Viva! 愛知とし子ピアノリサイタル

brahms_bellio_somenzi.jpgやなか音楽ホールでの「愛知とし子ピアノリサイタル・スプリングコンサート2009~翔~」が無事終わった。100名ほどの小さなホールだが、オーナーが音楽好きで半分道楽のために(笑)造ったということもあり、音響効果も抜群でお客様の反応も良く、とても感動的なコンサートだったと思う。
1曲目のラヴェルからショパンを経て、今回のコンサートの目玉である創作音楽物語「子どもの情景」(シューマン作)までテンポ良く観客を「その気」にさせる腕前は今まで以上に上がっている。特に「子どもの情景」は、眼前にはっきりとイメージが膨らみ、とても心地よい瞬間を過ごさせていただいた。それにしても読み聞かせをしていらしゃるやさかのっきぃさんの朗読はさすがで、先月信楽町でのリサイタルの際、僕が代役として舞台に出させていただいたものとは雲泥の差(苦笑)。やはり餅は餅屋である。
とはいえ、僕としては今回のリサイタルの白眉は休憩後のチャイコフスキーであり、ブラームスであり、あるいはガーシュウィンであったと思う。特に、ブラームスの間奏曲作品118-2は作曲者晩年の「侘び寂」とクララへの切ない想いを適確に表現した名演奏だった(もちろんラストの「ラプソディ・イン・ブルー」も大熱演だったが・・・)。

なお、アンコールには「愛と知と・・・」より、パッヘルベルのカノンとマスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲の2曲が披露され、さすがに本人の編曲版だけあり、こちらも堂に入った「優しさ」溢れる音楽であったことを付け加えておく。一体感のある会場で、こういった名演奏に触れることができた本日のご来場者は本当に幸せであると思う。決して身内贔屓の大袈裟な話ではなく・・・。

打ち上げ、そして2次会を終え、帰宅したのはついさっき。久しぶりに顔を合わせた面々と十分歓談もでき、有意義な一日が終わった。

ブラームス:ワルツ集作品39
エマニュエラ・ベリオ、マッシモ・ソメンツィ(ピアノ)

1865年、母の死の年に出版したピアノ連弾用のおよそブラームスらしからぬ可憐でお洒落なワルツ集。心身を癒す効果が不思議にあり、疲れたときはこれに限る。第15番イ長調は夙に有名だが、16曲の全てが傑作の名に恥じない曲集だと思う。愛するクララとピアノの前に向かい、愛を囁きながら奏する姿が思い浮かぶ。

明後日は大阪「輝き塾」での講演会。日帰りなので移動が大変といえば大変だが、ともかくベストを尽くそう・・・。


5 COMMENTS

雅之

おはようございます。
・・・・・・僕は、女流演奏家のほうが好きなんですよ。指揮者は別として、男より女のほうに好きな人が多い。例えばチョン・キョン・ファとか前橋汀子とか。リリー・クラウスも凄かったです。遠山一行さんも、女の演奏家のほうが好きだし、いい人が多いと言っていましたね。男はどうしても頭で考えるから、大体同じになる、人間だから。ところが、女は体当たりで、閃きや直感を大切にする。直感みたいなものは神に通じているから。それで男にできないことをやるんじゃないかとおっしゃていた。僕は非常に同調しました・・・・・・(『宇野功芳の「クラシックの聴き方」』音楽之友社 2006年第1刷 より)
愛知とし子さんの音楽性で特筆すべきは、こうした女性の特質に加え、男性的、直球的な長所も併せ持っていること。だから古典派もロマン派も素晴らしいのだと思います。
テンポ良く観客を「その気」にさせる腕前が今まで以上に上がった愛知とし子さんの演奏、当地で聴ける日を心待ちにしております。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
宇野功芳氏の「女は体当たりで、閃きや直感を大切にする」という言葉よくわかりますね。僕は男と女は異星人だと思うのですが、視点や感覚が180度違うと思うことが多いです(良くも悪くもですが)。
>愛知とし子さんの音楽性で特筆すべきは、こうした女性の特質に加え、男性的、直球的な長所も併せ持っていること。だから古典派もロマン派も素晴らしいのだと思います。
そう言っていただけると本人は喜ぶと思います。9月には多治見でファミリーコンサートが予定されていますので、その時にはぜひ!

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たんの

昨日は、初めて愛知とし子さんのピアノリサイタルに伺いました。
ガーシュインの「ラブソディーインブルー」の熱演に、素人ながら感動しました!!やさかのっきぃさんが『ブラボー!』と叫んだお気持分かります。
この演奏は、おっしゃるように女性の体当たり的・男性的・直球的感性の素晴らしさではと。。。
一緒に行った、3年ぶりに会った友人(彼女は代々木上原で宝石店を経営しているジュエリーデザイナー、一人娘は主に北京で画家として成功。。)と積もる話があり、アンケートも出さずにさっさと帰って失礼しました。
※代々木上原にも、今回と同じような素敵なホールがあります。
すっかり愛知とし子さんのファンになりました。よろしくお伝えください。

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岡本 浩和

>たんのさん
こんばんは。昨日はありがとうございました。
「ラプソディ・イン・ブルー」良かったですよね!たんのさんにもやっと聴いていただけて良かったです。
そういえば、こちらも終演後ご挨拶できませんでした。失礼しました。
>すっかり愛知とし子さんのファンになりました。
ありがとうございます。こちらこそ今後ともよろしくお願いします。

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アレグロ・コン・ブリオ~第4章 » Blog Archive » ブラームスの第5シンフォニー

[…] すみだ学習ガーデンでの「早わかりクラシック音楽入門講座」も本日で第6回、そして本年最後の講義となった。本日のお題は後期ロマン派からブラームスとブルックナー。とはいえ、わずか2時間ばかりでは真髄までは残念ながらお伝えできない。中途半端さに隔靴掻痒しながらもブラームス、それもロベルト・シューマンとクララとの関係などを中心に1時間20分、残りの40分をブルックナーについての簡単な見解とギュンター・ヴァント指揮する第7交響曲の映像を抜粋で視聴いただいた。 終了後、何人かの受講生が年の瀬のあいさつにいらした。その中である老淑女から「1月に小学1年の孫がピアノ発表会でブラームスのワルツを弾くことになっていて、それがクラシック音楽について学んでみようと思ったきっかけだったんです」と嬉しそうにお声をかけていただいた。なるほど、そのことを知っていたら講義中に「ワルツ集作品39」(多分有名な第15番をお孫さんは弾かれるのだろう)をかけさせていただいたのにとも思ったが、何よりこの講座自体を毎回楽しみにいらしていただいているんだということがわかっただけでも収穫。決して専門家でない僕が(いや、専門家でないがゆえに専門的でない話ができるのかも)こういう場をいただいて、音盤ながら皆さんに僕が推薦するCDやDVDを視聴いただけるというのだから真にありがたい。ともかく感謝である。 […]

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