クレメンス・クラウス指揮ウィーン・フィル ヨハン・シュトラウスⅡ ワルツ「美しく青きドナウ」ほか(1950-53録音)

モーリス・ラヴェルではないが、僕がクレメンス・クラウスのシュトラウス・ファミリーのワルツやポルカに持つ印象は「優雅さ」と「感傷性」だ。どちらかというと速めのテンポで繰り出される喜びの表現の中に垣間見える悲哀の念の巧みな表出に、彼の演奏の神髄があるのだろうと僕は思う。

ちなみに、クナッパーツブッシュに代わって登場した1953年のバイロイト音楽祭における「指環」の実況録音なども実に人間的で、神々含めた因果律の中の業力が巧みに表現されており、超名演奏のひとつだと思う(残念ながら翌年、楽旅先のメキシコで客死したためたった一度きりのバイロイト出演になったのだけれど)。

久しぶりにシュトラウス・ファミリーのワルツ&ポルカ集を聴いた。

シュトラウス・ファミリー:ワルツとポルカ第2集
・ワルツ「美しき青きドナウ」作品314(ヨハンⅡ世)
・ポルカ「休暇旅行で」作品133(ヨーゼフ)
・ポルカ「騎手」作品278(ヨーゼフ)
・チャールダッシュ作品23(ヨハンⅡ世)
・ワルツ「我が家にて」作品361(ヨハンⅡ世)
・ポルカ「クラップヒェンの森」作品336(ヨハンⅡ世)
・ポルカ・マズルカ「町と田舎」作品322(ヨハンⅡ世)
・喜歌劇「こうもり」序曲(ヨハンⅡ世)
・ポルカ「狩り」作品373(ヨハンⅡ世)
・「アンネン・ポルカ」作品117(ヨハンⅡ世)
・ワルツ「芸術家の生涯」作品316(ヨハンⅡ世)
・「常動曲」作品257(ヨハンⅡ世)
・ポルカ「おしゃべりな可愛い口」作品245(ヨーゼフ)
・ワルツ「天体の音楽」作品235(ヨーゼフ)
・ラデツキー行進曲作品228(ヨハンⅠ世)
クレメンス・クラウス指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1950.6&9, 1952.5&9, 1953.12録音)

彼の数少ない録音の中でも随一を誇るだろうシュトラウス・ファミリーのワルツやポルカは永遠だ。何て粋なのだろう。

そしてデッカの優秀録音もまた、クラウスの演奏の真価を伝えた。SPでは見過ごされがちな、さりげないセンスのよさ、過度にならない感傷、すなわち「粋」というものは、デッカのLPによってこそ、初めて聴きとれたのだ。
(山崎浩太郎)
OPK7011ライナーノーツ

オーパス蔵による初期英国盤LPからの復刻が素晴らしい。
クレメンス・クラウス130回目の生誕日を祝して。
2014年6月13日の記事

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