オッター ミンコフスキ指揮レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル=グルノーブル ベルリオーズ 歌曲集「夏の夜」ほか(2011.4録音)

テオフィール・ゴーティエ(1811-72)の詩集「死の喜劇 La comédie de la mort」から選り抜きの6編に付曲したエクトール・ベルリオーズの天才。
果たして誇大妄想癖は、死というものをどう捉えたのか?
あくまで生の連なりとしての、生と同質のものとして考えるのかどうなのか、詩そのものは悲しげな、慟哭を刻むけれど、音楽はいかにもベルリオーズらしく、決して抹香臭くなく、また単に哀感を助長するものでもなく、生きることの希望や死への憧憬や、すべてが繊細に、そして美しく奏でられる。

オッターのメゾが人間臭く、心情を表にする様子に感化される。
ベルリオーズの音楽とはこれほどまでに美しいものだったのか?
何より第4曲「君なくて」の素晴らしさ。

戻って来ておくれ、私の愛する人よ! 太陽の光をさえぎられた花のように、あなたの微笑みを失ってから、私の命の花はしおれてしまった。
「作曲家別 名曲解説 ライブラリー19 ベルリオーズ」(音楽之友社)P130

ベルリオーズの選択は相変わらず自己中心的なように思われるけれど、これらの歌曲に感化される人は多いことだろう。

ベルリオーズ:
・ヴィオラ独奏付交響曲「イタリアのハロルド」作品16(1834)
・歌曲集「夏の夜」作品7(1840-41/1843, 55-56管弦楽編曲)
・劇的物語「ファウストの劫罰」作品24(1828-29/45-46)第3部より「トゥーレの王、ゴシック風の歌」(マルグリート)
アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(メゾソプラノ)
アントワーヌ・タムスティ(ヴィオラ)
マルク・ミンコフスキ指揮レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル=グルノーブル(2011.4録音)

町でファウストにナンパされたマルグリートが、誘いを断って部屋に戻ったところ、何だか彼のことが気になって口ずさむ歌、「ファウストの劫罰」第3部、マルグリートによる「トゥーレの王」は、オッターとタムスティによる掛け合いが聴きどころだが、むしろこの付録のような、5分と少しの歌が何だかとても哀愁溢れ、最高に素晴らしい。
人間的にはいろいろと問題はあっただろうが、作曲家としてのベルリオーズはやっぱり別格だ。

過去記事(2014年5月23日)

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