今の時代、新人が「会社のためだ」とか「社会貢献だ」ということで身を粉のようにして働くなどということはおおよそなくなっているらしい。どの企業でも概ね新人の教育には手を焼いているようだが、特に新興のベンチャー企業ともなるとその色が濃いようである。
「なぜ働くのか?」という問いかけに対して若者は「自己成長のため」と答える。一方、経営者が望むのはあくまで会社への貢献であり、自己成長は後からついてくるものだと考える。「新人フォロー研修」のコンテンツを練りこむため、大学を卒業し、働き始めたばかりの若者たちに「世のため人のために尽くすことの大切さ」を身をもって感じてもらうにはどうするのがベストなのだろうかと今日は一日考えていた。
昨日、滅多に観ないテレビをつけたら、例によって北京オリンピックの話題で、金メダルを取ったソフトボールの上野投手のインタビューをやっていた。「私は自分のためだと妥協してしまうが、人のためだと妥協ができない」という内容の言葉。とても印象に残った。
気持ちが「内(=自分)」に向いた時、物事はうまくいかなくなることが多い。しかしながら、彼女がいうように「他人のため」と心底思ってとった行動は結果を生む。気持ちを外に向けることはとても大事なことなのである。若干26歳の女性がソフトボールというスポーツを通して学んできたことは、座学では決して得られない全てに通じる「真理」だと思う。
それにしても、たった一日の研修でそういう真髄を体感的に教えるにはどうすればいいのか・・・。ちょっと数日頭を捻ることになりそうだ。
ラッスス:5声のためのレクイエム
ブルーノ・ターナー指揮アンサンブル・プロ・カンティオーネ・アンティカ・ロンドン
ローマのサン・ピエトロ大聖堂で活躍したパレストリーナとほぼ同時代を生きた16世紀フランドル楽派の大作曲家、オルランドゥス・ラッスス。千数百曲という夥しい数の様々な音楽を残したラッススは「死者のための鎮魂曲」を2曲書いている。4声部で書かれた方は未聴だが、今朝から何度も繰り返して流しているこの5声部のレクイエムは信じられないほどに静謐で美しい。中世・ルネサンス音楽の真髄は「祈り」である。カトリック派であれプロテスタント派であれ、キリスト教にまったく疎い僕は、感覚的にしか捉えることができないのだが、少なくとも作曲家は、自身のために楽曲を書いたのではなく、意識は他(それが「神」ということかもしれぬが)に向いていることは明らかだ。
何度聴いても耳に優しい・・・。
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