ミュンシュ&パリ管発足演奏会ライヴ

munch_1967_paris_live.jpgワークライフバランスという言葉が囁かれるようになって久しいが、転職相談に来る若者にじっくり聴いてみると、休日とは名ばかりで、血を吐くほど会社でこき使われ、心身ともに疲弊して「仕事をとにかく辞めたい」と思うようになったという話がとても多くなっている。中には殴る、蹴るというパワハラが日常茶飯事だったという輩もいる。新卒で入社して3年にも満たない若者が何を弱気なことを言っているんだと最初は半ば喝を入れるように激励していたが、どうやら「(信じられない)耐えられない仕事環境」というのは本当に存在するようだ。
昨今の転職市場は非常に厳しい。仕事がないわけではない。選ばなければ何でもある。とはいえ、前職でひどい目に遭っている人たちは、とにかく就業環境について特に過敏になる。せめてまともに休日が欲しい、サービス残業ばかりでなくきちんと残業代が欲しい。至極当たり前の要望である。そういう意見がまかり通らないということなのか、ただただ耐えて無心に働くのみ。成果を挙げようが、周りの雰囲気が休みを取ることを許さない。ある会社は「休むことは死ぬことと同義だ」として所定の休日すら出勤を暗黙の了解で強要されるという。何かがおかしい・・・。

仕事となればやることはやらねばならない。やりがいや充実感をもちながら成果を出すことが重要だ。それを前提に余暇も楽しむこと。そして趣味をもつこと。

ところで、やりがいや充実感ってどういうときに湧いてくるものなのだろう?
人が喜びを感じる瞬間は、人に喜んでもらえたとき。やっぱりやりがいも充実感も人の役に立てているという実感をもてたときだろう。「ワークショップZERO」で口角泡にして語らせていただいているのは、自分のことばかり考えていないで、一日のうちでたとえ一時でも他者のことを想えるような時間を作ろうではないかということ。

ミュンシュ/パリ管弦楽団発足演奏会ライヴ
ベルリオーズ:幻想交響曲作品14
ドビュッシー:管弦楽のための3つの交響的素描「海」
シャルル・ミュンシュ指揮パリ管弦楽団(1967.11.14、シャンゼリゼ劇場Live)

参った。度肝を抜かれるとはこういうことをいうのだろう。ミュンシュ&パリ管の「幻想」はEMIのスタジオ録音盤がつとに有名だが、その録音から19日後のライヴ録音が遂に音盤化された!!

幻想交響曲 EMIスタジオ盤 Altusライヴ盤
第1楽章「夢、情熱」
13:47
13:13
第2楽章「舞踏会」
6:14
6:17
第3楽章「野の情景」
14:48
12:49
第4楽章「断頭台への行進」
4:29
4:10
第5楽章「サバトの夜の夢」
9:46
8:51

ミュンシュは明らかに実演の人である(残念ながらその実演には触れ得なかったが)。スタジオ録音の「幻想」もライヴ録音さながらの緊張感とグルーヴ感をもった名演だが、ライヴはそれに引けをとらないどころかまさに鬼神が乗り移ったような凄演であり、特に「断頭台の行進」から「サバトの夜の夢」に至る、死刑になった芸術家があらゆる種類の亡霊と戯れるというグロテスクな様がまるで映像を観るかのように表現されているところが空前絶後であり、言葉にならない(指揮者の唸り声までもが明確に聴きとれる)。ともかく手に汗握る瞬間が多発し、当日のシャンゼリゼ劇場に居合わせた聴衆は下手をすると失禁したのではないか(笑)と思わせるほど。カップリングのドビュッシーの「海」も超絶名演奏!

