the velvet underground LIVE MCMXCIII (1993)

紆余曲折を経て、再結成(?)なったヴェルヴェット・アンダーグラウンドの熱量溢れる驚異のパフォーマンスに言葉がない。ルー・リードの、アルバム・リリース当時のそれとは趣を異にした、例のシュプレヒシュティンメのような歌唱が、ヴェルヴェッツの進化(及び深化)を物語る。あのエロティックな歌は、声は、ほとんど人の業を超えているようにも思うが、ジョン・ケイルも、モーリン・タッカーも、スターリン・モリスンも実に楽しそうで、聴衆はもちろんのこと、むしろ彼らが久しぶりの結集に最も歓喜していたのではないかと思われるくらい。

そこで最も印象的だったのは、ぼくが行ったモーリンへの電話インタヴューのように、とにかく「自分たちが楽しめるから」やる、という発言が目立ったこと。そして、「ぼくらは、これを再結成だとは考えていない。時間を隔てた、単なる連続の一部だと思っている」というルーの言葉だ。
(1993.9伊藤英嗣)
WPCP-5648-9ライナーノーツ

バンドの中核だったルー・リードとジョン・ケイルの自我のぶつかり合い、衝突こそがバンドのエネルギー源であり、それゆえに短期間でジョンが脱退、結果的に6年ほどの活動期間しかなかったヴェルヴェット・アンダーグラウンドの、「満を持しての」と言っても過言でない、パリはオランピア劇場でのコンサートの記録。ついに互いのエゴの融和なった、幸せな瞬間がここぞとばかりに刻まれる。

・the velvet underground:LIVE MCMXCIII (1993)

Personnel
John Cale (bass guitar, keyboards, viola, backing vocals, lead vocal on “All Tomorrow’s Parties”, “The Gift”, “Femme Fatale” and “I’m Waiting for the Man”)
Sterling Morrison (rhythm and lead guitar, bass guitar, backing vocals)
Lou Reed (lead and rhythm guitar, lead vocals)
Maureen Tucker (percussion, keyboards on “Black Angel’s Death Song”, lead vocal on “After Hours” and “I’m Sticking with You”)

時は1993年6月15日、16日、そして18日。
ヴェルヴェッツのコンサートの全貌をほぼそのまま収録しているそうだが、冒頭”We’re Gonna have a Real Good Time Together”からラスト・ナンバー”Coyote”まで息つく間もない、集中力を要求される圧倒的な時間。個人的には、ジョンの力の入った、想いのこもった”The Gift”に感銘を受けるが、続く”I Heard Her call My Name”でのルーのリード・ヴォーカルと、他の3人のバッキング・ヴォーカル、そして歪のある強烈なリード・ギターのうねりに一層のワンネスを感じ、それは、ついに成ったヴェルヴェッツ再集結の、自らの祝福のようでもある。ジョン・ケイルの歌う名曲”Femme Fatale”の脱力感がまた良い。

それにしても哀愁漂う”Heroin”は傑作であり、また、ルーの、キーを下げ、シュプレヒシュティンメで歌われる”Pale Blue Eyes”の見事さ!!
僕は、1990年8月6日にNHKホールで聴いたルーとジョンによる一夜限りの”Songs for Drella”コンサートでの、ジョン・ケイルが歌った”Pale Blue Eyes”の感動を思い出す。あのときホールにいたすべての人が涙し、歓喜していた。

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