全身全霊のショパン!

chopin_zimerman_concerto.jpg「四つの約束」(ドン・ミゲル・ルイス著)を読んだ。
古代メキシコの智慧にもとづいて書かれた、人生をより良くするという4つの教え。
第1の約束:言葉とは力、であるゆえ「正しい言葉、すなわち罪がない言葉」を使えという。第2の約束:人が何をし、言ったとしても、自分のこととして捉えないこと。すなわち、正しい選択をするとき、他人を信じるのではなく、「自分自身を信じること」が大事なのだと。第3の約束:勝手な思い込みをしないこと。すなわち、本当の愛は、その人をあるがままに、変えようとすることなしに、受け容れることであると。そして、第4の約束:常にベストを尽くすこと、すなわち行動すること。

なるほど、極めて簡潔に書かれているので、わかりやすい(ものの1時間もあれば読了できる本です)。この本を読みながら、思い出したのがツィマーマンの弾き振りによるショパンの協奏曲。これほど全身全霊を込めて演奏された音盤は稀である(自分を信じ、愛を持ってベストを尽くした究極の演奏とはこういうことをいうのだろうか・・・)。

ショパン:ピアノ協奏曲第1番ホ短調作品11&第2番ヘ短調作品21
クリスティアン・ツィマーマン(ピアノ&指揮)
ポーランド祝祭管弦楽団

ツィマーマンは完璧主義者である。レコードも余程の自信がない限りリリースしない。協奏曲は何年か前に発売されたラトルとのブラームス第1番があるが、ソロの新譜に至ってはいつが最後だったのだろうか・・・?とはいえ、頻繁に来日し、リサイタルを開いてくれるからそれほど欲求不満に陥っているわけではないのだが、それにしても名演を聴かせてくれたモーツァルトやベートーヴェンのソナタなどはきちっと音盤としてリリースして後世に残してほしいものである。

2000年にリリースされたこのアルバムは、発売と同時に大絶賛された、昔日の面影を色濃く残す19世紀ロマン派風の泣く子も黙る大演奏。ショパンの2曲の協奏曲を演奏するためにわざわざオーディションをし、結成したポーランド祝祭管弦楽団を徹底的に訓練し、自身の表現のために全くの妥協を許さず、弾き振りで演奏するツィマーマンは真の天才である。生業をピアニストから指揮者に転向した音楽家は大勢いるが(アンドレ・プレヴィン、ダニエル・バレンボイム、ウラディーミル・アシュケナージなど)、クリスティアン・ツィマーマンこそ今後のクラシック音楽の未来を担うピアニスト指揮者であると僕は信じて疑わない。ただ、残念ながら実演を聴けていない点が弱いところで、このコンビによる生演奏をぜひとも聴いてみたいところだ(おそらく実現は無理だろうが)・・・。

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