ヘンデルの「メサイア」

handel_messias_boult.jpg1712年からロンドンに移住し、1724年に帰化したヘンデルは、1685年2月23日に生まれている。この日は実は、エルガーの命日でもある(1934年2月23日)。こんなことは全くの偶然に過ぎないのだが、エルガーを得意とした巨匠サー・エイドリアン・ボールトの「メサイア」が確かあったことを思い出して、棚から引っ張り出した。

もう4年ほどになる。毎夏、フィリピンのとある孤児院を訪問していた。当時の生徒たちが中心になって作ったボランティア団体の引率が主な仕事。1年をかけて皆で寄付金を捻出し、そのお金を持っていくことと子どもたちと実際に現地で触れ合う、ということが大きな目的だった。

ドイツのミッション系の孤児院であったため、牧師さん(Pastor)がそこにはいらした。気さくでとても優しい人柄の方。ある時、彼も音楽が好きだということで、しかもさすがにミッション系ということもありバッハやヘンデルの音楽が好きだという話で盛り上がった。その時の帰り際、包装された小さな袋を渡された。開けてみると、ボールトが指揮したヘンデルのメサイア(ハイライト)が入っていた。感謝と、僕の方からも帰国後お気に入りの音盤を送りますと伝え、別れた。

全曲を聴いたことがないという彼の言葉を思い出し、僕はバッハの「マタイ受難曲」(ヘレヴェッヘ指揮のものだったと記憶する)全曲を贈った。喜んでもらえたかどうかはその後会っていないのでわからない。

ヘンデル:オラトリオ「メサイア」~ハイライト
ジョーン・サザーランド(ソプラノ)
グレイス・バンブリー(アルト)
ケネス・マッケラー(テノール)
デイヴィッド・ウォード(バス)
ジョージ・マルコム(チェンバロ)
ラルフ・ダウンズ(オルガン)
アラン・ストリンガー(トランペット)
サー・エイドリアン・ボールト指揮ロンドン交響楽団&合唱団

まさに20世紀風の「メサイア」。これほど喜びに溢れ、しかも心に直接響く音楽はなかなかない。ボールトの演奏の特徴は、軸が非常にしっかりとしていること。まったく「ぶれ」がない。それにひとりひとりの歌手陣の力量も確かだ。わけてもサザーランドの歌唱は相変わらず素晴らしい。「メサイア」を聴くと明るくなれる。気分が高揚し、前向きになれるのだ。

今夜、新橋のヤクルト・ホールで開催された高橋俊介先生の講演「社会の変化と仕事の変化」を聴いた。昨年も何度か聴かせていただいたが、毎々、そのプレゼンテーション能力の高さと内容の濃さに驚かされる。キャリア・カウンセラーの継続学習というのは学者の研究発表の如く基本的に眠くなるものが多いのだが、さすがに国鉄キャリア、マッキンゼー・アンド・カンパニーと渡り歩いて来られた方だけある、話のテンポといい、聴衆の肝を掴む術を完璧に心得られており、得心のゆく気づきの多い2時間だった。詳しいことはまた明日にでも・・・。

夜更けに聴く「イエス・キリストの生涯」を音化した物語は何て感動的なのだろう・・・。


3 COMMENTS

雅之

おはようございます。
ボールト指揮による「メサイア」は、まだ聴いたことがないのですが、とてもよさそうですね。サザーランドの歌唱も、気になります。聴いてみたいです。
「メサイア」は、コーラスをやっている友人が参加した演奏など、私も実演を聴く機会が多いです。最近年末は、「第九」より「メサイア」を聴きに行きたくなることもしばしばあります、気分的に。
この曲、英語版だけではなく、たまにはドイツ語版で聴いてみたいと思いませんか? その場合、私はモーツァルト編曲版も好きです。素晴らしいCDがありますので、機会がありましたらぜひ!!
コルボ&ローザンヌ声楽・器楽アンサンブル
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3559642
(私は初めて聴いた時、最高に感動しました。コルボ・ファンである多治見の校長先生のご意見、ご感想を、今度お会いになられたら、ぜひ伺ってみてください)
マッケラス&オーストリア放送交響楽団&合唱団 マティス(S)、シュライアー(T)、他
http://www.hmv.co.jp/product/detail/140559
こちらも、指揮も歌手も最高です。コルボ版と甲乙つけがたいです。
年末にモーツァルト編曲版「メサイア」を聴くと、何となく切なくなるのも事実ですが、一回限りの掛替えのない人生の大切さに想いが及び、そこがまた、堪らなくいいです。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
>最近年末は、「第九」より「メサイア」を聴きに行きたくなることもしばしばあります、気分的に。
ですねぇ、よくわかります。
>この曲、英語版だけではなく、たまにはドイツ語版で聴いてみたいと思いませんか? 
同じくです。ただし、僕は「メサイア」に関してこれまでほとん注意深く聴いてきてないので、ご紹介のコルボ盤もマッケラス盤も未聴です。
>コルボ・ファンである多治見の校長先生のご意見、ご感想を、今度お会いになられたら、ぜひ伺ってみてください
了解しました。ただし、異動になられたのでお会いできるかどうかは定かでないですが・・・。
モーツァルト版のサイトも興味深いですね。勉強になります。ありがとうございます。

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