今年の世相を表す漢字が発表された。「偽」である。
なるほど、ミートホープ事件、赤福事件、船場吉兆事件など「食」への信頼を揺るがせる「偽装」問題がいくつも発覚した。今の世の中は、一つ問題が起きると数珠連なりのように類似の問題が露呈される。おそらくこれらは氷山の一角なのだろう。そして何年かするとそんな事実が無かったかのように人々の記憶から風化する。人間の歴史というのは駆け引き、騙しあい、懐の探りあいのようなもの。今の資本主義社会においては、とにかく売上げが第一の指標で、倍々ゲームで会社を大きくしようとする流れがとにかく大問題なのだと思うのである。特に、「食」は「人」に「良」と書く。「食」に携わる方々にはお客様第一の「人に良い」真のサービスを第一のモットーとして努力していただかない限り、我々消費者は安心してモノを口に入れることすらできない。本当に困ったものである。

ここのところ外で食事をするのが苦痛になってきている。基本的に「菜食主義」なので、家では動物性の食品は摂らない。しかし、外出中に食事をするとなるとそうも言っていられない。せいぜい魚介類までで、なるべく肉類は食べないことを心がけてはいるが、如何せん日本は欧米に比べまだまだ遅れていてほとんど「菜食」を貫くのは不可能。それと、煙草の問題。近頃はどこに行っても禁煙となってはいるものの、まだまだ分煙は完璧ではなく、食事中も喫茶中も吸いたくない煙を吸わされてしまう。本当に困ったものである。

本当に人のことを想い労われる人間が少なくなっているのだろう。偽善者の何と多いことか。そういえば、「人」の「為」と書いて「偽」と書く。恐ろしい。

グリーグ:抒情小曲集
エミール・ギレリス(ピアノ)

「偽り」なく気持ちを落ち着けたい時に聴きたくなるピアノ小曲集。1867年に発表された第1集の巻頭を飾る名曲が「アリエッタ」。女性の名前なのかと思っていたが、どうやら「そよ風」を意味するらしい。自然は正直である。心身に心地よい「そよ風」もあれば、時には人命を奪うほどの猛威を揮う「嵐」と化することもある。それは人間の心、状態を表す鏡。とにかく心を静かにすることが重要だ。

ところで、よく考えてみると「偽り」の裏には必ずと言っていいほど「お金」の問題がある。「お金」というものは人間が創り出した最も脅威的な「武器」なのかもしれない。

「お金のいらない国」という本を読んでみてほしい。お金という概念のない国に突然来てしまった私がその国の価値観に戸惑うが、自然に慣れ共感していくというメッセージをこめた短編小説。面白いです。

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