もうひとりの個性派ピアニスト

brahms_sonaten_ugorski.jpgまる1日あちこち動き回り、頭も相当使ったので、今日はブログを書くのをよそうかと思っていた。先日のポゴレリッチのコンサートで、プログラムにないブラームスの作品118-2が、あまりに異形のピースになっていたことは横に置いておくとして、僕にとっては極めて深みのある晩年の作曲者の心境―孤独とか抑圧とかの類―を見事に表現し得ていた独自のパフォーマンスだったことが忘れられないことと、そういえば今日はブラームスが生まれた日だったことを思い出して、せっかくだから彼の音楽を聴こうと音盤を取り出し、ついでにブログを書いてしまおうとパソコンに向かった(とはいえ、頭がしっかり働かないので、短めにしておく・・・)。

音楽をすることとは、それを創作した音楽家のそのときのフィーリングをいかに表現できるかが重要なポイントなのではないか。たとえそれが、彼が想像した枠をはみ出していたとしても、聴く側に相応の感情が伝わるのならばそれはありだと。だから、表現方法、スタイルは無限にあってよし。とにかく様々な解釈を感じ、享受できるという余裕を持ちたいものである。

そんなことを考えながら、もうひとりのユニークなピアニストのことを思った。時に極端なスロー・テンポという意味ではポゴレリッチに引けを取らないが、少なくともあそこまではデフォルメされてはいない、一般の人にもついていける(であろう)ギリギリの表現。いや、ポゴレリッチも1990年代までの音盤を聴く限りではそうだったのだから、歳をとるにつれ彼の演奏も随分変化しているかもしれないから何ともいえないが。

ブラームス:ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ作品24
アナトール・ウゴルスキ(ピアノ)

ソナタ全集からの1枚。ヴァリエーションについてはブラームスの右に出る者はなかなかいまい。ヘンデルの美しい主題をもとに、若きブラームスが書いたこの作品は、最後のフーガによる頂点が感動的。そして、その憧れと野心に満ちた青年の心をこれほどまでにストレートでありながら個性的に表現したピアニストを僕は他に知らない。

最近のウゴルスキの実演はどんなだろう?聴いてみたい。


2 COMMENTS

雅之

おはようございます。
ウゴルスキのブラームス、岡本さんに教えていただいた後、中古盤で見つけ入手しましたが、正直聴き込みが足りていません。しっかり聴き直します。
>歳をとるにつれ彼の演奏も随分変化しているかもしれない
当然そうだと思います。
「ブラームス⇔ウゴルスキ⇔私」、この三つの関係の質は、昨日と今日と明日では、もう、どんどん変化していきます。 

返信する
岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
しっかり聴き込みよろしくお願いします(笑)。
>この三つの関係の質は、昨日と今日と明日では、もう、どんどん変化していきます。 
その通りです!

返信する

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

アレグロ・コン・ブリオをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む