本当のあなたを開花させる一日

McDonald_and_Giles.jpgゴールデンウィークにain soph.で開催した1dayセミナーは、極めて密度の濃い素晴らしい時間だった。あの時は参加者が全員女性で、それはそれは吃驚するくらい深いコミュニケーションを突き詰めることができたのだが、もし男性が入っていたらどうなっていたんだろう、という質問をいただいた。特に初対面の時、女性も男性も「異性」というものを意識する。その結果、あのときのような状態にはならないのではないか、というのである。心配無用。あの場で提示しているのは「エロス」ではなくあくまで「アガペー」だから。「男」とか「女」とか、そんな概念の超えて、ひとりの「人間」としてお互いがお互いを知り、受け入れ合う、そういうニュートラルな状態が最終的に体感できる「場所」なのである。

「人を愛する」という言葉は安易に使おうと思えばいくらでも使えるが、本当に「愛すること、愛されること」を知ることって大切だ。何かを犠牲にしていると思うならそれは偽善。「心底してあげたい」と思える心。本来は誰もが持っているそういう「心」を思い出してもらいたい。

6月13日(日)、7月17日(土)、そして9月5日(日)にも1dayセミナーを開催することになった。「本当のあなたを開花させる一日」・・・(詳細は追ってお知らせします)。ところで、愛の音楽家と称されるエルガーの音楽を聴いていると、マクドナルド・アンド・ジャイルズが唯一残したアルバムのことを自ずと思い出す。生誕150年記念の年(2007年)、エルガーについては音楽愛好家諸氏の中ではそれなりに盛り上がった。国内盤の廉価盤もこぞって発売され、そのうちのいくつかをその時に手に入れて聴いた。ただし、当時はそれほど頻繁に繰り返し聴くことはなかった。相変わらず「地味」な印象が拭えず、お気に入りの美しい旋律が頻出するにもかかわらず、のめり込むことはなかった。

僕は英国紳士の何とも言えないスノッブで鼻もちならない態度が昔から好きではなかった。そういう意味ではイギリスに旅行に行くたびに、日本人を蔑視するような言葉を浴びせかけられたり、あるいはいかにも「馬鹿にしたような」雰囲気を醸し出されることがムカついてしょうがなかった。そのほとんどが誤解のようなものなのだが、それでもいまだに一部には黄色人種、東洋系の人間に対する差別感情はどこかに根強くあるのではないか、そんな風に感じられるのである。

そんな僕でも、ロック・ミュージックに関しては圧倒的にブリティッシュ好みだった(今もそうだ)。King Crimsonのあの有名なデビュー・アルバムを初めて聴いた時にはご多分にもれず衝撃を味わった。混沌とした中にも、調和、愛が垣間見えたあの作品は永遠に不滅だと思うが、あのオリジナル・メンバーがもう一度集結し、もしもOriginal King Crimsonとして活動を再開したら、世の中ひっくり返ってしまうんじゃないだろうか(笑)、大袈裟だけどそう思うのである。

Robert Frippの方向性と合わなかったのか、それともよりキャッチーな方向性を目指したのか、「宮殿」発表のすぐ後、ヴォーカルのGreg Lakeは脱退し、Keith Emerson、Carl Palmerと伝説のトリオ、EL&Pを結成する(その後の活躍はいわずもがな)。袂を分かったのはLakeだけではない。Michael GilesやIan McDonaldも同じくKing Crimsonを飛び出す。先のEL&Pのように第一線で注目を浴びることなく、たった1枚の、それも飛び切り上等でセンス満点のアルバムを残し、このバンドは消えていった。

エルガーは本国イギリスでは、もちろん圧倒的人気を誇るヒーロー的作曲家である。ゆえに勝手な比較で俎上に乗せるのは憚られるのだが、儚くも美しく、これほど高度な音楽を書きながら一部の濃密なフリークを除いて忘れ去られてしまっているMcDonald & Gilesの音楽にどうも被ってしまうのである。

McDonald and Giles

Personnel
Ian McDonald(Guitar, Piano, Organ,
Saxes, Flute, Clarinet, Zither, Vocals and sundries)
Michael Giles(Drums, Percussion, Vocals)
Peter Giles(Bass Guitar)
Steve Winwood(Organ, and Piano solo on Turnham Green)
Mitchael Blakesley(Trombone on Tomorrow’s People)

