Boston “Once More Than A Feeling” (1987.8.16Live)を聴いて思ふ

これは、彼らが最も輝いていた時代の記録なのだと思う。
ただし、それがブートレグであるにせよ、果たしてオフィシャルなものなのかどうなのか僕は知らない。

栄枯盛衰。栄えるものは、その最後の瞬間に最高の光を放つという。
本物であるはずなのに、何かが違うと、あの日、僕は35年ぶりとなる彼らの待望の来日コンサートを聴いて思ったのだった。
確かにボストンはトム・ショルツのものだ。
それでも、正直、ブラッド・デルプの存在は本当に大きかったのだと思う。
それと、当然だが、時代の空気とマッチすることの重要性。
古を懐かしむフリークのためのものでなく、目の前で奏でられる音楽は今を共に生きていないと・・・。

1987年8月の、マサチューセッツ州ウースターでのライヴのラジオ放送音源。
さすがにスタジオ録音の完璧なレベルに較べると瑕の多さは否めないが、全盛期の彼らのライヴのパワーとエネルギーの凄さを体感するのにはうってつけの代物。素直に僕は感激し、感動した。
“More Than A Feeling”のイントロが奏された瞬間のオーディエンスの熱狂的な反応は只事ではない。そして、前年9月にリリースされていた”Third Stage”を披露すると、デルプがアナウンスし、”Amanda”の最初の音が奏されたときのカタルシス。ショルツのギターがうねり、デルプが声を張り上げて絶叫する様が手に取るようにわかる。実に熱い。また、最後の”Hollyann”での、即興風キーボード・プレイを含む虚ろな雰囲気の間奏は見事に心に響く。

・Boston:Once More Than A Feeling – Live Radio Broadcast, Centrum (Worcester, MA), Aug 16, 1987

Personnel
Tom Scholz (lead and rhythm guitar, bass, keyboards, percussion, backing vocals)
Brad Delp (lead vocals, rhythm guitar, keyboards, percussion)
Gary Pihl (rhythm and lead guitar, keyboards, backing vocals)
Jim Masdea (drums, percussion, keyboards)
Doug Huffman (drums, percussion, keyboards, backing vocals)
David Sikes (vocals, bass, keyboards)

3度に及ぶ怒涛のアンコール攻撃がまた素晴らしい。

汝の視力を内部に向けよ。やがてそこには、
いまだ発見されざる、千もの領域が見つかるだろう。
その世界を経巡り、身近な宇宙地理学の
最高権威者となれ。
H.D.ソロー著/飯田実訳「森の生活 下 ウォールデン」(岩波文庫)P270

H.D.ソローの「森の生活―ウォールデン」の「むすび」の章に引用された、英国の詩人ウィリアム・ハビントンの詩が降りてきた。
ボストンというバンドは、否、トム・ショルツは内なるコスモスを見つめ、それを音楽に託し、聴衆に表現し、伝えようと(長い時間をかけて)幾度も試みるギタリストなのだろうと僕は想像する。3年前のあのコンサートの時は、その意味で彼は不調だったのかもしれぬ。

 

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2 COMMENTS

岡本 浩和

>雅之様

音源が同じかどうかはわかりませんが、同じコンサートであることは間違いありません。
Youtubeの方が、音の分離が優れていて、音質が良いようにも感じるのですが、気のせいでしょう。(笑)

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