嗚呼、幸せ・・・。


3 COMMENTS

雅之

おはようございます。
ミュンシュ/パリ管の演奏会ライヴ、やっぱり凄いですか! ご紹介のCD、気になっていたんですよね。パリ管の前身、パリ音楽院管にはクリュイタンス来日公演での「幻想」の超名演もありましたし(1964年・・・考えてみれば、ご紹介の演奏のたった3年前ですよね)、
http://www.hmv.co.jp/product/detail/145544
そのオケに「幻想」のスペシャリストのミュンシュの指揮するライヴとなれば、凄過ぎるのは当然ですよね! 10年に一度あるかないかの貴重な発掘盤かも、です。「海」も同じくらい楽しみだし、この盤、即ゲットします!
今朝はこれから遠方に出かけるため時間がないので、コメントの手抜きをお許しください。古い私のコメントを貼付け再利用します。以下ご紹介いたしました映像も機会があればぜひ御覧いただき、ミュンシュの全「幻想交響曲」残存資料についての価値観を共有できれば、と願っております。
・・・・・・ミュンシュ&パリ管の「幻想」、いいですね。私はボストン響との2種類の録音も、負けず劣らず好きです。さらに私の宝ものは、日本フィルとの古い映像(フジテレビ保管のVTR映像)の国内盤 DVD EXTON OVBC-00016(残念ながら現在廃盤)です。
http://www.hmv.co.jp/product/detail.asp?sku=672881
 これは1962年(昭和37年)12月、ミュンシュが日フィルにただ一度客演した際の、ミュンシュという指揮者を知る上での極めて貴重な映像です。1962年は私の生まれた年なので、この演奏は、なおさら愛着があります。
 この来日では、当初はいずれも前年開館したばかりの東京文化会館で、
①15日に第54回定期で「幻想」・「ダフニスとクロエ第2組曲」他、
②20日に第55回定期でブラ1他、
③25・26・27日にベートーヴェン「第九」
という公演スケジュールが組まれていました。
 ところが岩野裕一氏のライナーノーツによると、15日はミュンシュ急病によって当日に予定されていた①が突然延期になり、中止の告知が間に合わず、会場に足を運んだ聴衆のために渡邉暁雄が急遽指揮台に立ち、チャイコの第5を振ってお詫びの意を示すという大ハプニングが発生。
しかしこれは日フィルの定期演奏会にはカウントされず、延期開催の日程はミュンシュ帰国日の28日しかとれず、しかもこの日は東京文化会館は休館日で、一時は公演中止もやむなしかと思われたが、会館側の英断でホールが使用できることになり、19時開演を30分早めての公演となったとのこと。
 ミュンシュはこの夜の22時30分羽田発のエールフランス機で帰国することになっており、終演後は面会やサインはおろか着替えの時間もなく直ちに空港にかけつけなければならず、そのためこの日のミュンシュは夜の公演でありながら燕尾服ではなくジャケットにストライプのズボンという略装で指揮しています。
 モノクロながら、NHK保管のボストン響との1960年の来日公演の映像のような35ミリの映画用フィルムではなくVTRのままで保管された映像は信じられないくらい鮮明で、音もまた鮮明なステレオ録音であり、ミュンシュの「幻想」の素晴らしさを存分に味わえます。
 当時の日フィルのもの凄くやる気の感じられる演奏も、パリ管やボストン響の気迫に決して負けていない、立派なものだと思っています。・・・・・・(2007年06月22日付旧ブログ「アレグロ・コン・ブリオ」へのコメントより)

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
今回のミュンシュの「幻想」は爆演です。
>ミュンシュの全「幻想交響曲」残存資料についての価値観を共有できれば、と願っております。
そうですね。前にも書いたと思いますが、ミュンシュ&日フィルの映像は持っておりませんで・・・。しかも廃盤になっているのでどうやって手に入れるかですね。どこかで見かけたら即ゲットしますが。いずれにせよボストン響とのものも含めて価値観共有を図ろうと思います。
それにしても岩野氏のライナーノーツの記述は興味深いですね。こういう裏話は本当に面白いです。

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アレグロ・コン・ブリオ~第3章 » Blog Archive » ムソルグスキーは原典で聴かなきゃ・・・

[…] 夏至と言えば「真夏の夜の夢」か、それとも「幻想交響曲」か、と考えたが、ここのところ独墺系の音楽ばかり聴いていたので少し別の方向で。そう、ムソルグスキーの交響詩「禿山の一夜」、それも合唱付のいわゆる「禿山の聖ヨハネ祭の一夜」なる原典版。作曲者自身がスコアの末尾に「1866年に着想。管弦楽スコアは67年6月12日に開始、67年6月23日、聖ヨハネ祭の夕べに完結」と記しているこの音楽は一般的に知られているリムスキー=コルサコフ編曲版の何とも洗練された響きと異なり、ムソルグスキーのむき出しの魂が直截に心に響く。(ちなみに、バラキレフがこの曲を演奏曲目に加えるために改作を求めたとき、作品に絶大な自信を持っていたムソルグスキーは断固として修正を拒否したらしい。当時の一流作曲家でも作曲家の天才を見抜けなかったところが何とも面白い)。 […]

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