たくさんの方にこの音盤をじっくりと聴いていただきたい。


4 COMMENTS

雅之

おはようございます。
>何とも言えないスノッブで鼻もちならない態度
>それでもいまだに一部には黄色人種、東洋系の人間に対する差別感情はどこかに根強くあるのではないか
それは、日本人の、特に典型的クラヲタさんそっくりではないですか!! カワイイ!! もしかしてもしかして近親憎悪?? いや、きっと「近親愛」の裏返しなのです(笑)。
今更ながらKing Crimson 「宮殿」
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2683155
は、傑作ですよねぇ。Ian McDonaldの功績が大きいんですよね。ご紹介の盤は未聴ですので聴いてみたいです。
「宮殿」もそうですが、あのころのプログレって、LPレコードを想定して制作されていて、ジャケット・アートの印象が強烈ですよね。「宮殿」では、リリース直後に20代前半の若さで心臓発作で亡くなったチェルシー・アート・カレッジの学生、バリー・ゴッドバーの「スキッツォイド・マン」のジャケットなくしては語れませんね(見開きジャケット内側のゴッドバー「クリムゾン王」も傑作)。ここには「愛」が溢れています。
先日CDを買ったのですが、EL&Pの、「Brain Salad Surgery(恐怖の頭脳改革)」
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2722907
もいいですね!! その後「エイリアン」の美術で有名になったH・Rギーガーのアートワークが、じつに素晴らしいですね。ここにも「愛」が溢れています。
ピンクフロイドの「狂気」もそうですが、こりゃ音質面以外でもLPが欲しくなるわけだ(笑)。ダウンロードで済まそうという諸君は、「愛」がなさすぎ!! そういう人は、一生「愛知県」か「愛媛県」か「滋賀県 愛東町」に住みなさい!!
・・・・・・プログレッシヴ・ロックは人類が月へ行った時代の音楽だ。当時よりも科学技術ははるかに進歩したが、人類はもう月の土を踏もうなどとは考えていない(やればできるだろうが、決してやろうとはしない)。ほとんど誇大妄想的に壮大なヴィジョンを、ありったけの技術をかき集め、向こう見ずな冒険心で無理やりにねじ伏せる(内宇宙の探求においてもまた)。当時は驚異的と思われた演奏技術も今となってはあらが目立つし、電子音やテープの実験も、画期的なスタジオ・ワークも、今ならラップトップPC1台で可能かもしれない。しかし、彼らが思い描いたヴィジョンの壮大さ、奇想天外さ、豊饒さを、今の音楽(メディア・アートと言い換えてもよいが)は果たして超え得ているだろうか。・・・・・・Beat Sound No,15 2010 SPRING(別冊ステレオサウンド)P29 福島恵一氏の記事より
読んで、なるほど!と思いました。
現代人の諸君、君たちの考える「愛」なんて、小さいね。人間が小さい!
まっ、時代が違うしね、
「理想論」はもういいいから、具体的行動で示さないとね、
所詮「絵に描いた餅」ですから。
ま、「小さいことからコツコツと」ですわ現実は、ハッハッハ!!

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
>きっと「近親愛」の裏返しなのです(笑)。
見抜かれましたか!!(爆)
>今更ながらKing Crimson 「宮殿」は、傑作ですよねぇ。Ian McDonaldの功績が大きいんですよね。
そのとおりです!!初期クリムゾンの魅力はまさにイアン・マクドナルドがいたからこそのものだと思います。
15年ほど前にSteve HackettがJohn WettonやIan McDonaldを引き連れて来日公演をしました。その際”In the Court of the Crimson King”が披露されているんですが、かっこいいです。マクドナルドのフルート・プレイは涙ものです!
http://www.youtube.com/watch?v=esV4zQT3C2w
>ジャケット・アートの印象が強烈で
おっしゃるとおりです。
>こりゃ音質面以外でもLPが欲しくなるわけだ(笑)。ダウンロードで済まそうという諸君は、「愛」がなさすぎ!!
そういう人は「愛知とし子」のCDを聴いてみるのもいいかもしれません(爆笑)。
福島恵一氏の記事もなるほどですね。
>「理想論」はもういいいから、具体的行動で示さないとね、
所詮「絵に描いた餅」ですから。
根本的にしくみから変えちゃわないと何も変わりませんね。

返信する
岡本 浩和

>雅之様
あと、「恐怖の頭脳改革」、あれはLPのジャケットワークも最高でした。もちろん中身も最高ですが。長らく聴いていないので久しぶりに聴いてみます。
あとEL&Pは「Trilogy」もいいですよ!

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