札幌交響楽団2011東京公演

朝から冷える。
曇り空がいつの間にか雨。
今年も気がついたら3月を迎え、本当に光陰矢のごとし。
日々後悔ないよう精進したいもの。

今宵、尾高忠明&札幌交響楽団による東京公演。小雨降る寒空の中、会場はむしろ熱気に溢れる。ほぼ満席かと思われるサントリーホールに はいつにない温かい空気が醸し出されていた。座席はオーケストラの後ろ、いわゆるP席。最近はあえてこの席種を選択するが、何よりオーケストラとともに舞 台に乗っているような錯覚に襲われるところが素敵。それに、今日は特に感じたのだが、音楽が直接に身体中に響きわたり、まさに「音浴」聴きという言葉で表 せるような体験だった。

2011年3月1日(火)19:00開演
サントリーホール
指揮:尾高忠明
チェロ:ミクローシュ・ペレーニ
管弦楽:札幌交響楽団
コンサートマスター:伊藤亮太郎
・武満徹:ハウ・スロー・ザ・ウィンド(1991)
・ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第2番作品126
・ショスタコーヴィチ:交響曲第5番ニ短調作品47
アンコール~
・シベリウス:アンダンテ・フェスティーヴォ

ここのところの多忙から少しばかりストレスでいっぱいいっぱいだったのが、1曲目の武満であっという間に癒された。武満の音楽は生でないと決してわかり得 ないというが、「わかる、わからない」ではなく、音盤では真意を「感じれない」のだと思う。タイトルの如く風にたゆたう様、そして水滴がぽとりぽとりと落 ちる様・・・、大自然の大らかな態様を目の当たりにすると、我々が日常的に感じるストレスなどちっぽけなものだと諭されているよう。そして、ペレーニ独 奏によるショスタコの2番!この曲については、残念ながらこれまでの聴き込みが足りない。とはいえ、晩年のショスタコーヴィチ特有の静けさとアイロニーが 錯綜する、とっておきの作だということがよくわかった。何よりペレーニのソロの部分と、オーケストラによる繊細な囁きと饒舌な叫びの対比が見事。こんなに も晦渋にもかかわらず、ひとつひとつの音が心を打つ。 

20分の休憩後に、定番の第5交響曲。いや、これはやっぱり名曲だ。特に、P席で聴 くこの楽曲はきっちりと個々の楽器が見通せ、音楽の詳細までもが手に取るように理解できる。第1楽章冒頭から釘づけになり、フィナーレではわかっていても感激した。二枚舌ショスタコーヴィチの罠についついはめられてしまう。終演後の拍手喝采はお決まり。
そして、アンコールにシベリウスのアンダンテ・フェスティーヴォ。いかにも北国のオーケストラらしく、美しい鳴り。

団員の背中を見て音楽を聴いたが、人間の「背中」って不思議。オーラが出ているよう。「音浴聴き」、おすすめする。

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