アニマルズ

pink_floyd_animals.jpg日の出とともに起床し、活動をする。そして日の入りとともに帰宅し、宵の口といわれる時間の内に床に就く。まるで小学生のような規則的な生活形態だが、そんなことが普通にできるようになったらどれほど「人間らしい」安全で幸せな生活が営めるだろうか。

子どもの頃、もちろん田舎での生活だったこともあるが、自宅の周辺に夜遅くまで営業している店などなく、黄昏時になると当たり前のように早足で家に向かった。外食などというものはほとんど体験なく、いわゆる家族団欒、家族みんなで食事をとった。今から考えると自身の成長過程において、そういう家族のコミュニケーションが密にあったことが良かったのだとつくづく思える。

今の時代、24時間営業のお店は日本中至る所にあり、必要なものはいつ何時でも揃う。そして、家に帰らずともいつどこでも安価で食事をとることもできる。便利な世の中になったものだが、失なわれたたものも多い。例えば人と人との「つながり感」。そして子どもへのいろいろな意味での教育。

昔は良かった、などと懐古趣味的な意見を述べるつもりは毛頭ない。便利になった世の中だからこそ、ひとりひとりが、より大切にすべきことに気づこう―人との交流の深度を高め、自分自身の健康により一層配慮しようはないか―そんな風に思うのである。全国チェーンのとある居酒屋で働いていた男性社員の過労死をめぐり、両親が訴訟した裁判の判決で、社長らに賠償が命じられたという。確かにこれまでの外食産業の人の使い方の荒さはひどかった。この会社では給与体系を改定したというが、それでも従業員の負担はまだまだ大変なものだろうと想像に難くない。業界や職種は何であれ、一定の残業は仕方がないと思うが、それにしても外食産業やコンビニの24時間営業は何とかならないものなのか(要はお店が夜中も開いているから人が動くのだから)。人間らしい生活という視点でいうなら、やっぱり太陽が出ている時に動き、お陽様が隠れたら休む、そんなような生活リズムがベストでないかな・・・。

米軍普天間基地移設問題然り。宮崎県の口蹄疫問題然り。
今更対症療法的にうまく立ち回ろうとしても結局は無理。
こちらを立てればあちらが立たず、あちらを立てればこちらが立たず。

世の中おかしなことでいっぱいだ。

Roger Watersが人間世界を(動物に見立てて)皮肉って詩と音楽を書いた、隠れた傑作を聴く。
このあたりからPink FloydはRogerの私的な世界に足を踏み入れ、時に息苦しさを覚えるほどの「重い」作品を世に問うようになるのだが、次の”The Wall”と違ってまだ他のメンバーの入り込む余地があり、Floydとして機能している点でPink Floydとして認められる最後のアルバムである。

Pink Floyd:Animals

一般的には、犬がエリート・サラリーマン、豚が資本家、そして羊が平凡な労働者のメタファーとして解釈されているようだが、実に面白い考察を見つけた。これは素晴らしい。とても参考になる。


2 COMMENTS

雅之

こんばんは。
なるほど! ご紹介のアニマルズについて考察したサイト、面白いですね!、この辺りの知識はまったく乏しいため、とても勉強になりました。でも、このアルバム以降のPink Floydは、確かに皮肉っぽいし、テーマが重苦しいですよね。あまり終始聴きたくはないです(笑)。
>米軍普天間基地移設問題然り。宮崎県の口蹄疫問題然り。
今更対症療法的にうまく立ち回ろうとしても結局は無理。
こちらを立てればあちらが立たず、あちらを立てればこちらが立たず。
世の中おかしなことでいっぱいだ。
なんだかですね、友愛の鳩山さん、怖いくらい、去年夏話題になった、【自民党ネットCM】(プロポーズ篇)のとおりになっちゃってますよね(笑)。
LDPchannel — 2009年07月17日 —
男:「ボクの方がキミを幸せにできる。
  ボクに交代してみないか?
  バラ色の人生が待っているよ。
  出産や子育ての費用も教育費も、
  老後の生活費も介護の費用も、
  ボクに任せれば全部OKさ!
  高速道路も乗り放題だよ!」
女:「お金は大丈夫?」
男:「細かいことは結婚してから考えるよ!」
女:「えぇぇぇ???」
根拠のない自信に人生を預けられますか?
根拠がある
自民党
http://www.youtube.com/watch?v=kZpSfahQ–0&feature=channel
こんなのもありました。
【自民党ネットCM】ラーメン篇
LDPchannel — 2009年08月21日 —
女:「あ、あなたは!」
男:「いらっしゃい!久しぶり!口先だけじゃなくて、こうしてせいさくしてるんだよ」
女:「じゃあ、見せていただくわ」
男:「当店自慢のマニフェスト麺。ウチはこれ1つで勝負です」
客A:「油が足りな~い」
男:「じゃあ、給油しますよ」
客B:「ちょっと!給油はやめるんじゃなかったの?」
男:「給油やめます」
客C:「地方色が足りないな~」
男:「いやいや、ほら、こ~んなに」
客D:「成長性がないじゃないですか!」
男:「いやいや、ほら、こ~んなに」
客E:「子供にもやさしくしてよ」
男:「は~い、はいはい。2万6千円分のふりかけをばら撒くよ」
女:「ちょっと、最初と全く違うんじゃない?」
男:「いえいえ、最初からこれです」
女:「えぇぇぇ?」
ナレ:相手に合わせるだけでは、誰一人幸せにできない。
   揺るぎない政策 自民党
http://www.youtube.com/watch?v=rAjj1CGxhY8
でもですね、自民党も、人のことを批判するだけの、それこそネガティブ・キャンペーンだけでは、ちっとも建設的意見ではないですよね。
日本は野党に政権交代のチャンスを与えることが少な過ぎました。これを機に、与党も野党も、40代以下の若手政治家に、もっと発言の自由を与え、政策決定の主役を任せるべきだと、個人的には思っています。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
>友愛の鳩山さん、怖いくらい、去年夏話題になった、【自民党ネットCM】(プロポーズ篇)のとおりになっちゃってますよね(笑)。
見事に、ですね。
>日本は野党に政権交代のチャンスを与えることが少な過ぎました。
>これを機に、与党も野党も、40代以下の若手政治家に、もっと発言の自由を与え、政策決定の主役を任せるべき
おっしゃるとおりだと思います。たとえ政権が自民党に戻っても何も変わらないように思えます。

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