モンポウを聴く

mompou_plays_mompou.jpg昨日も今日も快晴。「愛知とし子ピアノリサイタル」にご来場いただいた皆様にお礼のメールを送ったところ早速いくつも返事をいただいた。音楽はもちろん良かったのだが、それ以上に見事だったのが、借景のように雨に濡れそぼる庭園をバックに、ピアノの音色と連動するかのように風がたゆたい、鳥が舞い降りる光景がたまらなく魅力的だったという感想がことのほか多かった。本当にどういうわけか24日のリサイタル当日だけ雨模様になるとは、これこそまさに天の配剤というか、神様が与えてくれた演出というか、こんなに幸運なことはない。ともかく、大勢の方々にご来場いただき、喜んでいただけたのだとあらためて実感した。

時と共に消え往く運命である「音の芸術」は、時間と景色の移り変わりと交錯することで本当に劇的な印象を与えるもの。特に、東京都庭園美術館のように、通常のホールとは違ったシチュエーションでのリサイタルはまた別の感動を与えてくれるから価値がある。来年にはホールが老朽化のため一旦壊されるということだが、何だかもったいないように思う。

モンポウを聴く。

フェデリコ・モンポウの音楽は内省的で、そのどれもが涙が出るほど美しい。とりわけ僕が好んで聴くのは初期、まだエリック・サティやクロード・ドビュッシーの影響を受けつつ書かれた作品群。例えば、「内なる声」(1911年~14年)、「子どもの情景」(1915年~18年)。ラテン民族のもつ情熱的な側面を内に秘めつつも、外側はあくまでクールにそっけなく紡ぎ出される祈りの音楽。

ところで、来月の「早わかりクラシック音楽講座」は久しぶりにショパンを採り上げる。数々の名曲を生み出している作曲家だけに、どういう切口で攻めるか今から悩みの種だ。単に有名曲を集めて編んでも良いだろうし、時代で区切って構成するのも良かろう。妥当な線は、ある曲集をまとめて聴いてみることか・・・。どなたか良い知恵あったらコメントください。

以前、ブーニンの弾く「24の前奏曲集」を採り上げた。この音楽はショパンが愛人ジョルジュ・サンドとマジョルカ島への逃避行を敢行した前後に創作された極めて美しい曲集だが、壮年期のモンポウがこの中の第7番イ長調-そう、「太田胃散」のCMで有名なあれ-を主題にして傑作変奏曲(1938年~57年)を残している。わずか数十秒の音楽を元に創造力の限りを尽くし、繊細で静けさに富んだ楽曲を創造した渾身の名曲。これまた美しい・・・。

モンポウ自作自演集
フェデリコ・モンポウ(ピアノ)

今やこの自作自演全集(4枚組Boxセット)は、Brilliantレーベルから2000円弱で販売されている。絶対に「買い」!

⇒旧ブログへ


コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

アレグロ・コン・ブリオをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む