白水社)P144
芸術的進展は悲観から生れるのだとあらためて思う。
マリア・カラスも当時想像を絶する大変な労苦の中にあったのである。にもかかわらず、稀代の名唱を含むこの録音がなされたのだから奇蹟。セラフィン率いるスカラ座管弦楽団の演奏も熱く素晴らしい。
特に、いわゆる「狂乱の場」を含む第2幕が動きがあり、絶品。
ブログ・ランキングに参加しています。下のバナーを1クリック応援よろしくお願いいたします。
>世の中から戦いがなくなれば良いと心底思う。
残念ながら、どうあがいても無理だと思います。
人間も地球の生態系の一部に過ぎず、生物のDNAに組み込まれている、
本能的な「焼肉定食の掟」から逃れられないからです(笑)。
>雅之様
残念ながら、ですね・・・。
六道輪廻の世界から逃れられない限り人は永遠に争い続けるのでしょう。