岐阜~滋賀方面の旅からお昼前に戻る。人の温かさに触れたとても濃い有意義な連休、そして誕生日・・・。
3月20日(祝)、春分の日。雨のち曇り
小雨混じる早朝東京を出発する。午後、多治見に到着。雨はあがっているものの、曇り空。多治見市学習館多目的ホールでの子どものピアノ発表会に相方が特別ゲスト出演するというので30分ほどのミニリサイタルを鑑賞。パッヘルベル「カノン」、ドビュッシー「アラベスク」やショパン「幻想即興曲」など、ここ最近よく舞台にかけている楽曲からお馴染みの選曲。最後の曲が終わるや否や客席からは「ブラヴォー!」の声。地方都市のこういうコンサートの光景はほのぼのとしてとてもいいもの。終演後、家族揃って美味しい鰻重を食し、瑞浪へ移動。彼の地も3度目ともなれば慣れたもの。行きつけだという、根っからのタイガース・ファンの女将が切盛りする「のんき屋」に連れて行っていただきビールを少々。
3月21日(金)、晴れ
午前中、相方がミーティングがあるというので同席。瑞浪や多治見に住まれているご縁のある方々にご挨拶させていただく。そのままつい先月開通したばかりの新名神高速道に乗り、信楽へご両親ともども移動。お気に入りの聖地「飯道神社」に一緒に詣で、下山後宴会になだれ込みわいわいがやがやと歓談。宵は更けていく・・・。
3月22日(土)、晴れ
44回目の誕生日。これまで十数年、若い学生さんが中心になってこの「目出度い日」を祝っていただいていたが、今年は20数年ぶりに実家にて。誕生日とは
お母さんに感謝する日だと淀川長治氏は説いていたが、まさにその通り。感無量。激動の2007年を経てこういう展開になるとは摩訶不思議。人生とは誠に面白いものである。
午前、再度飯道神社を訪れる。空気も良く、エネルギーも高く、とても神々しい。一家団欒で昼食後は相方の実弟の住む春日井市へ移動。ここでも飲みながら楽しく夕食、歓談。バースデー・ケーキまでご用意いただく。素直に嬉しい。
そして本日。早朝6:00に瑞浪を出発して中央道を北上。日曜日ということもあり上り車線は全く渋滞なくスムーズ。10:30には東京に着く。わざわざ自動車で送っていただいたご両親に感謝いたしますm(_ _)m
昨日から「お誕生日おめでとう」の電話やメールがたくさんの友人から入る。帰宅してPCメールを開けると、そこにもまた何通かメールが・・・。前職を離れてからすでに1年余り経過するが、皆が僕の誕生日を覚えてくれていることにまた感激、感謝である。ありがとう。本当に両親をはじめたくさんの方々に支えら
れて自分が「今ここに存在している」ということをあらためて実感させられた旅であった。これまで育ててくれた両親、今まで出逢った友人たち、新しく親戚になる予定の義父母や義兄弟。そしてこれから新しく出逢うであろうたくさんの方々に感謝します。ありがとう。
人生とは決して悲観するものではない。誰もがきっとうまくいくはず。やるべきことを愚直に貫きやり通せば必ずどんなところにも「一条の光」が差すものだ。
ところで、来週末は「第14回早わかりクラシック音楽講座」である。その頃には桜もちょうど満開で見ごろだろう。そんな春本番が近づく折、とりあげる楽曲はベートーヴェンの自然賛歌「田園」交響曲。少しずつ耳が聴こえなくなっていくという苦悩の最中に楽聖が自然や他というものに対する感謝の念を音化した傑作。ベートーヴェンの9曲のシンフォニーの中では、意外に人気の薄い曲かもしれない(作曲者の意識は自己の苦悩よりもむしろ他者、自然に向いている佳作なのだが)。しかしながら、あまりにも有名な第1楽章第1主題はもちろんのこと、第2楽章の「小川のほとり」での鳥たちとの会話や第4楽章「雷雨、嵐」での自然描写、感情描写の美しさは無類である。
ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調作品68「田園」(1977.3東京Live)
カール・ベーム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
「田園」はあまりに通俗曲である。しかし、その精神的内容はあまりにも深い。特に、第5楽章「牧人の歌-嵐のあとの喜ばしい感謝に満ちた気分」は前人未到、空前絶後の音楽である。コーダは究極の「癒し」である「祈りの心」を表現する音楽であり、その意味では苦悩を抱えたアダルト・チルドレン、ベートーヴェンが生み出した唯一無二の最高傑作といえるだろう。第9の歓喜の歌を凌駕するスケールをもつのだ。
僕は長らくワルター盤やフルトヴェングラー盤を愛聴してきた(とにかくフィナーレの「祈り」の深さがその演奏が凄演か凡演を判断する鍵である)。この2種の音盤は今後もプレーヤーに載せる回数の多いCDであろうが、これまで接した実演で僕にとって忘れられない演奏会が2つある。一つは1989年昭和天皇崩御の直後、朝比奈隆が新日本フィルとのツィクルスで成し遂げた至上の名演奏(田園に限らず朝比奈のベートーヴェンはこの時のツィクルスが一番だと僕は思う。CDで聴き返してみてもその感想は変わらない)。2つ目は、つい昨年、東京芸術劇場で聴いた宇宿允人&フロイデ・フィルの名演奏。こちらはマニア受けのする変人指揮者の公演であるゆえ賛否両論だろうが、まさに僕が最も好きな「田園」のひとつとして挙げるフルトヴェングラーの演奏を目の当たりにしているかの如くの名演奏であったと思う。上記のベームの日本公演の実演は残念ながら聴
いていない。しかし、このLive盤は素晴らしい。
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[…] ほどまでに直接的に響くことはなかなかない(怒られそうだが、実演体験のないベーム&ウィーン・フィルと同等。ここでやっと宇野節炸裂!!)。宇宿さんの時もそうだったが、涙が […]
[…] ベームの「田園」は本当に素敵(ライブの人、ベームには1977年の東京公演における同曲録音もあるが、僕的にはライブの方が好み)。 […]