ヤング指揮ハンブルク・フィル ブルックナー 交響曲第2番(キャラガン校訂1872年第1稿)(2006.3Live)

ブルックナーの初期交響曲の魅力は、音楽の至るところに後年の音調、類似したフレーズが垣間見られることだ。創造の源泉は若い頃から一貫しており、天才作曲家の、文字通り「天と通じて媒介となり、音楽を生み出している」様子が手に取るようにわかって面白い。

それにしてもいわゆる第1稿の素晴らしさは他にはないもの。
第一念をそのまま記譜したような新鮮さ、あるいはそれを支離滅裂と称しても良いのだが、それこそがアントン・ブルックナーの真の美しさなのだとヤングの実演を以前聴いて僕は思った(実際、支離滅裂どころか、後にも先にもないブルックナーの偉大なるオルガン的発想の賜物だろう)。

ちなみに、ウィリアム・キャラガン校訂による第1稿については、かつてクルト・アイヒホルンによるものがリリースされていて、僕も随分愛聴したものだ。女性指揮者らしく、一層明朗さと爽やかさ(?)を獲得したその演奏は、ブルックナーの初期交響曲の素晴らしさを十分伝えている。

・ブルックナー:交響曲第2番ハ短調(ウィリアム・キャラガン校訂1872年第1稿)
シモーネ・ヤング指揮ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団(2006.3.12&13Live)

ハンブルクはムジークハレでのライヴ録音。
第3楽章アダージョの自然体の静けさから終楽章の堰を切ったように音楽が流れ出る冒頭第1主題の音響と、柔和な第2主題の安寧の対比が見事。後期の結論たる宇宙の鳴動がすでにこの時点でも全開となるパフォーマンスは、まさにブルックナーの本懐だろう。良い曲だ。

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