はや晦日、今年を振り返って

bach_matthew_suzuki_bcj.JPGあっという間に今年も晦日だ。2010年の新プロジェクトに向けミーティング。年末年始休みの間に叩き台を作り、年明け早々に再度打合せをすることに決まった。夢は大きく、そして一歩一歩着実に。

2009年を無事に過ごせたことにまずは感謝しよう。今年は企業向「新人研修」でもたくさんの方のお世話になった。また、秋からは都内の大学でのキャリア支援講座を担当することになり、こちらでも多くの方々との出逢いがあった。

そして、何より「ワークショップZERO」「早わかりクラシック音楽講座」を通じて新たに知己を得た方々、色々な面でご協力いただいた方々にもこの場を借りて心より感謝を表したいと思う。皆様、1年間ありがとうございました。来年もまたよろしくお願いいたします。

「自主」。辞書には「他からの干渉や保護を受けず、独立して事を行うこと」とある。ぶれない自分軸で揺るぎない生き方を創造する。ただし、それは決して自己中心的な生き方のことを言うのではない。「自由」。同じく辞書には「自分の意のままに振る舞うことができること」とある。それは、わがまま、勝手気ままなことを言うのではない。誰もがなりたい自分になれるし、やりたいことをできるようになるということだ。限界を設けないこと。そして、「自覚」。それは「自分の置かれている位置・状態、また、自分の価値・能力などをはっきり知ること」であるが、自分の役割を明確にするということでもあろう。さらに、「調和」。すべてこの世に存在するものはバランスだ。不要なものはひとつもない。こういうことを大事に来るべき2010年を迎え、過ごしたい。

これは、バッハを聴きながら考えたこと。音楽に一分の隙もないところがかえって窮屈になる。そういう演奏もままあるが、演奏する側の意志によって感じたままに組み立てられる「自由さ」も有している。そんな懐の広さを感じさせてくれる演奏に出会ったとき、たまらなく嬉しくなる。

J.S.バッハ:マタイ受難曲BWV.244
ゲルト・テュルク(テノール)
ペーター・コーイ(バス)
ナンシー・アージェンタ(ソプラノ)
ロビン・ブレイズ(カウンターテナー)
桜田亮(テノール)
浦野智行(バス)
静岡児童合唱団
鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパン(1999年3月、神戸松蔭女子学院大学チャペル)

平和で朗らか、そして清澄なマタイ。マタイ入門者が繰り返し聴いて「モノ」にするのに相応しい音盤。残念ながら彼らの実演を知らない僕には演奏に関して云々すること自体憚られるが、まさに「自主」であり、「自由」を表し、「調和」を体現する演奏である。

加藤:《マタイ》ではアリアの比重が大きいですよね。
鈴木:前に見たように、コラールというのは教会の公的な信仰告白でしょう?それに対して、アリアというのは、言うなれば、きわめて個人的な瞑想の”場”であるわけでう。だから、私的な(私自身の)信仰感情の吐露というか、個人レヴェルの思想や感情が曲全体に大きなウエイトを占めているんです。この点が《マタイ》と《ヨハネ》の非常に大きな違いです。そして、そういう発想の違いが、表現原理の違いを生み、全体の音楽作りの違いを生み出している。
鈴木雅明×加藤浩子「バッハからの贈りもの」P191から抜粋)

大晦日から元日にかけ大雪になる模様。念のため帰省を少し早め今晩遅くに東京を発つことにした。明日から数日間はネットのない環境で過ごすためブログの更新はストップする予定。


2 COMMENTS

雅之

おはようございます。
ご紹介の鈴木雅明&BCJ「マタイ」は、リヒターの旧盤の隣に置いてもいい名盤だと思います。今後この組合せで「マタイ」の実演があれば、ぜひ!
私も、今年最後のおススメ盤として、リヒター旧盤、鈴木雅明&BCJ盤、メンゲルベルク&ACO盤と共に好きな「マタイ」をご紹介いたします。
マクリーシュ指揮ガブリエリ・コンソート&プレイヤーズ
http://www.hmv.co.jp/product/detail/866127
リフキンの学説であった、コーラスレス(8人の独唱者が2組の合唱を1声部1名で担当)を採用した演奏、これ、リフキンのロ短調ミサの有名な録音とは比べ物にならないくらい完成度が高いです。合唱の歌い手がソロ曲も担当すると、室内楽のような求心力が強く働き、岡本さんのおっしゃる「自主」「自由」「自覚」「調和」のバランスが絶妙で、真に素晴らしいです。バッハが本来望んでいたのは、こうした演奏だったかもしれないという強い説得力を持つ演奏です。実演で確かめてみたいものです(なお、鈴木雅明氏はこの学説には反対のご様子です)。
マーク・パドモアの福音史家、ピーター・ハーヴェイのイエス他、歌手も皆最高の出来なのが、この録音を超名盤にした最大の要因でしょう(コジェナーも最高!)。この演奏についてはまだまだ語りたいことが多いのですが、続きはまた来年に・・・。
今年1年もお世話になり、ありがとうございました。
雪などに気をつけていただき、よいお年をお迎えください!

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岡本浩和

>雅之様
あけましておめでとうございます。
おすすめのマクリーシュ指揮ガブリエリ・コンソート&プレイヤーズ盤は未聴ですが、興味深いですね。機会を得て聴いてみたいと思います。
こちらこそ今年もまたよろしくお願いいたします。

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