過去と未来、そして空想と冒険

Schubert_lieder_janowitz.jpg基本的にコンピレーション盤は邪道だと考え、ほとんど所有しないが、シューベルトの歌曲集に関しては「良いとこどり」の編集盤で日常楽しむことが多い。フィッシャー=ディースカウがライフワークとして残した「歌曲大全集」なども当然魅力的なのだが、余程のディースカウ信奉者でない限り、同じ歌手の声を延々聴き続けるというのも辛いものがある。
九州が梅雨明けして、もう間もなく関東地方も明けるのだろうが、今日などは窓を開けていると心地よい風が通り、涼しくて気持ちよい。こういう日にはぼーっとして、シューベルトの名歌曲に耳を傾けると身体の芯から「疲れ」が吹っ飛ぶから不思議なものである。

シューベルト:名歌曲集
フリッツ・ヴンダーリヒ(テノール)、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)、ペーター・シュライヤー(テノール)、リタ・シュトライヒ(ソプラノ)、クリスタ・ルートヴィヒ(アルト)、グンドゥラ・ヤノヴィッツ(ソプラノ)、フランシスコ・アライサ(テノール)
ジェラルド・ムーア(ピアノ)、フーベルト・ギーゼン(ピアノ)ほか

ドイツ・グラモフォンが誇る名歌手の1959年から85年にかけての録音の中から選りすぐりの名曲を集めた音盤。これがなかなか良い。男声あり女声ありで、歌曲王シューベルトの有名なリートがまるまる堪能できるのだから、こういう企画ものも捨てたものじゃない。
1曲目、ヴンダーリヒの歌う「野ばらD257」。「わ~ら~べ~は、み~た~り~」という訳詩で有名なゲーテの名詩に曲をつけたシューベルトの天才。何て癒されるんだろう・・・。2曲目、リタ・シュトライヒの歌う「至福D433」は可憐で美しい。録音から50年が経過するが、リタが目の前で歌う錯覚に陥るほど生々しい。4曲目、フィッシャー=ディースカウの歌う「魔王」は寒気がするほどの恐怖感を催す名唱。そして一転、雰囲気が変わり、クリスタ・ルートヴィヒの歌う何とも優しく穏かな気持ちにさせてくれる「夕映えの中でD799」。めくるめくシューベルトの世界がその後も続く・・・。

人は誰でも「過去」に郷愁を覚え、振り返ることで癒される。
日記をつけるのも、ブログを書き溜めるのもいずれ「過去」を懐かしむためでもある。
人は誰でも「未来」について想像し、幸せをかみ締める。
一方で、未来を悲観して自暴自棄になる人もいる。本当はどんな人にとっても「未来」は明るいものなのに。
人は誰でも「冒険心」に富み、常に何かに挑戦し続けたいと思う。
本来はそう。だから、幼時の「自由奔放さ」を忘れず、いつも何かにチャレンジし続けていたい。
人は誰でも「空想」することが好きだ。いわゆる童話(ファンタジー)の世界で思うがままに自由気儘に戯れていたいのだ。

本日、東京都議会議員選挙。やっぱり都民の多くは旧態依然としたものをぶっ壊し、何かを変えなきゃと思っているようだ。都議選の開票途中だが、どうやら民主党が第1党になる模様。果たして本当に変わるのだろうか・・・。


2 COMMENTS

雅之

おはようございます。
おお、いいですねぇ!往年の名歌手が歌いましたシューベルトの歌曲の数々。
これはまた、400字詰原稿用紙10枚くらいかけてコメントしたいのですが(大迷惑!・・・爆)、月曜日朝ということもあり時間がありませんので、私の手持ちよりお薦めCDを!(ひょっとしてもうお持ちですか?)
シューベルト「管弦楽伴奏による歌曲集」 オッター(Ms)クヴァストホフ(Br)、アバド&ヨーロッパ室内管弦楽団
http://www.hmv.co.jp/product/detail/478239
いろいろな大作曲家がピアノ伴奏をオーケストラに編曲したシューベルトの歌曲が楽しめ、興味が尽きません。オッターとクヴァストホフの歌唱も素晴らしいです。
曲目、編曲者は以下の通りです。
1. ロザムンデのロマンス「満月は輝き」D.797-3b (ブリテン編)
2. ますD.550(ブリテン編)
3. エレンの歌第二D.838(ブラームス編)
4. 糸を紡ぐグレートヒェンD.118(レーガー編)
5. シルヴィアにD.891(編曲者不詳)
6. 夕映えの中でD.799(レーガー編)
7. 夜と夢D.827(レーガー編)
8. タルタルスの群れD.583(レーガー編)
9. 魔王D.328(ベルリオーズ編)
10. 若い尼僧D.828(リスト編)
11. 「美しき水車小屋の娘」~涙の雨D.795-10(ヴェーベルン編)
12. 「冬の旅」~道しるべD.911-20(ヴェーベルン編)
13. 君こそは憩いD.776(ヴェーベルン編)
14. 「白鳥の歌」~彼女の肖像D.957-9(ヴェーベルン編)
15. プロメテウスD.674(レーガー編)
16. メムノンD.541(ブラームス編)
17. 馭者クロノスにD.369(ブラームス編)
18. 音楽に寄せてD.547(レーガー編)
19. 魔王D.328(レーガー編)〈アンコール〉
20. ひめごとD.719(ブラームス編)
21. 「白鳥の歌」~セレナードD.957-4(オッフェンバック編)
魔王D.328は、ベルリオーズとレーガーの両方の編曲が楽しめます。
それぞれの作曲家の、シューベルトの歌曲への“想い”が伝わってきます(でも一方で、やっぱり原曲の方が断然いい、という気にもさせられますが・・・)。
なお、くれぐれも「アバドの指揮が物足りない」などと、野暮なことは言われませぬように!(微笑)

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
ぜひぜひ400字詰原稿用紙10枚でも20枚でも!!
これは興味が尽きません!(笑)
ご推薦いただいたCDは持っておりません。これは面白そうですね。聴かねば!!
>それぞれの作曲家の、シューベルトの歌曲への“想い”が伝わってきます(でも一方で、やっぱり原曲の方が断然いい、という気にもさせられますが・・・)。
なるほど、やっぱり原曲が一番と思ってしまうんでしょうね。それでもこういうアレンジものを集めた音盤は貴重ですから。
>なお、くれぐれも「アバドの指揮が物足りない」などと、野暮なことは言われませぬように!
それは聴いてみないとわかりません(笑)。

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