パールマン ジュリーニ指揮フィルハーモニア管 ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲(1980.11録音)ほか   

久しぶりに名曲喫茶に行った。
倉敷市にある名曲喫茶「時の回廊」
小1時間、しばしアナログ・レコードの音に黙って身を任せた。とても良かった。
この温かい音、嫋やかな弱音と勇壮なる強音の、絶妙な移り変わりと対比に感動した。

お店に入ったときに流れていたのがベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61第1楽章は展開部あたり。イツァーク・パールマン独奏、カルロ・マリア・ジュリーニ指揮フィルハーモニア管弦楽団による録音は実にオーソドックスな解釈で、明朗快活な音の運び、何と楽天的な響きだろうと感動した。カデンツァはフリッツ・クライスラー作のもの。第2楽章の楽観に痺れ、終楽章の喜びに内心僕は躍った。

・ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61
イツァーク・パールマン(ヴァイオリン)
カルロ・マリア・ジュリーニ指揮フィルハーモニア管弦楽団(1980.11録音)

続いてかかったレコードはクリュイタンス指揮による名盤、ガブリエル・フォーレのレクイエム。それも第4曲「ピエ・イェズ」から終曲「イン・パラディスム」までの、涙なくして聴けない静謐なる調べたち。何よりフィッシャー=ディースカウの独唱が心を打つ第5曲「リベラ・メ」の典雅かつ知性溢れる歌に言葉がない。

さらに、バーンスタイン指揮ウィーン・フィルによるブラームスの交響曲第1番ハ短調は、こんなにも溌溂とした、しかも早めのテンポで颯爽とした演奏だったかと度肝を抜かれるほど第1楽章序奏から魂にまで響くものだった。

微かに聴こえる針音に僕は40数年前の少年時代を思った。
人の心が今より豊かで、そして感性がまだまだ鋭かったあの時代に耳を傾けた録音たちは、時間と空間を超え、やっぱり僕の心に迫ってくるものだ。旅先で偶々耳にした最高の音楽たちに僕は拝跪する。すべてに感謝だ。

過去記事(2016年2月5日)
過去記事(2020年4月17日)

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