チームワーク

purcell_queen_mary_gardiner.jpgどうも「チームワーク」ということがここのところのテーマになりそうだ。
企業から受ける要望も「チームワーク」、個人から受ける相談も要は「チームワーク」。この世の中で活動している以上、人とのコミュニケーション抜きでは何事も前に進まない。それでも、今の世の風潮なのか、個人主義的で、横のつながり、縦のつながりをきちんともてない人が多いよう。そういうことは、子どもの頃から慣らされていないと難しい。子ども同士でも夫婦でも、時に思いっきり感情をぶつけ合って喧嘩した方が良い。

昨晩、京王線の新宿駅ホームの事故で亡くなった老人は、北海道の星槎大学学長で、作家・詩人の佐藤春夫の長男、佐藤方哉氏だと知り、驚いた。何とも不幸な死に方故、本人的にも納得ゆかない面もあるだろうが、そういうことも運命だから致し方なし。佐藤さんの母親の千代さんは、春夫が谷崎潤一郎から譲ってもらったという、例の「細君譲渡事件(1930年8月18日)」といわれる事件の当事者。しかも3人連名での挨拶状を発表したというのだから、何とも一般人の常識では考えられない不思議な関係だったことだろう。

夫婦の間に何があったのか、それは知る由もないが、世に名だたる文豪同士の合意の下の離婚であり、結婚のわけだから、そこには「感情的な大喧嘩」があったかもしれないし、あるいはあくまで「理性的な話し合い」があったのかもしれない。残念ながら、僕は佐藤春夫や谷崎潤一郎を深く研究したわけでもないので、そのあたりの事情についてはよく知らない。とはいえ、ひょっとすると「チームワーク」を考える上で、このあたりの事実を知っておくとためになるのではないかとも考えた。少し勉強してみようか・・・。

佐藤方哉氏を悼んで・・・。

パーセル:メアリー女王の葬送のための音楽
フェリシティ・ロット(ソプラノ)
チャールズ・ブレット、ジョン・ウィリアムス(カウンターテナー)
トーマス・アレン(バス)
ジョン・エリオット・ガーディナー指揮モンテヴェルディ合唱団&管弦楽団

実に美しい音楽。時の女王メアリー2世が天然痘のため1694年に亡くなり(32歳という若さ!)、その翌年に葬儀が挙行されているのだが、その式のためにヘンリー・パーセルが音楽を書いたものの、同年秋に後を追うように亡くなる。もちろん愛する女王のために生み出した音楽であろうが、自分自身への哀歌でもあるかのような静かで厳かな音楽。

