「のだめ」、ショパン

例の事件による所謂「加工品」の消費者離れで冷凍モノは軒並み売上が落ちている中ギョーザの皮が売れているという。ふとギョーザが食べたくなりスーパーに皮を買いに走る。
我が家は基本的に「菜食」なので、ギョーザの具も動物性のものは一切使わない。そう、肉なしである。冷蔵庫にある野菜、茸や蒟蒻などをプロセッサーにかけ秘伝の調味料で味付けした具を皮に包み外はパリパリ、中はもっちりと焼き上げる。食べさせた人皆が共通に発する言葉は「美味い!」。本当に美味しいのです。今夜はギョーザ鍋にしてポン酢で食す。絶妙な味加減でした。

食後は「のだめカンタービレ」。はまっております。「あ、この曲も使われてたんだ・・・」、とか「やっぱりギャグ・マンガだな」とか考えながらテレビの前に座すること数時間。
放映されたのは1年ほど前だと思うが、確かにマンガも売れ、ドラマにもなり一世を風靡したのも頷ける。他愛も無い展開だが、クラシック音楽好きには堪えられない「専門性」が随所に垣間見られる。

ショパン:ピアノ・ソナタ第3番ロ短調作品58
マウリツィオ・ポリーニ(ピアノ)

僕が初めてポリーニの実演を聴いたのは、1986年来日時におけるNHKホールでの「青少年のためのコンサート」。オール・ベートーヴェン・プログラムで「葬送」、「告別」、「テレーゼ」、「熱情」というソナタの有名どころをとにかく完璧なテクニックで聴かせてくれたことを思い出す(それ以外のことはあまり印象に残ってない・・・)。当時学生の僕は金銭的な事情でそうそう外来演奏家のコンサートのチケットを手に入れることはできなかったのだが、 1986年5月に関してはこのポリーニのほかクラシック・ファンの間で語り草になっているカルロス・クライバー&バイエルン国立管弦楽団にも幸運なことに足を運んでいる。もう20年以上前になるのかと思うととても懐かしい。
上記のショパンのCDはその来日時に記念として発売されたものを購入したもの。ショパンの第3ソナタをまともに聴いたのはこのCDが初めてだったかもしれない。

ちなみに2005年10月、ポゴレリッチが久々に日本の聴衆の前に姿を現し、たった一度だけのリサイタルでこの曲を弾いた。まさにポゴレリッチでなければ決して許されないであろう異形のショパン。舞台を極限にまで暗くし、頭を坊主に丸めたポゴの「祈り」とも「禊」ともつかないようなスピリチュアルな演奏であった。ppは限りなく「真空」の如く、ffは「爆撃」の如く縦横無尽にピアノと格闘するポゴレリッチの姿は一見の価値あり。音楽を聴くというよりポゴレリッチを観る、と言った方が正しい。

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