中学2年生の感想

schumann_rose_pilgerfahrt_marcus_creed.jpg昨年10月に静岡県小山町立小山中学校の2年生を相手に「キャリア教育研究会」の講師を務めたことは以前も書いた。半年が経過し、忘れた頃に生徒さん達の感想文が郵送で届いた。アンケートをとったものの評判が悪く、とても講師にフィードバックできたものではないなどの判断から送付できないでいるのだろうとか、当日の体験ワークが中学生に対して難し過ぎたのかなどと随分反省したが、近頃の公立学校の教員たちは多忙で、いわゆる枝葉の作業はどうしても後回しになるらしく、窓口になってくれた小山中学の先生に先日とある結婚式で偶然会った際に「すいません」と恐縮されながら、そういう事実を聞いた上で、おそらく今年もまたお願いすることになるだろうという話をいただいて少しばかり安心した。

当日は100名近くの生徒の参加があったが、送られてきた感想文は11枚なので1割ほど。ざっと読んでみると、13歳の子どもたちが提供した2つの体感ワークに対して真剣に取り組み、いろいろな気づきを得てくれていることがよくわかった。

「いつもはしないことをして、新鮮な気分でした。・・・発表をするときは恥ずかしくてなかなか手があげられませんでした。もっと勇気をもてばできると思いました。」

「わたしは今まで自分のことしか考えないで生活をしていたんだな、と思うと何かはずかしくなります。自分のことを考えるのも大切だけど相手のことを考えたうえで自分のことを考えるようにしたいと思います。・・・親に感謝しなければいけないことがたくさんあることにお話を聞いて気づきました。そしていろいろなことを学びました。」

「岡本浩和さんの話を聞いて、『一人では何もできない』『自分のことよりも人のことを考えた行動』ということを学びました。大切なことばかりを知り、(あー、そういう考えがある)と実感が生まれました。」「わたしが岡本先生の話を聞いて感じたことはもっと自分や友達を大切にしたり、感謝しようと思いました。・・・また、『自分や友達や親を大切にしなさい』という言葉は一番心に響きました。特に『自分を大切にしなさい』という言葉はとても心に響きました。・・・」
などなど。

若者たちに少しでも影響を与えることができたんだと思うと、本当にやった甲斐がある。他人に意識を向けること、人に感謝すること、そして何より自分という存在に対して自信を持つことの大切さを体感的にわかってもらえたようでとても嬉しい。

今夜は、随分前にCDショップで見かけて、衝動的に購入した音盤を。

シューマン:オラトリオ「ばらの巡礼」作品112
クリスティアーネ・エルツェ(ソプラノ)
ビルギット・レンメルト(アルト)
ウェルナー・ギューラ(テノール)
ハンノ・ミューラー=ブラッハマン(バス)
フィリップ・マイアーズ(フォルテピアノ)
マーカス・クリード指揮RIAS室内合唱団

ばらの精が人間世界の愛というものを経験してみたいと考え、女王の許しを得て下界に降り、そして愛の苦しみと喜びを知った後再び昇天するという内容だが、突如として開かれたような印象を受ける第18曲の合唱、そして終曲の合唱がことのほか心に響く。

第18曲
O sel’ge Zeit, da in der Brust     おお至福の時、胸の中で
Die Liebe auferblüht,                  愛が花咲き、
Und morgenhell das Angesicht   朝日に照らされてその顔には
In ihrer Wonne glüht.                大きな喜びが輝いている。

こういう音楽は対訳を熟読しながら繰り返し聴くのがベストだろう。まだまだ聴き込みが足りないゆえ、時間を見つけて繰り返し聴いてみたい、そんな隠れた傑作である。


2 COMMENTS

雅之

おはようございます。
昨夜、山崎直子さん(39)ら飛行士7人を乗せたスペースシャトル「ディスカバリー」のケネディ宇宙センターからの打ち上げを職場のテレビで観ました。ロケットの打ち上げシーンは、リアルタイムでは何回観ても、ハラハラ・ドキドキします。
岡本さんが教えておられる、チームワークや、幅広い人間関係の重要性や、ポジティブシンキングなど、言わば「人生における定跡」が求められる象徴的な職業は、私が子供のころ憧れていた宇宙飛行士なのではないかと、ふと思いました。私なら、今や老朽化したスペースシャトルなど、いつ爆発するかというネガティブな不信感ばかりが募って、恐怖心で搭乗など絶対出来ないでしょうし、宇宙船や宇宙ステーションのような閉鎖的空間での長期に渡る他人との生活など、気が狂いそうになるでしょう。
>もっと勇気をもてばできると思いました。
>自分のことを考えるのも大切だけど相手のことを考えたうえで自分のことを考えるようにしたい
>『一人では何もできない』
>『自分を大切にしなさい』
山崎直子さんら宇宙飛行士を、そういう意味で心から尊敬します。
私の好きな映画ベスト10に入る「アポロ13」を、ついでにご紹介します。中学生くらいの方に、ぜひ一度は観ていただきたいと願っている映画でもあります(このDVDは英語の勉強にもなりますよ・・・笑)
映画
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%9D%E3%83%AD13
史実
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%9D%E3%83%AD13%E5%8F%B7
どんな逆境に置かれても仲間を信じベストを尽くす、この話は、教訓と示唆に富んでいると、ずっと思っています。その結果としての「失敗」は「偉大な成功」なのです。
>ばらの精が人間世界の愛というものを経験してみたいと考え、女王の許しを得て下界に降り、そして愛の苦しみと喜びを知った後再び昇天するという内容
「楽園とペリ」のストーリーを彷彿とさせるシューマンのこのオラトリオ、天から地上へ、そしてまた天への帰還・・・、宇宙飛行士とは逆のパターンですね(笑)。私はクーン指揮デンマーク放送響他によるChandosのCDを持っています。「楽園とペリ」もそうですが、私もシューマンのこれらの声楽作品は最近聴き始めたばかりで、まだまだ聴き込み不足です・・・、が、思いの外、耳に馴染みやすいですし、私も大変な傑作なのではないかと感じています。もっともっと若いころ知りたかったと悔しい思いでいっぱいです。 記念すべきシューマン生誕200年の今年、あるいは東京では実演を聴かれるチャンスもあるのではないでしょうか?

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
いろいろと示唆に富んだお話をありがとうございます。
山崎さん行きましたねぇ(昨日は一日バタバタしてまして残念ながらテレビは観れませんでした)。雅之さんの子どもの頃の夢は宇宙飛行士だったんですね!らしいです(笑)。
「アポロ13」という映画、こちらも残念ながら観ておりません。しかしながら、内容をみると相当興味深い映画ですね。
最近、勉強のためにと何人もの人から様々な映画を薦められます。雅之さんがベスト10に入るというならぜひともこれも観てみます。
「ばらの巡礼」は僕もまだまだ聴き込み不足で、雅之さんならいろいろと教えていただけるのではないかと採り上げて、振ってみたのですが・・・。クリード盤はフォルテピアノ伴奏なので、クーン指揮のオケ盤もあわせて聴いてみたいところです。
何か新しい気づきや情報がありましたらまたご教示ください。
それにしても、おっしゃるとおりシューマンの声楽作品はなかなかの名作が揃っていると思います。
>記念すべきシューマン生誕200年の今年、あるいは東京では実演を聴かれるチャンスもあるのではないでしょうか?
確かに!!探してみます。

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