リストのトランスクリプション集

liszt_wagner_hegedus.jpg人生初の「隅田川花火大会」。友人のマンションが隅田川沿いにあり、パーティをやるというのでお邪魔し、屋上から2万発の花火を堪能した。それにしても吃驚するほどの人。毎年100万人近くが訪れるというのだからたいしたものである。というより、駅からありえないほどの人だかりで、友人のそのマンションまでほとんど予定時間に辿り着かないような混みよう。しかも、20:30に終了後はその100万人が一気に帰途に就くわけだから、駅の混雑振りは半端じゃなさそうだし、一瞬、諦めて帰ろうかと思ったほど(笑)。過去に経験したことのある人に聞くと、駅前で最低でも1時間待ちだという。ありえない・・・。とはいえ、部屋でワイワイがやがやと飲み語って、談笑していたものだから結局23:00になり、影響なし。よかった・・・。

それにしても至近距離で見る花火は凄かった。人ってどうしてこうも「花火」が好きなんだろう?ピカッと光り、一瞬にして消えゆくその儚い「光」に酔いしれるのか、それとも「ドーン」と心の臓に響く音塊に惹かれるのか。視覚と聴覚によって楽しめる古くからの娯楽というと「花火」くらいのものだったのだろう。そう思うと古き良き慣習であるということもその理由のひとつなのだろうが、祭と同じく、人間が潜在的に魅力を感じる「何か(ひとつになること)」がその中にあるのだろう。

ここのところ毎日、拙宅では「音浴じかん」という癒しの音楽イベントが開催されている。今日も10組以上の親子が参加し、愛知とし子の奏でるピアノに酔いしれながら、2時間余りの時間を楽しんでいただいた。5月から定期的に催しているが、回を重ねるごとに人気が増し、既に来月の予定も埋まりつつある。未就学児童が生の音楽に触れられる機会というのはなかなかないから貴重なのだろう。それに、何よりお父さんお母さん方が日頃の疲れを癒す機会になっているようで、毎々とても喜んでいただけることが主催側にとっても嬉しい限りである。

ところで、明日は第28回「早わかりクラシック音楽講座」である。イタリア・オペラの巨匠ヴェルディを採り上げる。そのヴェルディがライヴァルとして生涯目の敵にしていたオペラ界の一方の雄がリヒャルト・ワーグナー。深夜にベーゼンドルファーでエンドレ・ヘゲドゥーシュというハンガリーのピアニストが弾いたリストのワーグナー・トランスクリプション集を久しぶりに聴くことにする。

ワーグナー(リスト編曲):
歌劇「タンホイザー」~
・序曲S.442
・レチタティーヴォとロマンス「夕星の歌」S.444
・ワルトブルク城への客人の入場S.445a
・巡礼の合唱S.443
歌劇「リエンツィ、最後の護民官」からの主題による幻想曲S.439
エンドレ・ヘゲドゥーシュ(ピアノ)

何もわざわざピアノの編曲版で聴くものでもないといえばないのだが、時にリストの編曲モノが無性に聴きたくなるのはどういうことだろう・・・。「タンホイザー」からの名曲群と「リエンツィ」からのパラフレーズを収めたこのアルバムは予想以上に価値ある一品である。現在のように充分な音響装置もなく、ワーグナー・オペラが日常的に享受し得なかった時代にあり、ワーグナーの音楽を楽しみ理解するためのひとつの手立てとして唯一リストの編曲版があったことを思うと、ヴェルディも案外リスト編曲版でワーグナー・オペラを楽しんでいたのかも・・・。この音盤は意外に良いですよ。


2 COMMENTS

雅之

おはようございます。
「隅田川花火大会」、いいですねえ!羨ましいです。 私は単身赴任時代の一昨年、第二会場打ち上げ場所のすぐ近くにあるグループ会社のビルの屋上の食事付臨時観覧席に、家族で招待されて楽しんだのが、この花火大会の唯一の思い出です。ヘリコプターがいっぱい飛んでました(笑)。ちょうどその年の夏のクールで、ドラマ「結婚できない男」をやっていて、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%90%E5%A9%9A%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%AA%E3%81%84%E7%94%B7
今でも阿部寛が花火を眺めながら蘊蓄を語るシーンなども一緒に思い出してしまうのです(笑・・・でもあれは面白いドラマでしたね)。
で、今回岡本さんのご紹介は当然ヘンデルやストラヴィンスキーの「花火」かと思いきや、リストのワーグナー・トランスクリプション集!! ご紹介の盤は未聴ですが、良さそうですね。大人向けの「音浴じかん」の曲目にも入れられますか(笑)。
このごろ、昔のアマ・オケ仲間の間で大流行している映像を・・・。
The Breaking Winds: Last Tango in Bayreuth
http://www.youtube.com/watch?v=1ozrHcm2B9c&eurl=http%3A%2F%2Fwww%2Ene%2Ejp%2Fasahi%2Fjurassic%2Fpage%2Foyaji2%2Foyaji%5F75%2Ehtm&feature=player_embedded
この「トリスタン」等の脱力編曲、この夏、何故か耳にこびり付いて離れません。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
>第二会場打ち上げ場所のすぐ近くにあるグループ会社のビルの屋上の食事付臨時観覧席
そういえば、蔵前にありますよね。「食事付臨時観覧席」というのが粋です。
>ドラマ「結婚できない男」
あぁ、懐かしい!僕は当時オンタイムでは観てないのですが、1年後くらいにDVDで観ました。あれは傑作ですね。
>当然ヘンデルやストラヴィンスキーの「花火」かと思いきや
一瞬そんなことを考えもしましたが、それじゃあまりに「能」がないので(笑)
>大人向けの「音浴じかん」の曲目
さぁ、どうでしょうか??(笑)
>The Breaking Winds: Last Tango in Bayreuth
この映像、抜群に面白いですね。「Last Tango in Paris」をもじったセンス満点の編曲です。

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