
カンタータ第51番「すべての地にて歓呼して神を迎えよ」。少々古臭い、情感を込め過ぎた(?)歌唱が気になるけれど、いかにも確信に満ちた歌は彼女の真骨頂だろうと思う。だからだろうか、妙に祝祭気分の過ぎた(?)、もう少し抹香臭くても良いのではないかと思わせるほどの愉悦の思念が浮かび上がる録音である。ただし、第2曲レチタティーヴォから第3曲アリアにかけての深き祈りの様子はなかなかのもの。独唱が前面に押し出された録音ということもあろうか、彼女の歌は、実に力強く、心に迫る。続く第4曲コラールは、2つのヴァイオリンと通奏低音とを伴った優しくも美しい音楽で、このあたりの脱力の歌はこの人ならではだ。
バッハのカンタータは、いずれもが旧スタイルの、いかにも重厚な現代的な響きを醸す。それに合わせてシュヴァルツコップの歌唱はもちろん重い。ただし、それがまたバッハの敬虔な側面を強調するようで良いのだ(「狩猟カンタータ」BWV208第9曲アリアの、2本オフルートで導かれる牧歌的な旋律は、確か小学校のときに放送室からしばしば流れていた音楽だから懐かしい)。
若きシュヴァルツコップによるモーツァルトのエクスルターテ・ユビラーテの快活な歌!なんだかとても柔らかく、不思議に癒される声。