季節はずれのウィンナ・ワルツ

newyear_1989_carlos_kleiber.jpg僕がウィーンを訪問したのはいつも真夏の今頃だった。
本当はシーズン中の真冬に訪れてオペラやコンサートなどを堪能したいと常々思っていたが、いかんせんサラリーマン。夏休みの関係などでそうもいかなかった。独立したらしたで長期の休みをとる余裕もない。まぁ、老後の楽しみにとっておくか・・・(笑)。

基本的にウィンナ・ワルツといわれる音楽に特別思い入れはない。ただし、気分が落ちている時に気持ちを前向きにする効果があるのか、時に音盤を取り出して、何も考えずにぼーっと聴くと、ウキウキ愉しくなる。

ヨハン・シュトラウス2世が作曲したポルカ「とんぼ」作品204。どういうわけかこの音楽のもつ何ともいえない「癒し」の調子に惹かれる。特に、カルロス・クライバーが初登場した89年の「ニューイヤーコンサート」はDVD、CDともに最高の宝物だが、映像で観るカルロスの颯爽たる棒さばきと軽快で魔法使いのような動きが得もいわれぬ感動を呼び起こしてくれる。

ニューイヤー・コンサート1989
カルロス・クライバー指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

十八番の「こうもり」序曲や定番の「春の声」、「美しく青きドナウ」、「ラデツキー行進曲」など、すべてがカルロス色に染められ、音が活き活きと鳴り響く。先日、雅之さんからコメントいただいた87年のカラヤン指揮でのニューイヤーの「春の声」ではキャスリーン・バトルが抜群の歌唱を披露しているということで、こちらに一日の長があるという人もおられようが、いずれも甲乙つけ難い最高のパフォーマンスである(と僕は思う)。ニューイヤー・コンサートもあの頃が一番良かったな・・・。

本日、「早わかりクラシック音楽講座」の特別講座を開催した。さすがに平日の19:30という時間では参加できる人も限られており、史上最低の人数ではあったが・・・(苦笑)。それでもわずか2時間の講座で、グレゴリオ聖歌からラヴェル、ウェーベルンまでいくつもの音楽を聴いていただき、岡本節を炸裂させて語らせていただいた(爆)。何とかご満足いただけたようなので、良かったということにしておこう。やっぱり、クラシック音楽について学びたいと思っている人は結構たくさんいるよう・・・。
ちなみに、今月の本講座ではロドリーゴの「アランフエス協奏曲」を採り上げます。23日(日)15:00スタート。残席まだありますので、ご興味ある方はぜひ!


2 COMMENTS

雅之

おはようございます。
>カルロス・クライバーが初登場した89年の「ニューイヤーコンサート」
当然私も録音や映像でしか知りませんが、「ニューイヤーコンサート」はこの時とカラヤンの87年が最も華があったと私も思います。カラヤンの回は、彼の残したあらゆる録音の中で、もっとも愛着があるかも知れません。
>ニューイヤー・コンサートもあの頃が一番良かったな・・・。
まったく同感です。
カルロス・クライバーの演奏について、私はなんでも有難がっているわけではありません。亡くなる少し前に発売された「田園」のライヴ録音などはあまり良い解釈とも思えませんし・・・。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1937081
曲によって、向き、不向きがすごくある指揮者だったのでしょうね。だからレパートリーを厳選した・・・。
ご紹介の「ニューイヤーコンサート」も、こういう軽い曲でも1曲ごとに分析すると、私の波長と「合う」「合わない」があるような気もします。すべての曲が、本当に凄い解釈なのは事実ですが・・・。
そして、私も最高傑作はポルカ「とんぼ」だと思います。細身だけど粋なカルロスの演奏スタイルが、実にぴったりで見事な出来ですね!

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
>「田園」のライヴ録音などはあまり良い解釈とも思えませんし・・・。
おっしゃるとおりですね。カセット・テープをマスターにしてのリリースというハンディもあるでしょうが、僕もいまひとつ「田園」はピンと来ません。彼が最終的にレパートリーからはずしていった楽曲は、はずしたなりの理由があるのでしょうね。または、もう少し状態の良いマスターからのプレスだったり、実演だったりすると全く印象が違うのでしょうが。
それに、カルロスの場合、映像で観るとまた別の感動を覚えるかもしれませんしね・・・。
いずれにせよ、おっしゃるとおり「曲によって、向き、不向きがすごくある指揮者」なんだと僕も思います。「できることをやる」、「得意なことをとことん追求する」-彼はしっかり自己分析ができていたんだと思います。
雅之さんも「とんぼ」ですか!嬉しい限りです。

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