繰り返し聴くと、涙が出てくるほど・・・。


2 COMMENTS

雅之

おはようございます。
佐藤方哉氏の件はお気の毒としか言いようがありません。人口の多い首都圏では、いつああいう事故に巻き込まれても不思議ではないですよね。
佐藤春夫と谷崎潤一郎の「細君譲渡事件(1930年8月18日)」は、源氏物語などに詳しかったであろう当事者たちにとっては、別に世間が騒ぐほどの行為ではないと思っていたでしょうね。「細君譲渡」っていうのは、いかにも男尊女卑的な言い草ですが・・・。「常識」のないのは当時の世間のほうなのかも・・・。
「オシドリは仲のよい夫婦の象徴として扱われ「おしどり夫婦」という言葉もあるほどだが、子育ては他のカモ類と同じくメスが行い、繁殖期ごとに別の相手と結ばれる。繁殖期以外ではオスとメスは別行動である。一年ごとにオスはパートナーを替える、つまり、毎年、妻を替えるわけで、喩えとはまったく逆の配偶者選択行動をとる。(ウィキペディア)」だそうですよ(笑)。
「ヒトの社会は基本的に男性が女性とその子供に対して社会的、経済的な保護を投資として与える構造を持っているので一夫一婦制的な繁殖システムを持つ傾向にあるが、歴史的にみると一夫多妻制が普通であった時代や地域も多いし、一妻多夫制の社会すらも知られている。一夫多妻制が成り立つひとつの要因は、ヒトの社会の複雑な構造によって社会的地位や経済的地位の差が生まれ、個々の男性に集積される資源の量に大きな幅が生まれることが挙げられる。そのため、多量の資源を集積した男性には複数の女性とその子供への投資が可能になり、一夫多妻制が実現されるようになるのである。
また、外部社会との間の戦争状態が長く続いている社会では、戦死によって男性が少なくなるために一夫多妻制が女性保護の観点から推奨されるケースがある。例えば初期のイスラム社会(イスラム帝国)ではイスラム勢力の征服戦争によってイスラム教徒男性の戦死者が多かった。そのため、イスラム法ではイスラム以前の無制限の一夫多妻制に、4人までという人数制限と、すべての妻を平等に扱うという掟によって一定の制約を与えた上で、聖戦によって生じた寡婦を既婚者が娶(めと)ることを推奨した。(ウィキペディアより)」
最近読んだ知人女性の薦めで読んだコミックの中では、よしながふみ作の「大奥」が滅法面白いです。
http://www.amazon.co.jp/%E5%A4%A7%E5%A5%A5-%E7%AC%AC1%E5%B7%BB-JETS-COMICS-%E3%82%88%E3%81%97%E3%81%AA%E3%81%8C/dp/4592143019/ref=pd_cp_b_2
「関東の田舎のある村、一人の少年が茸を採りに山へ出かけ、熊に襲われた。虫の息の状態で家へ連れられてきたが、間もなく息を引き取る。少年の死後、兄や幼馴染みや村人が次々と高熱を出し、真っ赤な発疹が全身に広がり、爛れ膨れ上がって死んでいった。そしてその奇妙な病は隣村から数年後には関東一円にまで伝染していった。しかも、病に罹るのは若い男ばかりだった。
そして治療法も見つからぬまま80年余りが経過し、病は『赤面疱瘡(あかづらほうそう)』という名で国に根付いていた。凄まじい勢いで減っていった男子の人口は、女子の約4分の1で安定した。そして男子はその生存率の低さから子種を持つ宝として大切に育てられ、女子があらゆる労働力の担い手となっていくのであった。
江戸城でも、3代将軍徳川家光以降、将軍職は女子へと引き継がれていった。そして、大奥は、ただでさえ男子が少ない中で美男3000人が将軍に仕える女人禁制の男の城となっていた。
男女の立場が完全に入れ替わった男女逆転大奥の物語。
掲載誌『MELODY』での扉絵や柱にある粗筋では「男女逆転!パラレル時代劇」「これは日本の江戸時代とは似て非なる物語」と必ず記載されており、いわゆるSF作品(歴史改変SF)であると位置付けされている。(ウィキペディアより、あらすじ)」
昨年はパーセル生誕350年でしたが、彼は大石内蔵助(1659-1703)と同い年なんですよ。そこで、「男と女」「赤穂浪士のチームワーク」といったことを考えるうえでご参考になるかと考え、深作欣二監督作品で一番私が好きな「忠臣蔵外伝 四谷怪談」のDVDをご覧になられることをお薦めしておきます(もう、何でもありです・・・笑)。
http://www.amazon.co.jp/%E5%BF%A0%E8%87%A3%E8%94%B5%E5%A4%96%E4%BC%9D-%E5%9B%9B%E8%B0%B7%E6%80%AA%E8%AB%87-DVD-%E6%B7%B1%E4%BD%9C%E6%AC%A3%E4%BA%8C/dp/B00012T3FA/ref=sr_1_1?s=dvd&ie=UTF8&qid=1282684778&sr=1-1
鶴屋南北の「忠臣蔵」と「四谷怪談」は、江戸時代、交互に上演される対の作品で、この両者を合体させて1本の映画にすることは理にかなっています。マーラーの「巨人」第3楽章を、センスよく使用しています。昔観た時、傑作だと思いました。
それにしてもヒロイン役の高岡早紀の私生活も、その後、すっかり「魔性の女」になりました。

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岡本 浩和

>雅之様
こんばんわ。
>「細君譲渡」っていうのは、いかにも男尊女卑的な言い草ですが・・・。「常識」のないのは当時の世間のほうなのかも・・・。
なるほど、確かにそうかもしれません。
オシドリ夫婦や夫婦制度についての詳細なコメントありがとうございます。勉強になります。「大奥」という漫画も面白そうです。(残念ながら知りませんでした)
>昨年はパーセル生誕350年でしたが、彼は大石内蔵助(1659-1703)と同い年なんですよ。
これは知りませんでした!深作欣二監督の映画についても存じ上げませんでした。それにしても雅之さんの博学には毎々脱帽です。今後ともいろいろとご教示よろしくお願いします。
いろいろと深く考えさせられますが、今晩は遅いのでこれくらいで失礼させていただきます。

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