「つながり」を意識すること

albeniz_hamelin.jpg一気に冬到来という気候で、雪でも降るのではないかと思わせるほど外の空気は冷たい。雨は明日の明け方まで続くとのことだが、風邪等ひかぬよう注意したいところ。週末は名古屋でセミナーがあるし、来週も予定が結構入っているので病気になっている暇はない。その字の如く「病は気から」というが、身体を冷やさないようにしつつ、意識を外に向け(つまり気を吐き)、人が喜んでくれる姿を想像しながら生きていると絶対倒れることはない。セミナーを受講していただく際、僕は「ここにいる自分以外の方たちのために一生懸命やってください」と皆さんにお願いする。人は誰でも他人のために生きているようなもので、そのことに気づき、そういう生き方が自ずとできるようになることで「人間力」が大幅に向上するということを間近にたくさん見てきたものだから、必ず冒頭に申し上げるのである。
「世界は一つで、すべてつながっており、自分もその一部である」ということを全ての人が自覚、認識したら世の中は本当に良くなるだろうな・・・。

イサーク・アルベニスがその晩年に病身をおしながらもおそらく全精力をかけ創作しただろう超絶技巧の傑作ピアノ曲集「イベリア」12の新しい〈印象〉全4巻。今日だけで3度も繰り返しこの曲集を聴いた。スペインはかつて一度だけ訪れたことがある。その時はマドリードを中心にアランフエスなどの周辺都市を周ったように記憶する。どこもかしこも中世の街並みが残存し、エキゾチックな雰囲気を漂わす中に得体の知れない高揚感を感じさせる「異国情緒」溢れる国だった。食事もすべて日本人好みで、何を食べても美味で、またもう一度行ってみたい国のひとつである。とはいえ、あのラテン系特有の鷹揚さ、尻の軽さのような体質にはやっぱりついていけない(笑)。僕は深刻で暗いゲルマン系の国々に最終的には惹かれてしまう。性根からネクラなんだろう・・・。

アルベニス:「イベリア」12の新しい〈印象〉全4巻
マルク=アンドレ・アムラン(ピアノ)

これはアルベニスが愛する故郷にお別れを告げる、そう、現世へのお別れのつもりで書いた音楽であることが手に取るようにわかる。愉しげに響くはずのどの舞曲も心なしか寂しく哀しく心に響く。昨日のモンポウとはまた違った意味で静かな「祈り」の思いが見事に音化されている。

アムランの演奏はさすが技巧派だけあり完璧。しかし、あまりにテクニックに偏りすぎるきらいがあり、死を目前にした作曲家の心までは捉え切れていないように思う。残念ながら僕は未聴なのだが、ラローチャが録音した音盤ならもっと切実に直截に感情に訴えかける表現を耳にできるのではなかろうか。すぐにでも比較して聴いてみたいところだが手元にその音盤はない。

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